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1993.4.23~26

沖縄

 沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」は、日本軍に動員され犠牲となった少女たちの悲劇を伝える。天皇として初の沖縄訪問を果たした1993年4月23日、陛下は皇后さまとともに訪れた。

 「ひめゆり学徒隊」の女生徒や教師ら計201人の遺影が、「鎮魂」と名付けられた展示室に並ぶ。一つひとつに、その最期が短く記されていた。「斬り込み隊に参加。以後消息不明」「弾雨の中へ出ていった」……。

 両陛下は終始、言葉少なだった。1時間ほどたったころ、時間を気にする侍従らに促され、資料館を後にした。予定を16分超えていた。

 沖縄訪問は、父・昭和天皇の果たせなかった宿願で、天皇陛下自身にも特別な感情があった。

 初めて訪れたのは、皇太子だった75年7月。皇太子妃だった美智子さまと、ひめゆりの塔を訪れたとき、事件は起きた。過激派から火炎瓶を投げつけられたのだ。当時の沖縄では、皇室に複雑な感情を抱く人も多かった。

 この夜、陛下は「払われた多くの尊い犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものではなく、人びとが長い年月をかけて、これを記憶し、一人ひとり、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません」と異例の談話を公表した。

 退位を翌年に控えた2018年3月、天皇、皇后両陛下は特別機で沖縄へと向かった。沖縄平和祈念堂や18万人以上が眠る国立沖縄戦没者墓苑で拝礼した。島々への訪問を大切にしてきた考えから、日本最西端の与那国島も初めて訪ねた。

 「この地に長く心を寄せ続けていく」。75年の初訪問でそう思いを述べた天皇陛下は、繰り返し沖縄に足を運んだ。皇太子時代も含めた訪問は、この旅で11回を数えた。

沖縄の人たちの気持ちに配慮しつつ、両国政府の間で十分協力し、解決に向かっていくことを願っています。
来日したクリントン米大統領との会見で沖縄問題に触れて
1996年4月17日