オバマ米大統領が広島市の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑で献花した後に演説した。
【写真】演説するオバマ氏=代表撮影
1945年8月6日午前8時15分、米軍は約35万人が暮らしていた広島市に原子爆弾を投下、街は焦土と化した。9日午前11時2分、約24万人が住んでいた長崎市にも原爆を落とした。その年末までに広島で約14万人、長崎では約7万人が亡くなった。
1945年8月6日
爆心地
4km
4km
1945年末までの死者
3
3
2
2
1
1
広島駅
広島駅
広島県庁
広島県庁
御幸橋
御幸橋
広島湾
広島湾
…全壊全焼地域
…全壊全焼地域
地名や場所は当時のまま
地名や場所は当時のまま
1945年8月9日
爆心地
3km
3km
1945年末までの死者
2
2
1
1
浦上天主堂
浦上天主堂
稲佐山
稲佐山
長崎駅
長崎駅
眼鏡橋
眼鏡橋
長崎港
…全壊全焼地域
地名や場所は当時のまま
【写真】被爆者の坪井直さんと握手し、言葉を交わしたオバマ米大統領=AP
【写真】被爆者の森重昭さんを抱き寄せるオバマ米大統領=高橋雄大撮影
【写真】原爆死没者慰霊碑の前に立つオバマ米大統領(右)と安倍晋三首相(左)=AFP時事
2009年4月5日
オバマ米大統領がチェコの首都プラハで演説。数万人の市民を前に提唱したのは「核なき世界」だった。「米国は、核兵器を使ったことがある唯一の核兵器国として、行動する道義的責任がある。私は、核兵器のない世界の平和と安全保障を追求するという米国の約束を表明する」核廃絶への国際的な制度強化を米国が主導する考えを表明したが、「核兵器が存在する限り、敵を抑止するための、効果的な核戦力を維持する」とも述べた。核実験の世界規模での禁止に向けては、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を目指すと表明。北朝鮮やイランのような核不拡散体制でのルール違反の国への対応として、罰則強化に取り組む考えも示した。「人類の運命は我々自身が作る。我々の分断に橋をかけ、世界を、我々が見いだした時よりも平和なものにして去る責任を引き受けよう。共にならば、我々にはできるはずだ」
2009年5月25日
北朝鮮が06年10月以来、2回目の核実験を強行した。オバマ米政権との直接対話を求めてきた中で、核実験という最も強硬な対応に踏み切った。国連安全保障理事会は6月、北朝鮮に対する新しい制裁決議を全会一致で採択した。
【写真】チェコの首都プラハで「核なき世界」への道を高らかに演説したオバマ米大統領=ロイター
2009年9月24日
CTBTを批准していない米国が、ニューヨークで開かれたCTBT発効促進会議に10年ぶり参加した。米国の代表はクリントン国務長官。条約早期発効へ決意を表明し、「今後数カ月、米上院に批准への同意を求める」とも語ったが、上院の同意は得られなかった。
2009年12月10日
核軍縮や地球温暖化問題で国際的指導力を発揮したとして、オバマ氏がノーベル平和賞を受賞した。「正義として持続する平和」と題した受賞演説では、ガンジーやキング牧師ら先人が唱えた非暴力の理想を評価。「あるべき世界をめざそう」と呼びかけた。受賞に対しては「成果を伴っていない」との批判もあった。オバマ氏は「私の世界の舞台での仕事は始まったばかりで、歴史上の巨人に比べて成果はわずかだ」と認めた。
2010年4月8日
オバマ氏とロシアのメドベージェフ大統領が新たな核軍縮条約に署名した。米ロの戦略核をそれぞれ1550発以下に削減する内容だ。署名式の舞台は、オバマ氏が「核なき世界」演説を行った広場を望むプラハ城。オバマ氏は、戦術核や保管中の核兵器を含めた削減を進める考えを示し、メドベージェフ氏は「数カ月前には不可能と思われたが最終的に署名できた」と強調した。11年2月に両国が批准書を交換して条約は発効した。
【写真】プラハで8日、新たな核軍縮条約に署名したオバマ大統領(左)とロシアのメドベージェフ大統領=ロイター
2010年4月12日
オバマ米大統領が呼びかけた核保安サミットが初めて開催された。47カ国が参加し、高濃縮ウラン放棄といった各国の取り組みや、核テロ防止に向けた国際的な枠組みの強化などで合意した。
2010年5月3日
「プラハ演説」後では初めてとなる核不拡散条約(NPT)再検討会議が国連本部で開幕。クリントン米国務長官が初日の演説で、米国が保有する核弾頭数を公表する方針を表明した。演説後、米国防総省は攻撃に使用できる5113発の核を09年9月末時点で保有していると発表。長らく非公表としてきた米国にとって、方針の大転換だ。会議は28日に核廃絶への具体的措置を含む行動計画を盛り込んだ最終文書を全会一致で採択。再検討会議での文書採択は10年ぶりだ。核兵器そのものを不法と見なす「核兵器禁止条約」についても、「条約の交渉検討の動きに注目する」と文書で言及された。
2010年9月15日
核爆発を伴わない未臨界核実験を米国が実施した。実験は06年8月以来4年ぶりで、オバマ政権下では初めて。米国は、あらゆる核実験を禁じるCTBTの批准を目指す一方、未臨界実験は同条約に違反しないとの立場だ。米国はクリントン政権下の97年に初めて未臨界実験を実施し、今回は24回目。ブッシュ前政権は10回行った。ロシアも同様の実験をしている。
【写真】オバマ米政権が新しいタイプの核兵器性能実験に利用している「Zマシン」。核物質の劣化度を調べる新型実験は、2010年から繰り返されている=米エネルギー省サンディア国立研究所提供
