2011年7月22日13時48分
関西電力は22日、来年7月に運転開始40年となる美浜原発2号機(福井県美浜町、50万キロワット)について、「運転を延長しても安全性に問題がない」とする報告書を国に提出した。東京電力福島第一原発の事故後、40年超の運転を目指す報告書が出されるのは初めて。「脱原発」を掲げる菅政権の対応が注目される。
国内の原発は当初30〜40年程度の運転を想定して建設されたが、新規立地が難しいこともあり、国は1996年に「安全性が確認されれば60年運転も可能」という判断を示した。
電力会社は運転開始から30年を過ぎた原発について、10年ごとに経済産業省原子力安全・保安院に報告書を提出し、運転延長の認可を受ける必要がある。
報告書は「高経年化(老朽化)技術評価」。関電は重要な機器や構造物に年月の経過による不具合や問題がないか調べ、安全性の確認や老朽化対策についてまとめた。
保安院は通常、早ければ半年ほどで認可するが、政府内では原子力政策の見直し論議が出ている。また、福島第一原発の事故で老朽化した炉への不安が高まっており、地元との調整も難航する可能性がある。
関電の豊松秀己副社長が同日、福井県庁を訪れて同様の報告をする。
関電では美浜1号機(34万キロワット)が昨年11月、日本原子力発電の敦賀1号機(同県敦賀市)に続いて、国内2例目の40年超運転に入った。福島第一原発では1号機が3月下旬に40年超運転に入るはずだったが、事故で廃炉が決まった。(清井聡)