宇野昌磨 21歳の試練

2019.11.28公開

ロイター

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宇野昌磨は一人でフランスに乗り込んだ。
リンク脇にコーチの姿はない。

跳んでも、転んでも、氷の上ではずっと一人だった。

AP

ボロボロだった。

今季のグランプリシリーズ(GP)初戦となったフランス杯。
ショートプログラムで2度、フリーで3度、転倒した。
得意のトリプルアクセルは1度も決まらなかった。

フリー後のキス・アンド・クライでは、ひとりぼっちで涙を流した。


「あのような演技でも歓声をたくさん送っていただいたことに、うれしさと、なんか言葉では表現できない涙が出てきました」

今季はメインのコーチを置いていない。
幼い頃から指導を受けてきた、山田満知子、樋口美穂子両コーチから卒業した。

右=ハビエル・フェルナンデス

何かが足りない

2018年平昌五輪では羽生結弦に敗れて2位。
今年の世界選手権は、ネーサン・チェン(米国)や羽生に遅れをとり、4位。
殻を破るための、「卒業」だった。

USM提供

5歳の時、浅田真央に声をかけられてスケートを始めた。
順調に平昌五輪銀メダルまで駆け上がった。
全日本選手権は3連覇。
そこから世界のトップが、近そうで遠い。

ロイター

楽しくなかった。

一人で挑んだフランス杯は8位。

「一人でできる、できないではなく、もうちょっと、楽しくやりたいんですよね」

大会後、2006年トリノ五輪銀メダリスト、ステファン・ランビエールの指導を受けた。

右=ステファン・ランビエール/ロイター

心が軽くなった。

続くロシア杯では4位。

「これまで、コーチに責任を押しつけていたつもりはなかったけど、自然と分かち合っていたんだな、と感じた」

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次の目標は、12月19日から代々木競技場で競技が始まる全日本選手権だ。


「練習を早くやりたいな、という気持ちになった。スケートが好きなんだなっていう、自分の気持ちを確かめることができた」

前向きさを、取り戻しつつある。