1メートル四方のキャンバスに駅やスーパー、住宅が立体的に再現されていく――。宮城県気仙沼市の市民と神戸大学大学院生が、津波の被害を受ける前の同市の街並みを再現した模型作りに取り組んでいる。
発泡スチロールや紙で作った縮尺500分の1の真っ白な模型に、屋根の色を塗り、桜などの樹木を植える。航空写真や住宅地図、地区の人たちの記憶が頼りだ。菅原千恵さん(43)は「気仙沼で育ち、子ども2人を育てた。買い物も便利で思い出もいっぱい」と色づけに参加した。
槻橋(つきはし)修・同大学院准教授(建築学)が「模型があると、街づくりを考えやすい」と助言した。同大では全国の大学に呼びかけ、青森県から福島県までの被災地の復元模型約4千個の制作を目指す。槻橋准教授は「市民の皆さんが模型を囲んで街の良かったところを見つけ、街づくりに生かしてもらえれば」と話す。(掛園勝二郎)