2011年3月16日3時0分
集落のほぼ全てが津波で流された宮城県石巻市門脇町で15日、住宅の2階にいた男性(25)を消防の救助チームが救出した。足にけがはあるが、意識ははっきりしていた。津波に流されて偶然、住宅にたどり着いたという。
午後3時ごろ、「人の声がする」という通行人の通報を受け、救急隊員らが住宅の捜索を始めた。2階部分から「ドン、ドン」とたたく音がし、「あー」という声も響いた。
約15分後、救急隊員らが男性を担架に乗せて運び出した。隊員が「がんばりましたね、大丈夫ですか」と声をかけると、男性は「はい。足が痛い」とはっきりした声で答えた。
発見時、男性は2階で横たわっていたという。持っていた免許証に書かれていた住所は500メートルほど海側で、津波のために流れ着いた建物の2階で、5日間過ごしたらしい。
救急車のそばで救出を待ち受けた石巻消防団の浜谷勝美さん(68)は、「見つかった付近は以前にも捜索していた場所だった。震災発生から5日間。助かったのは奇跡だ」と話した。(合田禄)