7日のサッカー・アジアカップ決勝戦の終了後、駐北京日本公使2人の乗った大使館車両が、中国人サポーターの暴力を受け窓ガラスが割れるなどの被害を受けた問題で、日本大使館は同日夜、中国外務省に抗議。これに対し、北京市公安局は8日未明、大使館に「警備上、不手際があった。誠に申し訳なかった」と謝罪した。
大使館によると、車両が徐行しながら会場のスタジアムを出ようとした際、取り囲んだ多数の中国人サポーターから車体をけられたり、物を投げつけられたりした。車体の側面がへこんだほか、後部の窓ガラスに穴が開き、しばらく走行した後、粉々になったという。
大使館はまた、試合前の君が代演奏が中国人観客の激しいブーイングを浴びたことについて、阿南惟茂大使が現場で、陳至立・国務委員や袁偉民・国家体育総局長、王岐山・北京市長らに「国旗、国歌に対する敬意が払われてしかるべきである」と抗議したことを明らかにした。
日の丸を焼くなど中国人サポーターの騒ぎは、試合終了後もスタジアムの二つの大きなゲート付近で続いたが、未明には沈静化した。日本人からの被害届は出ていない。同夜は大使館を囲む一帯が封鎖されたが、8日には解除された。
中国の主要紙や北京の地元新聞は8日、それぞれ試合の結果や中国人観客の応援ぶりを伝えたが、「日本チームの2点目はハンドの反則だった」と強調する記事が多い一方、北京では厳戒態勢が敷かれたことや、中国人観客による反日的な応援や試合後に混乱が起きたことについては、ほとんど触れられていない。重慶だけでなく08年に五輪を開催する北京でも、反日的行動が繰り返されたことは、中国のメディア報道では素通りの形となった。
今回のような事態が北京五輪で繰り返されないかという懸念に関しては、中国国家体育総局の肖天・総局長補佐は試合前に朝日新聞の質問に対して「重慶で一部の観衆が過激で友好的でない態度を見せて以降、組織委員会はこの問題を重視していくつかの措置をとった」「五輪では日本に限らず全世界に親切かつ友好的に対応する。特に選手の安全について多くの措置をとっている」と語っていた。
(04/08/09)
|