29手塚治虫文化賞 2025

マンガ大賞

マンガ大賞1秒24コマのぼくの人生

りんたろうさん

1秒24コマのぼくの人生©KANA / Dargaud (DARGAUD-LOMBARD S.A.) 2024, by Rintarô

受賞コメント

ぼくの自伝を3Dアニメ映画にしたいとフランスのプロダクションが企画したのですが、長編アニメ製作は膨大な時間と莫大な予算を要することから難航を極めました。そこで、以前より日仏合作アニメ制作で協力してくれたパリの高橋晶子から、映画の内容をバンド・デシネで描いてみないかと提案されたのです。以前から興味があったバンド・デシネへの挑戦に心が昂ぶり「よし、描いてやるぞ!」と息まいてみたものの、まさかここまで大変だとは思いませんでした。遠い昔の記憶を落穂拾いのようにかき集め、パズルのように組み合わせながら1コマ1コマ描き上げ、気づけば6年の歳月が経っていました。そんな83歳の新人の最初にして(たぶん)最後のマンガがマンガ大賞を戴くことになるとは、身に余る光栄なことです。本当にありがとうございました。

受賞記念イラスト

1秒24コマのぼくの人生©KANA / Dargaud (DARGAUD-LOMBARD S.A.) 2024, by Rintarô

1秒24コマのぼくの人生©KANA / Dargaud (DARGAUD-LOMBARD S.A.) 2024, by Rintarô

1秒24コマのぼくの人生©KANA / Dargaud (DARGAUD-LOMBARD S.A.) 2024, by Rintarô

1秒24コマのぼくの人生©KANA / Dargaud (DARGAUD-LOMBARD S.A.) 2024, by Rintarô

りんたろう りんたろう 1941年、東京生まれ。アニメーション監督。東映動画を経て、63年、虫プロダクションのTVシリーズ『鉄腕アトム』で演出家デビュー。監督作にTVシリーズ『宇宙海賊キャプテンハーロック』、映画『銀河鉄道999』『幻魔大戦』『カムイの剣』『メトロポリス』他多数。

新生賞

新生賞城戸志保さん

『どくだみの花咲くころ』(講談社)で「普通」からはみ出した子どもたちの関係性をエンタメとして力強く描く力量に対して

どくだみの花咲くころ©城戸志保/講談社

受賞コメント

子供の頃、物語の面白さに触れて衝撃を受けたのは手塚治虫作品が初めてだったと思います。衝撃は今でも続いていて、行き詰まったときに手塚作品を読み返すとその力強さに圧倒され、原点に帰った気持ちになり、自分も物語を描きたいんだと思い出させてくれます。 私は今子供が主役の話を描いています。これは2022年にコミティアという同人誌即売会で頒布するために描いた作品が連載になったものです。初めての連載で、訳も分からず本当に苦しみながら描いたのですが、今回尊敬する大漫画家の名を冠した賞をいただけて、少し報われた気持ちです。

これからも大好きな漫画という文化を繋いでいく人間の一人として、精進して参ります。この度は誠にありがとうございました。

受賞記念イラスト

どくだみの花咲くころ©城戸志保/講談社

きど・しほ城戸志保アフタヌーン四季賞2022秋のコンテストにて大賞を受賞。 X(旧Twitter)にて受賞作『どくだみの花咲くころ』を公開したところ反響を呼び、24年に連載化。本作が初の連載である。

短編賞

短編賞ザ・キンクス榎本俊二さん

ザ・キンクス©Shunji Enomoto / Kodansha

受賞コメント

ギャグ漫画、それもエログロナンセンスギャグ漫画を描き続けて35年、誰よりもくだらない漫画を描いてきたという自負があります。なんの為にもならない、誰もが目を背けるようなばかばかしくて汚らしいものを世界で一番描いた人間かもしれません。下ネタ一筋35年というわけです。受賞作の『ザ・キンクス』には下品なネタは出てきませんが胸に秘めるスピリットは下品漫画を描く時と一切変わりません。下品も上品も好きなようにこれからもどんどんやりなさいと太鼓判を押していただいたものと喜んでいます。この度は本当にありがとうございました。

受賞記念イラスト

ザ・キンクス©Shunji Enomoto / Kodansha

えのもと・しゅんじ1968年生まれ。広島県三次市在住。『ゴールデンラッキー』『えの素』『ムーたち』『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』など、ジャンルを越境した数々の斬新野心作を描き続ける、当代唯一無二のギャグ漫画家。現在は「アフタヌーン」で『アンダー3』、「コミックDAYS」で『ザ・キンクス』を連載中。

特別賞

特別賞一般財団法人 横手市増田まんが美術財団(大石卓代表理事)

30年にわたり、マンガ原画のアーカイブに尽力してきた業績に対して

外観=一般財団法人横手市増田まんが美術財団提供

受賞コメント

世界に誇るマンガ文化 後世への継承を「原画保存」から

まんが美術館が開館して30年。この節目の年に、権威ある賞を受賞させていただくことに、深い喜びと共に、関係する全ての皆様に心からの感謝をお伝えいたします。

当館と手塚先生とは、非常に縁深いものがあります。初代名誉館長であった矢口高雄先生は、手塚作品に痺れ、憧れ、マンガ家を目指しました。グランドオープン時の特別企画展は、「手塚治虫&矢口高雄二人展」。矢口先生の夢が結実した瞬間でもありました。今回の受賞を誰よりも喜んでくれているのは、天国にいる矢口先生ではないでしょうか。

