ごみ焼却施設の焼却灰から放射性セシウムの検出が相次いでいる問題で、環境省は15日、福島県にある産業廃棄物焼却施設1カ所から、同省の埋め立て基準(1キロあたり10万ベクレル以下)を超える放射性セシウムが検出された、と発表した。東北・関東などの1都15県にある110の産廃焼却施設を対象にした抽出調査でわかった。
建設廃材を主に処分する施設だといい、検出された放射性セシウムの濃度は約14万4千ベクレル。環境省によると、家庭ごみの焼却施設を含め、焼却灰から10万ベクレル以上が検出されたのは初めてという。現在は施設内のコンクリート建屋内で保管し、環境省は処分方法を検討している。
環境省は8月末から、埋め立て処分するための暫定基準について、焼却灰をセメントで固めるなどの条件つきで、8千ベクレル以下から10万ベクレル以下に引き上げた。今回の調査で、放射性セシウムが旧基準(8千ベクレル)を超えた施設は、福島県でこの施設以外に3カ所、岩手県、千葉県で1カ所。いずれも1万〜3万ベクレルだった。一方、調査対象施設のうち、77カ所は1千ベクレルを下回った。(岩井建樹)