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朝日新聞2011年3月12日付朝刊1面

 11日午後2時46分ごろ、三陸沖を震源とする大地震があり、宮城県栗原市で震度7を観測した。北海道から九州にかけての広い範囲で震度6強~1の揺れと、津波に見舞われ、死者・行方不明者は東北を中心に850人を超えた。地震の規模を示すマグニチュード(M)は8.8で、記録が残る1923年以降国内で最大。昨年2月のチリ大地震(M8.8)に匹敵する世界最大級の地震になった。

 震源は宮城県・牡鹿(おしか)半島の東南東約130km、深さ約24km。専門家によると、今回の地震エネルギーは関東大震災の約30倍、阪神大震災の約1千倍に相当するという。

 警察庁によると、地震による死者は12日午前1時現在、宮城、福島、東京などの1都8県で133人、行方不明者は530人。これとは別に、仙台市若林区で津波による200~300人の水死とみられる遺体が見つかっている。

 気象庁は地震発生から約4分後の午後2時50分ごろ、岩手、宮城、福島県に大津波警報(高さ3m以上)を発令した。各沿岸での最大波は、福島県相馬市で7.3m以上(午後3時50分)、茨城県大洗町で4.2m(同4時52分)、岩手県釜石市で4.1m以上(同3時21分)だった。宮城県気仙沼市では、沿岸での高さは不明だが、沖合では6m(同3時14分)の波が観測された。

 気象庁によると、12日午前0時現在、北海道から高知県の太平洋側を中心に18地域で大津波警報が出ている。同庁は今回の地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名した。

 11日午後3時15分ごろには、茨城県沖を震源とするM7.3の地震も発生。政府の地震調査委員会は同日夜、「震源域は岩手県沖から茨城県沖までの広範囲にわたる。これらすべてが連動して発生する地震は想定外だった」との見解を発表した。

 総務省消防庁や警察庁によると、津波の被害は、岩手、宮城、福島、茨城の4県に及び、多数の死者、行方不明者が出ている。仙台市では、津波で海岸線の多数の民家が流された。水死と見られる200~300の遺体が発見された仙台市若林区では、海岸から10km離れた区役所まで津波が襲来。石巻市でも住宅10棟が流出。気仙沼市では、JR気仙沼駅周辺など市中心部が広い範囲で燃えている。防衛省によると、東西4.5km、南北2.5kmの範囲に及び、午後11時55分現在でさらに拡大している模様だという。

 岩手県大船渡市の末崎町細浦地区は、津波で壊滅状態だという。同市三陸町の綾里地区と越喜来浦浜地区でも、計300棟以上が崩壊または流出。綾里地区では48人の行方が分からず、うち23人が中学生だという。JR東日本によると、同市内を走っていた大船渡線の列車と、連絡が取れなくなっている。宮古市周辺では10カ所以上の集落が全壊した。陸前高田市も四つの地域が水没した。福島県相馬市では、海岸線で土砂崩れがあり、行方不明者が多く出ている。新地町では住宅414棟が全壊。富岡町でも、海沿いの数百戸やJR富岡駅も津波で倒壊。茨城県大洗町では町中心まで津波が達した。福島県では、老人ホームで5人が死亡したという情報がある。

■福島原発、放射能放出も

 経済産業省の原子力安全・保安院によると、11日午後3時42分、東京電力から福島第一原子力発電所1、2号機(福島県大熊町)で炉心を冷やす緊急炉心冷却システム(ECCS)が動かなくなった、という連絡が入った。別の装置で炉心に水を入れて冷やしていたが、午後8時半にはそれも止まった。

 枝野幸男官房長官は同日夜、首相官邸で記者会見し、「原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態宣言を発令した」と発表した。緊急事態宣言の発令は初。

 保安院によると、地震で原子炉は停止したが、核燃料の熱が出るため、炉心に水を入れて冷やす必要がある。炉心に注水する隔離時冷却装置は動いていたが停止。停電に加え、13機ある非常用のディーゼル発電機もすべてが停止し、ECCSが作動しない状態が続いていた。

 東電は、電源車51台を同原発に向かわせ、同日深夜に1台が到着、2号機の一部の電源を確保した。ただ、1、2号機とも、水位は徐々に低下しているという。東電は12日未明の会見で、原子炉の格納容器の圧力が高まっているとして、放射能を含む蒸気を外部に逃して格納容器の損傷を防ぐことを検討していることを明らかにした。

 政府は11日午後9時23分、特措法に基づき、東京電力福島第一原子力発電所から半径3km以内の住民に対して避難指示を、また半径3~10km以内の住民に屋内待避の指示を発令した。枝野官房長官によると、現時点で放射能漏れは確認されていないという。

  気象庁は2011年3月13日、東日本大震災のマグニチュードについて詳しい解析の結果M9.0だったと修正しました。地震のエネルギーは1923年の関東大震災の約45倍、1995年の阪神大震災の約1450倍に相当します。