入社以来、朝日新聞デジタルアプリの
開発を担当する
テックリードの西川哲矢さん。

2011年5月に誕生したアプリは、
2020年4月に全面リニューアル。

さらに、現在進行形でユーザー視点の改修や
新機能開発が行われています。

記事一本一本をユーザーに届けるために

アプリ開発の現場で求められるものとは。

大切なのは、ユーザー視点で考えるということ

朝日新聞デジタルアプリの改修・新機能の開発は、アプリ内のご意見フォームやストアのレビュー、アクセスデータなどをもとにプロダクトオーナーが企画立案します。私は、その案をもとに具現化のための設計や調整を行い、プロダクトオーナーとエンジニアの橋渡しをしつつ、チームとして共に開発を進めています。

たとえば、2021年春に「連載をうっかり読み飛ばしてしまうことなく、まとめて読みたい」というニーズに応えるための開発を行い、好きな連載をリスト化できる機能「連載フォロー」をリリースしました。

設計にあたっては「ユーザーが使ってみたときにどう思うか」を重視しています。全体の動きには影響がなくとも、ユーザーにとってはストレスフルな仕様であるかもしれません。逆に、作り込んだ仕様であっても、ユーザーの使い勝手にはほとんど影響しないこともあります。そのため、常にユーザーの視点で考えることが大切です。

ただ、ユーザーの興味や関心は常に同じところにあるわけではありません。アプリを取り巻く環境もどんどん変わっていく。課題が先月と今月とでは違うということもよくあります。つまり、アプリの運用や開発にはスピードと柔軟性が求められるんです。

そのため、2020年に、もともと外部のパートナー会社と一緒に行っていた運用や改修を、社内で一貫して行える体制に一新しました。内製化したことでチーム全員がフラットに意見を出し合い、スピードと柔軟性を持って、よりユーザーエクスペリエンス(サービスを通してユーザーが得る体験)向上に向けた開発に取り組めるようになったと感じています。

アプリならではの便利機能を体感してほしい

朝日新聞のアプリには、朝日新聞デジタルアプリと朝日新聞紙面ビューアーアプリがあります。もちろん、ウェブブラウザーでも朝日新聞デジタルを読むことができます。それぞれ利点はありますが、朝日新聞デジタルアプリは表示速度が速く、アプリならではの機能もあります。機能アイコンは共通性のあるデザインにしているので、ウェブブラウザーに親しみがある方にもアプリを使っていただけると嬉しいです。

朝日新聞デジタルアプリで、私がよく使うのは、画面上部にあるタブを好きな順番に設定できる「タブの並べ替え」機能です。先に述べた「連載フォロー」同様、アプリならではの機能で、パーソナライズを意識しています。「記事検索」もより使いやすくなるようリニューアルしました。素早い検索結果表示や記事遷移はアプリの方がより体感していただけるかもしれません。

とはいえ、まだまだ課題はあります。数万人のユーザーがいらっしゃれば数万通りの使い方がある。一人ひとりにとって使いやすいアプリになるよう、新しい体験が提供できるよう努めています。たとえば、100年前の今日のニュースや紙面など、朝日新聞に蓄積されたニュースをコンテンツ化できれば面白いかもしれませんね。

自分たちの存在が
ユーザーの意識から消えていくことを目指したい

私たちが手がけるサービスは、正常に動いて当たり前です。ユーザーにとってもそういうものでしょう。長い読み込みが発生すればそこで読む気が失せてしまうでしょうし、どの記事を見たらいいのか迷ってしまうようなユーザーインターフェース(アプリやソフトウェアの操作画面など)も困ります。理想は、読んでいて違和感がまったくない、自然なユーザーエクスペリエンスだと思います。

たとえば、3年ほど前になりますが、紙面ビューアー機能(2020年11月から「朝日新聞紙面ビューアーアプリ」として別途提供)において、画面の一部領域で、タッチによる拡大操作ができなくなるという不具合があり、ユーザーからレビューをいただいたことがありました。

実は、当初はそれほど深刻に受け止めず「基本的な操作性に問題はない」と考え、対応を後回しにしようとしたんです。ただ、毎日使うユーザーにとっては小さな違和感がストレスになると気付き、早めの修正を行いました。直後に「ありがとうございました」と、レビューにコメントを追記いただき、すごく嬉しかったです。

こうしたユーザーが持った違和感をどんどん無くし、完成度が高くなればなるほど、私たちの存在はユーザーの意識から消えていくはずです。そこを目指すことが私たちの仕事ではないでしょうか。

記事が読まれてこそ、多様性実現の一助になれる

今、世の中にはコンテンツがあふれ、さまざまなメディアのアプリがリリースされています。その中から「ニュースを読もう」という行動に至る背景には、「今、世間はどうなっているんだろう」「あの出来事にはどういう意味があるのだろう」と、知らないことに対する不安や知りたいという欲求が必ずあると思うんです。その欲求を行動に移していただきやすくするためには、表示の高速化やユーザーインターフェースの改良など、私たちがクリアすべきハードルはまだまだあるでしょう。

たとえば、SNS系のアプリは日常的につい開きたくなりますよね。何か気になったらつい開いてしまうようなアプリになるためのキーワードの一つが“パーソナライズ”だと考えています。そのための機能も充実させていくつもりです。

多様性が尊重され、求められる時代。何か一つの事象においても立場が違えば見え方も違います。朝日新聞デジタルが、さまざまな視点からニュースを伝えることで、多様性のある社会をつくっていくための一助となれば嬉しいです。また、記事だけでなく、新しく追加された機能「コメントプラス」は記事に対し各界の識者からそれぞれ自由にコメントが付くことで、その記事をさらに深掘りし理解する道標になるはずです。

とはいえ、そうした記事や機能も、結局はユーザーの元に届かないことには意味がないですよね。そのためにも、私たちは、改修や新機能の追加といった機能面から、よりユーザーに届きやすい記事、自然なユーザーエクスペリエンスを目指したいと思います。

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