2011年10月4日19時27分
ソール・パールマター氏
ブライアン・シュミット氏(The Australian National UniversityのHPから)
アダム・リース氏(ジョンズ・ホプキンス大HPから)
スウェーデンの王立科学アカデミーは4日、今年のノーベル物理学賞を米ローレンス・バークリー国立研究所のソール・パールマター博士、オーストラリア国立大のブライアン・シュミット博士、米ジョンズホプキンス大のアダム・リース博士の3氏に贈ると発表した。授賞理由は「遠距離の超新星観測を通じた宇宙の膨張加速の発見」。
この研究では、「1a型」と呼ばれる超新星に注目した。1a型超新星は、銀河に相当するほどの光を発し、その明るさは宇宙のどこにあってもほぼ同じなので、その超新星のある銀河までの距離がわかるほか、超新星の色からどれだけの速さで遠ざかっているのかもわかる。
パールマター氏は1988年、1a型超新星を目安にして宇宙の膨張を測るため、「超新星宇宙論計画」を始めた。どの銀河でも100万年に数回しか発生しない超新星だが、電荷結合素子(CCD)を備えた4メートル級望遠鏡で数千の銀河を監視し、出現するたびに世界各地の観測施設に連絡する、といった手法で探していった。
数十億光年かなたにある50個以上の1a型超新星の地球からの距離と、遠ざかる速度を正確に求め、宇宙の膨張速度が速まっていることを見つけた。従来は膨張速度が減速していると考えられていた。
この加速は、宇宙のエネルギーの4分の3を占める「暗黒エネルギー」によって起きていると考えられているが、その正体はまだわかっていない。
94年には、シュミット氏もリース氏らと研究チームを組み、同様の観測を始めた。両研究チームは独自に観測や研究を重ね、パールマター氏らと同じ98年、同様の結論を公表した。
賞金は1千万スウェーデンクローナ(約1億1千万円)で、パールマター氏が半分、残りをシュミット氏とリース氏で分ける。授賞式は12月10日、ストックホルムである。