福島と宮城両県の肉牛の出荷停止の指示について、菅政権は19日にも解除する方針を固めた。今後、県が示した検査方法に沿った畜産農家の牛は出荷できるようになる。放射能で汚染された稲わらは牛に食べさせないよう、管理を徹底することにした。岩手、栃木両県については調整中だ。
牛肉の検査方法や汚染稲わらの管理については、福島、宮城両県が示した計画を承認する。岩手、栃木両県は計画を作成中だ。
解除後は、放射性物質に高濃度に汚染された地域や汚染された稲わらを利用した農家の牛については、全頭検査で基準を下回れば流通することになる。
それ以外の農家は、最初に出荷する際に1頭以上を検査し、結果が基準値以下なら一定期間出荷できるようにする。
出荷停止が解除されてもすぐさま肉牛の出荷量が元に戻るわけではない。
福島県の年間出荷頭数は約3万3千頭。このうち県内で食肉処理されるのは約1割しかない。大半が東京都などの県外で食肉処理されてきたが、汚染牛発覚後は敬遠され、県は解除後も当面、県内で処理できる分だけを出荷する方針だ。
県内の処理施設は郡山市に1カ所のみで、1日34頭が限度。月700頭程度と見込む。農林水産省も「しばらく県内で続け、検査で基準値以下が続けば、県外処理の引き受け先が出てくるだろう」とみる。
一方、宮城県も当面、食肉処理を県内に集中する。同県には処理施設が2カ所あるが、検査機器の不足が課題となっている。
解除へ最後のハードルになっていた汚染稲わらの管理については、(1)牛舎から撤去する(2)スプレーで色づけすることで汚染されていないえさと区別し、誤ってえさに使うのを防ぐことでまとまった。スプレーのにおいで、牛が食べない効果もあるという。こうした稲わらは、県が定期的に立ち入りし、数量の管理をする。
福島県は7月19日、宮城県が同月28日に出荷停止になった。(沢伸也、井上恵一朗)