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2011.4.27 / 5.6 / 5.11

東日本大震災

 「この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています」。

 東日本大震災の発生から5日後の2011年3月16日、天皇陛下は約5分半のビデオメッセージで、こう語りかけた。メッセージはテレビ各局で放映された。災害に際して、天皇陛下が映像で国民にメッセージを発するのは初めてのことだった。

 それから2週間後。天皇、皇后両陛下は東京武道館に、福島から避難してきた被災者らを見舞った。都知事として両陛下を迎えた石原慎太郎氏は、翌12年に心臓手術をする陛下の健康を案じ、「被災地は皇太子、秋篠宮両殿下を名代に差し向けてはいかがでしょう」と進言した。黙って聞いた陛下だったが、武道館を出るとき、石原氏にこう告げた。「東北は、私が自分で行きます」。

 両陛下による東北3県の訪問は、4月27日に宮城から始まり、岩手、福島と続いた。津波の爪痕はなお生々しかった。両陛下は、がれきの山を前に深々と黙礼し、避難所を回っては冷たい床にひざをつき、「どうですか」「お体は?」と声をかけた。

 「果たして人々を見舞うことが出来るのか、不安でなりませんでした。しかし陛下が、苦しむ人々の傍(そば)に行き、その人々と共にあることを御自身の役割とお考えでいらっしゃることが分かっておりましたので、お伴(とも)をすることに躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした」。

 この年の10月、誕生日に際して皇后さまは当時の心境を振り返った。

私どもの関心の届かぬ所で、いまだ人知れず苦しんでいる人も多くいるのではないかと心に掛かります。
震災から5年の追悼式で
2016年3月11日