2011年5月14日10時11分
東京電力は13日、福島第一原発1号機の原子炉建屋を丸ごと覆うカバーの設置に向けた準備工事を始めた。カバーで覆うことで放射性物質が外へ飛散するのを防ぐ。設置は6月に始め、早ければ8月に完成する。
鉄骨をくみ上げポリエステル製のシートを張る。カバー(縦47メートル、横42メートル、高さ55メートル)の総面積は約1万平方メートルになる。大型クレーンでつり上げて設置することになる。13日は大型クレーンを作業現場に運ぶための道路や、鉄骨を置くための場所を整備した。
東日本大震災で被災した1号機は、爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛んだ。その際に原子炉から核燃料が破損して出た放射性物質が大気中に飛散した。カバーで建屋全体を覆い、放射性物質のこれ以上の飛散を防ぐ。ゆくゆくは原子炉建屋の周りにひと回り大きなコンクリート製の建屋を造る予定。カバーはあくまで暫定措置という。
政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は「放射性物質の飛散を防ぐことで、作業員の被曝(ひばく)を減らし、復旧の工期短縮が期待できる」と話している。(坪谷英紀)