■学生生活 お金のリアル(富山県富山市)
富山大学工学部工学科機械工学コース3年の小林彩さん(仮名)は、幼い頃からものづくりが大好きで工業高校に進み、富山大学工学部に設けられた「女子特別推薦」に出願して合格しました。手先を使うことが得意で、勉強の合間の息抜きにも、ついついものづくりに励んでしまうと言います。どこまでも、ものづくりを追い続ける小林さんの学生生活について聞きました。(写真=神通川沿いから望む立山連峰。本人提供)
両親の影響でものづくりが好きに
──小さい頃から「ものづくり」が好きだったそうですが、どんな分野の「ものづくり」が好きですか。
工作、粘土遊び、ブロック遊びから始まって、料理、手芸、のこぎりを使って小さな椅子(いす)や机を作るのも好きでした。両親も二人とも手先が器用で、親が作っている隣で一緒に作業した経験が大きいのかもしれません。母は料理や手芸が得意で、父は木工系が得意なので、両方から教えてもらっていました。京都府北部の福知山市出身で、高校は近くの工業高校に進学しました。

──富山大学に進学を決めたのは、なぜですか。
兄がすでに私立大学に進んでいて、2歳下の弟もいたので、両親からは「国公立大学に行ってくれたらありがたい」と言われていました。そこで、国公立大学を中心に調べていて、富山大学を見つけました。富山大学には、工業・商業高校など職業学科出身者向けに「B推薦」という学校推薦型選抜があり、興味があった微細加工の研究室があることもわかって、これはいいなと思いました。いくつかの大学のオープンキャンパスに行きましたが、富山大学が一番のどかな雰囲気で生活しやすそうでもあったので、ここに決めました。その後、私が受験する2023年度入試から工学部に「女子特別推薦」が設けられることを知りました。調べてみたら、基本的に小論文と面接という選考で、「B推薦」と変わらないこともわかったので、「女子特別推薦」にトライしてみようと思いました。

──機械工学コースでは、どんなことを学んでいるのですか。
座学のほかに、実験や実習があります。実習が、いわゆる「ものづくり」の授業で、2年の時に「宇宙ゴマ」(物体が回転する際のジャイロ効果を利用した高精度の科学玩具)を作りました。フライス盤や旋盤に加えて、NCフライス盤というボタンを押したら自動でやってくれる機械も使って加工します。ただ、どれも使えるのはちょっとずつで、工業高校出身の私から見たら、作業自体が少なく、もう少し経験を積みたいと思うこともあります。一方で、工業高校は、基礎科目の授業日数が少ないため、数Ⅲを学びきれていないところがあります。なので、友達に工業系の科目で私がわかるところは教えて、その代わりに私が学びきれていない基礎科目を教えてもらうなど、互いに補いながら勉強しています。
── 一日のスケジュールはどんな感じでしょうか。
機械工学コースは、4年の4月に研究室に配属になり、今はまだ専門科目と3年から開講されている科目を取っています。朝は7時、遅くとも8時には起きて、2限が始まる10時30分に間に合うように大学に行きます。授業は一番多い日で3コマ、2コマの日も多いです。空きコマは図書館などで課題をする時間に充てたり、日によっては買い物に行ったりもします。アルバイトがある日もありますが、だいたい5人グループで5限終了後の18時に図書館に集まって、閉館まで勉強するというのがルーティン化しています。図書館は普段は22時まで、試験期間になると23時まで開いています。帰宅後は自由時間を過ごして、22時帰宅の時は23時には就寝します。
多子世帯の学費減免で、奨学金不要に
──勉強熱心ですね。家での自由時間はどんなことをしていますか。
最近は編み物をひたすらしています。「勉強もものづくりなのに、趣味でも何か作っているの?」と友達にもよく言われますが、根っから何かを作ることが好きで、今はかぎ針編みばかりしています。
──食事はどうしていますか。
自炊はきちんとするほうで、朝もお昼も作り置きしていたものを食べたりします。お昼は1年の頃は学食をよく利用していましたが、最近は値段も上がったので、家に帰って食べることが増えました。土日に3食分くらいをまとめて作って冷凍し、それを平日のお昼に温めて食べるなどしてやりくりしています。夜は、作るのが簡単でバランスよく栄養が取れる鍋にすることが多いです。

──どんなアルバイトをしていますか。
個人経営のお蕎麦屋さんで、ホールでの提供と食器洗いをしています。基本的に週末や平日の授業がない時に週1回入れています。時給は1100円で月の収入は2万円くらい。バイト代は、たまに友達と遊んだり旅行に行ったりするのに使っています。ほかに、夏休みに梨のバイトをしています。富山県は呉羽梨という梨が有名ですが、朝6時から梨農園でこの梨を収穫する仕事です。体力を使いますが、ご飯も出るし楽しいです。冬休みも今回は帰省せずに、神社で巫女さんのバイトとおせち料理詰めのバイトをしました。
──いろんな体験ができていいですね。1カ月の生活費について教えてください。
家賃は3万1000円。食費が1万5000円、水道代が一律2000円に決まっていて、それも含めて水道光熱費が1万円くらいです。ほかに洗剤などの日用品に、かかる時は1万円くらいかかります。交通費は、たまに駅前に行くのに市電を使うので、その運賃くらいです。家計簿をつけていて、食費も含めて仕送りの3万円以内で済ませるようにしています。ほかに貸与型の奨学金を毎月5万円支給されていましたが、3年次からは多子世帯向けの授業料免除を受けられるようになったので、その分、今は奨学金の額は少し減っています。でも、これまでも5万円すべてを使い切ることはなくて貯まってきているので、母が「4年次は奨学金をもらわずに、これまでの貯まったものを使っていこうか」と言っていて、その予定でいます。

──住んでいるのはどんな部屋ですか。
学生がたくさん住んでいるアパートで1DKです。私が受験している間に、母が不動産屋を回って資料をもらってきてくれて、帰宅後、そこから選んでビデオ通話で内見させてもらって決めました。決め手は大学まで徒歩6分と距離が近いことと、自炊するので電気ではなくガスコンロのあるところということ。洗濯機と冷蔵庫が備え付けだったのもポイントでした。部屋が10.5畳くらいあって広いので、満足しています。
「リーダー育成実践学」でガラス細工に挑戦
──サークル活動などはしていますか。
サークルには入っていませんが、工学部には「リーダー育成実践学」という、自分たちで活動日を決めて作業する授業があり、それを履修して活動しています。私は木曜5・6限の「おもしろガラス細工」に所属し、ガラス加工やガラス細工の製作を行っています。工学部では毎年、「夢大学~ものづくりフェスティバル~」というイベントが開催され、そこで自分たちが取り組んできたものづくりの内容についてプレゼンをするのが、単位取得の条件になっています。

──発表の場があると、またやりがいが出てきますね。富山大学のいいところはどんなところですか。
助言教員という制度があって、学生何人かについて教員が一人つき、毎学期、面談もあります。相談しやすい制度なので、お勧めできるところです。富山市という街も、冬は雪が降って大変な面もありますが、市電が通っていて交通の便はいいし、近くに大きな駅もスーパーもあるので、生活しやすいと思います。
──卒業後の進路は決まっていますか。
就活を少し始めてはみましたが、最終的に大学院に進学することに決めました。将来は製造ラインで使われる機械を作る会社に入りたいと思っていたのですが、就活してみて、どんな会社にも面白そうな部分はあるということがわかったので、最初から狭めずにいろいろな企業を見て、一番興味がわきそうなところに就職したいと思っています。

※記事中の学年は取材時のものです。
(文=志賀佳織、写真=本人提供)
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