2010年末にチュニジアの青年が警察へ抗議して焼身自殺したのをきっかけに中東に広がった民主化運動。チュニジアではベンアリ大統領が11年1月に国外脱出し、23年続いた強権政権が崩壊した。2月には30年にわたり政権の座についていたエジプトのムバラク大統領が辞任。リビアで独裁政権を42年間続けたカダフィ氏は、10月に反カダフィ派に拘束された際に死亡した。反体制運動はシリアにも波及したが、住民の抗議デモをアサド政権が弾圧し、政権軍と反体制派による内戦に。米ロ主導で16年2月に発効した停戦合意も崩壊の危機にあるとされている。
【写真】カイロで29日、反政府のスローガンを叫ぶ数千人規模のデモ参加者たち=ロイター
2013年2月12日
北朝鮮が3回目の地下核実験。朝鮮中央通信は「これまでより爆発力が大きく、小型化、軽量化した原子爆弾を使った」と伝えた。国連安保理は3月7日、制裁決議を全会一致で採択。過去3度の制裁決議に基づく制裁を大幅に強化する内容で、決議案は米中が協議して作成した。
2013年6月19日
オバマ氏がベルリンで演説し、ロシアとの新STARTで定められた戦略核弾頭の配備数をさらに3分の1減らし、将来的に1千発程度にする新たな指針を表明した。1963年にケネディ米大統領が歴史的な演説をしたベルリンで自らの理念を世界に表明することで、核軍縮の機運を再び高める狙いがある。
2013年10月21日
核兵器の非人道性と不使用を訴える国連総会第1委員会の共同声明に日本が初めて賛同した。共同声明はニュージーランドなど16カ国が主導してまとめ、日本を含む計125カ国が賛同した。だが、米英仏ロ中やインド、パキスタンなどの核保有国は賛同しなかった。
2013年11月24日
イランと米英独仏中ロの6カ国が、イランがウラン濃縮活動などの核開発を縮小し、見返りに同国への制裁を一部緩和する「第1段階の措置」に合意した。イランのロハニ大統領は「政権の目標は世界との協力だ。協力は信頼を通してのみ可能になる。今日がその第一歩だ」と述べた。
【写真】ジュネーブで24日、イランの核問題をめぐる合意を受けて握手する米国のケリー国務長官(右)とイランのザリフ外相=ロイター
ウクライナで14年2月、親ロシア路線に抗議する市民に治安部隊が発砲。当時の大統領が逃亡するなどの混乱の中、親欧州路線の政権が発足した。ロシアは「欧米が扇動したクーデターだ」と反発し、住民投票でロシア編入の賛成票が9割を超えたウクライナ南部のクリミアを併合した。
2015年3月15日
ロシアのプーチン大統領が、14年3月にウクライナからクリミア半島を併合する過程で、核兵器使用の準備を進めることを検討していたことが明らかになった。ロシア国営テレビのドキュメンタリー「クリミア、祖国への道」のインタビューで発言した。クリミア情勢がロシアに思わしくない方向に向かった際、核戦力を臨戦態勢に置く可能性があったかを聞かれて「我々はそうする用意ができていた」と答えた。プーチン氏は「世界的な紛争を引き起こしたい者がいるとは考えていなかった」とも付け加え、実際に臨戦態勢をとる必要はないと予測したことも強調した。
2015年5月22日
NPT再検討会議が、議論の成果をまとめた最終文書を採択できないまま閉幕した。米国や英国などが、中東非核地帯構想を記した部分を理由に最終文書案に不同意を表明。事実上の核保有国とみられるイスラエルに、同盟国である米国が配慮した形だ。約1カ月にわたる会議では、核保有国と、核軍縮の停滞にいらだつ非保有国との溝も埋まらなかった。エジプトは「数カ国が、特に米国が最終文書の採択を止めた」と批判した。
【写真】ウクライナ東部ドネツクの丘で休息する親ロシア派の兵士。ウクライナ軍と戦闘の渦中にあった=2014年8月28日、ロイター
2015年7月14日
イランの核問題をめぐり、米英独仏中ロ6カ国とイランが問題解決への「包括的共同行動計画」で最終合意した。02年にイランのウラン濃縮が発覚し、核開発が疑われた問題は、13年かかって妥協点を見いだした。イランは10年以上にわたり核開発を大幅に制限し、軍事施設への査察も条件付きで受け入れる。核不拡散条約(NPT)体制のもと、外交交渉で新たな核兵器保有国ができるのを防ぐ歴史的な合意となった。
【写真】イラン核協議が最終合意し、記念撮影する米英独仏中ロ6カ国とイラン、EUの代表
2016年1月6日
北朝鮮が4回目の核実験で「朝鮮で初の水素爆弾実験を成功させた」と発表した。日米韓は北朝鮮に水爆を保有する技術はないと分析してきたが、北朝鮮は「小型化された水爆の威力を科学的に証明した」と強調した。
2016年3月31日
プラハ演説から7年。オバマ米大統領は任期最後の核保安サミットに臨んだ。「米ロの核兵器は、この60年で最も少なくなった」と自賛したが、核軍縮が思い通りに進まなかった現実を認めた。ロシアは代表団を送らず、新START以降の削減交渉も行き詰まっている。ロシアは米国が欧州とアジア太平洋で配備を進めるミサイル防衛(MD)に反発し、新型核ミサイルの開発と配備を進めている。
日本への原爆使用を支持するか?
米世論調査会社ギャラップの調査を元に作製
10%
35
賛成しない
38
41
意見なし
85%
59
賛成する
57
53
1945
1990
1995
2005
オバマ米大統領
広島を訪問
2016年5月27日 更新
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