津波で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町にこの春、小さな図書館ができた。所蔵するのは、東京から贈られてきた絵本や文庫本など約1千冊。遊び場の少ない被災地で子どもたちが集まっている。
造ったのは庭師の佐々木格(いたる)さん(67)。高台にある自宅庭に4月末、広さ約40平方メートルの「森の図書館」を完成させた。2階のロフトに絵本や文庫本約1千冊が置かれ、1階は絵画の展示や飲食ができるサロンがある。
出版社「洋泉社」(東京都)の創業者藤森建二さん(72)が背中を押した。震災直後、被災者が亡くなった人に話しかけられるように電話線のない電話ボックスを庭に建てた佐々木さんを知り、昨年6月、現地を訪れた。「読書にいい環境。子どもに読み聞かせをできる場があれば」。二人に図書館のアイデアが浮かんだ。