源氏車に菊の花……。みやびで色鮮やかな京友禅が訪れる人たち…[続きを読む]
88年にわたって動き続けるエレベーター。二重の扉を自分の手で開けて乗り込み、レトロなビルの散策を始めた。 オフィスビルや商業施設が並ぶ東京・銀座の一角に、建設当初の姿で残る「奥野ビル」は御年(おんと…[続きを読む]
ハート形に、世界をかわいらしく切り取った窓。見上げれば、花鳥風月の天井画。癒やされたいと、今日もこの部屋を訪れる。 20畳の和室に入ると、縁側に面した、ふすまをくりぬいたような縦横1メートルほどの「…[続きを読む]
大八車に腰をかけ、色づく里山を眺めるようにたたずむその人影は、動かない。ようこそ奥秩父の「かかしの里」へ。 東京湾に注ぐ荒川のはるか上流に位置する埼玉県秩父市荒川贄川(にえがわ)。坂道を上ると見晴ら…[続きを読む]
都会の真ん中で壁をよじ登る。カラフルでポップな空間に身を置くと、まるでゲームかアニメの主人公になったよう。 垂直にそびえ立つ、壁や柱の高さは6~8メートル。ドアノブや配水管に似た色鮮やかなホールド(…[続きを読む]
泳ぎ回る金魚の影に、投影されたデジタル映像が交わり、動く水墨画のよう。水槽の中にアートを見た。 色とりどりの光に彩られた水槽の中を、あまたの金魚が舞い泳ぐ。幻想的な世界に、引き込まれていく。 東京・…[続きを読む]
ナスの腰掛けに、どんな御利益があるの? 境内に不思議な縁起物が鎮座する神社。絵心ある神職が作るお守りとは……。 社務所の窓口に所狭しと並んだカラフルな木彫りの鷽鳥(うそどり)たち。その数約50体。災…[続きを読む]
東京湾の最奥部に、埋め立てや都市開発の波をすり抜けた干潟が広がる。都会の一角に、江戸前の情緒を残す。 干潮時には波打ち際まで数百メートルの干潟が現れる。黒い砂は意外と硬く、歩くと「ギュッギュッ」と音…[続きを読む]
鳥のさえずりと虫の音色が響く山間の禅寺。秋にも咲く桜と紅葉に挟まれた不思議な小道の先に、変わった大建築物が現れた。 全長46メートル、幅19メートル、高さ10メートル。不思議に威圧感はない。むしろ、…[続きを読む]
大型バスがすれ違えない場所もある険しい山道の先に、絶景が広がる。廃れかけた「地域の宝」が、アートの力で脚光を浴びた。 平日なのに、紅葉を目当てに県外ナンバーの車が長い列を作っていた。約1キロ手前の駐…[続きを読む]
夜、山の上にあるベンチには何かを待つカップルの姿があった。野外ライブ? レーザー光線が示す先にはいったい何が? 10秒のカウントダウンが終わると、一斉に照明が落ち、頭上にキラキラと天の川が広がる。「…[続きを読む]
昭和のような、海外のような、不思議な雰囲気を醸し出すガラスのテーマパーク。中に入ると、「映え」の世界が広がっていた。 木々が色づき始めた景勝地・厳美渓(げんびけい)に沿って歩いていると、突然、そこだ…[続きを読む]
水面に雲が浮かんでいるようだ。140年前に発明された一枚帆の漁船は、日本第2の湖の風物詩として親しまれてきた。 波穏やかな湖面をすべる船。真っ白い帆が風をはらみ、優美なカーブを描く。遊覧船で近づいて…[続きを読む]
「日本一海に近い」と言われる駅。海と空が織りなす絶景を撮ろうと、人々が訪れる。もう一つ、皆の目を引きつけるものがある。 列車を降りると、足もとに広がる青い海と空に目を奪われた。長崎県の島原鉄道の大三…[続きを読む]
牧草ロールに、牛に、時々キツネも。海岸線をひた走るドライブコースには色々な出会いがあって、つい寄り道もしたくなる。 小樽市から稚内市まで、北海道の西海岸約380キロを縦断するオロロンライン。この地域…[続きを読む]
暗い岩の廊下を抜けると、地底の湖が姿をあらわした。地下深くへ延びる青い水の世界。その全容は今も明らかになっていない。 驚くほど透明な水の下は、光の届く限り青く澄み切っている。 東北は三陸の山あい、岩…[続きを読む]
国道1号沿い。山道を上ると出現する、迷路のような、ワッフルのようなその場所は、実は城マニアには常識の人気スポットだ。 お城好きなら一度は訪れるべし。と、ファンの心をくすぐるのが、静岡県の伊豆半島北部…[続きを読む]
群馬県のある山の頂上に「二〇二〇m」の標柱が立つ。山の姿はいつもと変わらずとも、2020年に訪れる人は何を思うか。 2020年。新型コロナウイルスに様々な価値観を変えられた年だが、「今年の山」は変わ…[続きを読む]
木漏れ日を浴び、小川に足を浸して上流へ。だんだん大きくなる「ドー」という音。その源に向かうと、神秘的な光景に出会えた。 差し込む陽光が、緑の岩盤と白い滝のコントラストを浮かび上がらせていた。兵庫県新…[続きを読む]
