環境省は26日、国の直轄で放射性物質の除染をする福島県の警戒区域と計画的避難区域の除染ロードマップ(工程表)を公表した。地上から高さ1メートルの放射線量が年50ミリシーベルト以下の地域は、2014年3月までに作業を終えて居住可能な20ミリシーベルト以下にする。50ミリシーベルトを超える高い線量の地域は「今の除染技術でそこまで下げるのは困難」とし、断念することも視野に実施時期の明示を見送った。
両区域ではすでに役場などの公共施設で除染を始めている。森林を除く約6万世帯の住宅や農地、商工業施設などについて、政府が今後、線量別に再編する3区分ごとに優先順位をつけた。
このうち、20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」は帰還を段階的に実施するため、今月にも住民説明会を開き、私有地への立ち入りや除染の同意を取り付ける手続きに入る。
放射線量の低減がある程度見込める10〜20ミリシーベルトの地域から始め、10ミリシーベルト未満となることを目指す。学校は目標を厳しく設定し、毎時1マイクロシーベルト未満になることを実現する。土壌除去など現場での作業開始は7月で、早い地域では年内には終える予定で、避難指示の解除の目安となりそうだ。10ミリシーベルト以下の地域も6月以降、同意などの手続きに着手する。
20〜50ミリシーベルトの「居住制限区域」も13年度中に完了させ、少なくとも20ミリシーベルト以下を目指すという。
一方、50ミリシーベルトを超える「帰還困難区域」は、除染で線量を減らすのが難しいとみられ、現在進行中のモデル事業などを検証して判断するとし、場合によっては、除染しない選択があることも示唆した。
除染で取り除いた汚染土壌などを長期管理する中間貯蔵施設の建設場所が決まらないため、自治体ごとに設置する仮置き場の設置も住民の不安を背景に進んでいない。環境省は工程表を示したことで仮置き場の場所選定などに弾みがつくことに期待をかけている。(森治文)