当館が原画にこだわった運営を始めたこと、そして、現在の原画アーカイブの取り組みは、先人の慧眼と英断の元に成り立っています。そして、原画保存へ共鳴してくださる関係者の皆様の理解と協力が、今日の私たちの活動を支えています。関係する皆々様への感謝を忘れることなく、今後も「自国の文化は自国で守る」という誇りと使命を胸に、マンガ文化の保存に邁進して参ります。

この度は本当にありがとうございました。

(一般財団法人横手市増田まんが美術財団 代表理事 大石 卓)

1:ロゴ2:常設展示室3:マンガの蔵展示室4:アーカイブルーム5:一般財団法人横手市増田まんが美術財団 代表理事 大石 卓さん写真は一般財団法人横手市増田まんが美術財団提供

横手市増田まんが美術館日本初の「マンガ原画」をテーマとした美術館として1995年にオープン。横手市が運営し、一般財団法人横手市増田まんが美術財団が指定管理者となっている。日本を代表する漫画家180名以上、48万枚を超す原画を収蔵。常設展示では原画が鑑賞でき、「マンガの蔵展示室」で保管の様子が見られるほか、特別企画展も開催する。またライブラリーでは2万5000冊以上の蔵書を閲覧できる。初代名誉館長は増田町出身の漫画家・矢口高雄氏。現在は二代目の高橋よしひろ氏。

贈呈式・記念トークイベント 200人を無料招待

2025年6月5日(木)に第29回手塚治虫文化賞の贈呈式と記念イベントを開きます。

イベントでは、マンガ大賞受賞のりんたろうさんと選考委員の漫画家・秋本治さんが、りんたろうさんの監督作品や手塚アニメについて語り合います。

こちらの贈呈式・トークイベントに、一般参加者200人(予定)を無料招待いたします。

来場者には、受賞者の描き下ろしやメッセージ、社外選考委員の選評などを収めた記念小冊子と「ヒョウタンツギ」のオリジナル記念ピンバッジをプレゼントします。

◎日時 2025年6月5日(木) 14時~16時
◎場所 浜離宮朝日ホール(東京都中央区築地5-3-2)
◎一般招待申し込み 応募サイト(http://t.asahi.com/29eventsite)からお申し込みください。
・応募は1人1件(複数の応募があった場合は全て無効とします)。応募多数の場合は抽選します。
・当選者には5月21日(水)ごろにメールをお送りします。
・入場は当選者ご本人様のみで、譲渡や転売はできません。
・高校生以上がお申し込みいただけます。
◎申し込み締め切り 2025年5月9日(金)

選考委員(敬称略・50音順)

秋本治(漫画家)
里中満智子(マンガ家)
高橋みなみ(タレント)
中条省平(学習院大学フランス語圏文化学科教授)
トミヤマユキコ(ライター・東北芸術工科大学芸術学部准教授)
南信長(マンガ解説者)
矢部太郎(芸人・漫画家)
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坂尻顕吾(朝日新聞社執行役員・編集担当)
渡部薫(朝日新聞文化部長)
※肩書は最終選考委員会当時

選考経過

第29回は2024年に刊行・発表されたマンガを選考の対象にしています。マンガ関係者、書店員、一般の約220人による推薦結果も参考に、7人の社外選考委員がポイント投票を行いました。選考委員の持ち点は各15点で、最高点を5点とし配分します(ただし5点満点は1作品のみ)。

この1次選考で上位となった作品の中から7作品がマンガ対象の最終選考にノミネートされました(うち『Battle Scar』はマンガ関係者、書店員、一般の推薦も1位)。最終選考委員会での審議の結果、マンガ大賞には、りんたろう氏の『1秒24コマのぼくの人生』が選ばれました。

また、選考委員からの推薦をもとに審議した結果、新生賞に城戸志保氏(『どくだみの花咲くころ』で、「普通」からはみ出した子どもたちの関係性をエンタメとして力強く描く力量に対して)、短編賞に榎本俊二氏(『ザ・キンクス』に対して)、特別賞に一般財団法人横手市増田まんが美術財団(30年にわたり、マンガ原画のアーカイブに尽力してきた業績に対して)が選ばれました。

マンガ大賞予想投票

第29回のマンガ大賞にノミネートされた7作品のうち、どの候補作が受賞するかを予想するアンケートを2025年2月20日~3月31日に読者などから広く募り、151人が投票に参加しました。

その結果、票数が多い順に『【推しの子】』(43票)『海が走るエンドロール』(27票)『Battle Scar』(23票)『1秒24コマのぼくの人生』(20票)『胚培養士ミズイロ』(17票)『ブスなんて言わないで』(13票)『地図にない場所』(8票)となりました。