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野村監督のボヤキ 聞き続けたい

2009年10月20日19時17分

 野村克也監督の無念を思う。

 寄せ集めの弱小球団と呼ばれてきた楽天をクライマックスシリーズ(CS)第2ステージに導き、日本一を視野に入れるところまで育て上げた。しかし、契約満了で今季限りでの退団を正式に告げられている。

 確かに、契約は今季1年で切れる。さらに契約するかどうか、の主導権は球団にある。が、今季の成績を勘案して、もう一度話し合う機会を持てなかっただろうか。

 「球団首脳は宇宙人。言葉が通じない。情愛も評価もない」。野村監督の嘆きがやむことはない。

 野村語録の中に「財を遺(のこ)すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上なり」というフレーズがある。このあと「されど、財なくんば事業保ちがたく、事業なくんば人育ち難し」と続く。「人を遺すために、せめてあと1年監督を続けたい」というのが老将の願いだった。

 こんな言葉も残している。「前後裁断」だ。過去も未来も裁ち切って、今という瞬間に集中するという意味合いだ。

 今の楽天はまさに「前後裁断」で戦っていると言えるのではないだろうか。

 選手に対するボヤキもまだ力になっている。CS第1ステージで無四球完投勝利をあげた田中将大に、辛口の言葉をかけた。「横着を覚えたな」。完投を念頭に置いて、投球ペースを考えた田中に「そういう投球術を考えるのはまだ早い」と言った。言われた方は心得ている。「三流は無視、二流は称賛、一流は非難」という語録をしっかり覚えているからだ。

 経験からくる知恵こそが「老人力」である。できるだけ長く野村監督のボヤキを聞いていたいと思う。(編集委員・西村欣也)

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