「縁結び」が価値生む

岩本悠氏 2017/7/16

「魅力化」で高校生たちの何が一番変わったのでしょう。

ひとつは、主体性です。誰かがやってくれたり、教えてくれたりすることを従順に受け止めていた生徒たちが、「自分たちで考えていく」「自分で見つけて向かっていく」という姿勢に変わった。二つ目は、周囲の人と協力する協働性です。

海士町の人々、行政にはどんな変化が生まれましたか。

学校や教育、子どもたちの存在が、地域の未来にとってとても重要なことだという認識へと変わりました。「自分たちも子どもたちに関われる」「教育に携われる」ということがすごく見えるようになってきたと思います。

改革の中で最も効果的だったことは。

「新しい縁結び」をしたことでしょうか。県立高校と市町村は今まで縁がなく、「県立高校なので県が管轄している」「市町村は関係ない」という状態だったが、一緒に連携、協働して取り組めるようになった。生徒たちの学校での学びと、地域や社会とをつなげる「縁結び」もやりました。

縁が次々と生まれるような仕掛けをどう作れたんですか。

「自分たちだけではできないような課題だ」ということが見えてきてから、「協働せざるをえない」という状況だと分かってきた。そこからどう一緒に改革を進めていくかという作業が最も難しく、一方ではだいご味だったと思います。(構成・丸山ひかり、撮影・金川雄策、井手さゆり)

国谷裕子くにやひろこ
1979年米ブラウン大卒。93年~2016年、NHK総合「クローズアップ現代」を担当し、98年に放送ウーマン賞、02年に菊池寛賞、11年日本記者クラブ賞などを受賞。近著に「キャスターという仕事」(岩波新書)。
岩本悠氏Yu Iwamoto

1979年東京都生まれ。大学時代にアジア・アフリカなど20カ国を回り、出版した本の印税などでアフガニスタンに学校を建設した。2006年末に島根県海士町に移住。「魅力化プロデューサー」として県立隠岐島前高校の活性化に取り組んだ。15年から、県の教育魅力化特命官。著書に「流学日記」「未来を変えた島の学校」(山内町長らとの共著)など。