サッカーの06年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会アジア1次予選のインド戦は、重苦しい前半だった。5バック気味に引いて守る相手に打開策がない。サイドから崩せず、中途半端に真ん中へ放り込んだ球は、守りの人数で勝る相手に跳ね返される。
そんな44分過ぎ。左サイドの三都主が局面を切り開いた。ドリブル突破してDFを置き去り。強烈なシュートを、キーパーが前にこぼす。反応が速かったのは鈴木だ。伸ばした左足でゴールネットに突き刺した。
「最初の15分は飛ばして点を取ろうとしたが、20分過ぎから焦りが出てしまった。1点取るのに時間がかかった」と三都主。前線からプレスをかけて相手の球を奪い、先に点を取って戦意を喪失させるというのが日本のプラン。それが崩れかけたところを、三都主の一撃が救った。
三都主はこの試合に向けた合宿当初は、両ひざに痛みを抱えて別メニューだったが、合宿最後の練習試合に間に合わせ、先発の座をつかんだ。ジーコ監督は「三都主がつっかけた時の威力は大きい」と期待を寄せていたが、指揮官の思いにこたえた。
後半には小野がFKを決めるなどしてリードを広げ、日本のリズムで危なげなく試合を終えた。
ハーフタイム中の停電で後半の開始が約30分遅れるなど、日本では考えられないトラブルが起こるアウエーで、勝ち点3を取ったことには意味がある。「決戦」の場となる次のオマーン戦へ向け、代表が一回りたくましくなった。
(04/09/09)
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