東北の廃校が、「ちびっ子ライダー」の集うBMXコースに生まれ変わった。大津波、人口減少……。逆境をはね返す笑顔が咲く。 高さ約5メートルのスタートヒルを上ると、越喜来(おきらい)湾の澄んだ青が見えた…[続きを読む]
ぽたりぽたり。小さく音を立てて落ちるしずくの中に映っているのは虹? 今度雨が降ったら、雨の似合うあの街へ。 見上げると空いっぱいに咲くカラフルな傘。雨粒が落ちそうな曇天でも気分は晴れやかだ。 松江市…[続きを読む]
高度成長期、勤労世帯が住んだ団地。素っ気ない直方体の建物が多い中、Y字形の特別な建物があった。その建物の名は――。 都市部の勤労世帯に向け、旧・日本住宅公団(現在の都市再生機構)が1950年代から整…[続きを読む]
驚いた顔の絵文字のように見えるガラス張りの建物。大阪府枚方市にある商業施設だが、内部はもっと驚く光景が広がっていた。 見渡す限りの本、本、本――。幅10メートル、高さ7メートルある壁一面には、音楽や…[続きを読む]
横浜市のニュータウンに、「緑色の富士山」がでんとそびえる。かつての富士山信仰で築かれた「富士塚」を再現したものだ。 人口370万余りの大都市の一角にいるのを、忘れてしまいそうになる。 横浜市北部に広…[続きを読む]
日本の北東の地の果て。奇妙な形の「島」がある。上空から眺めるとさらに不思議。その名の由来は形が似ている「鯨のあご」だ。 北海道の東端にある野付(のつけ)半島(別海町・標津町)は全長26キロ、日本最大…[続きを読む]
鍵のかかった開かずの扉。時代に取り残されたかのような、怪しげな雰囲気漂う横丁。そこには、長くつながる人情があった。 のれんの先にある通路は、蛍光灯に照らされてもまだ薄暗い。2、3人で並んで歩くのがや…[続きを読む]
琵琶湖西岸の国道を走ると、水面に見えてくる大鳥居。パワースポット「近江の厳島(いつくしま)」で、湖上参拝を体験した。 見渡す限りエメラルドグリーンのじゅうたん。背丈約10メートルもある朱塗りの大鳥居…[続きを読む]
木々を見上げると、降り注ぐ光。その森を抜けて、振り返る。そこには、映画の中で空を飛んでいた、あの不思議な「生き物」が――。 田植えが始まった5月下旬。福島県境に近い山形県米沢市の集落で会えたのは「ト…[続きを読む]
浮かび上がるのは女性の横顔。夕映えを背景にした切り絵のようだ。絵になる風景が話題という、九州・福岡の糸島半島を訪ねた。 福岡県西部の糸島半島。サーフィンも楽しめる美しい海岸のそばにある高さ6メートル…[続きを読む]
映画「シン・ゴジラ」の舞台となった神社がある。ゴジラの進撃を防ぐ作戦の指揮所になった見晴らし台が今、人気の理由とは。 「ゴジラにもつぶされなかった神社」なのだという。東京都大田区の多摩川沿いにある多…[続きを読む]
高速道路のジャンクションをほぼ真上から眺めた。もはや単なる通過点ではない、と言わしめる神秘的な世界が広がっていた。 日が暮れると、直線と曲線に沿って淡いオレンジ色の照明灯が浮かぶ。映画の中の未来都市…[続きを読む]
斜面に連なる水田が複雑に入り組むあぜ道を黒く浮かび上がらせる。古代遺跡か、それとも抽象画か。見る人の想像をかきたてる。 田んぼの数は大小合わせて1004枚。高低差約50メートルの傾斜地に重なり合い、…[続きを読む]
東京・世田谷の住宅街を散歩していると、巨大な球体が目に飛び込んできた。誰が何の目的で? その正体を訪ねてみた。 東京都世田谷区粕谷のマンションが立ち並ぶ住宅街を歩くと、突如、巨大な球体が現れる。見る…[続きを読む]
京都・木津川の「流れ橋」は増水すると橋の上部が流される。「逆らわないのが吉」の精神で今春、23度目の復活を果たした。 木津川の堤防の上に立つと、木造の「流れ橋」は約350メートル先の対岸まで一直線に…[続きを読む]
300万年前の地層と、再生可能エネルギーとして普及する風力発電。時を超えて両者を一つの画(え)で引き合わせたのは、風だった。 千葉県銚子市一帯は、とにかく風が強い。銚子地方気象台によると、年間の平均…[続きを読む]
群馬県の山中にこつぜんと現れるスコットランドの石造り古城。門番のように立つ甲冑(かっちゅう)にはハート形の絵馬が無数に飾られていた。 山の中腹から石畳の階段を上ると、石造りの古城が目に飛び込んでくる…[続きを読む]
顔を上げると曲線が天井まで続く。和歌山県白浜町にあるコテージ村。ドーム形の部屋は特殊な発泡スチロールで作られていた。 展望台から見ると、地面から白い半円球の物体が顔を出しているようだ。一つ一つが独立…[続きを読む]
あちこちに「猿」がいる寺が京都・祇園にある。疫病や災難がサル。願いをかなえるため、全国から観光客が詰めかけるようになった。 石畳の坂道が続く京都市東山区の八坂(やさか)通。正面にそびえる八坂の塔に向…[続きを読む]