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10月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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ロケット、どうやって空撮? -飛行コース・機内…すべて見せます

雲海を突きぬけ、青空へ

 雲海から飛び出したH2Aロケットが、白い煙を吐き出しながら青空を駆け上がる――。朝日新聞では社機「あすか」から、ロケットの打ち上げをほぼ毎回空撮しています。上空の規制は? 飛行コースは? 2014年12月3日午後1時22分04秒に鹿児島県の種子島宇宙センターであったH2A26号機による「はやぶさ2」の打ち上げを例に、空撮の方法を紹介します。高度数千メートルから見る打ち上げは、地上とは別世界です。

【空撮 H2A「はやぶさ2」打ち上げ】小惑星探査機「はやぶさ2」を載せたH2Aロケット26号機が2014年12月3日午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

上空でのコースは3つ

 種子島宇宙センター周辺の航空機取材に対する規制は、10分前からはロケット発射点を中心にした半径3キロ以内と警戒区域のそれぞれ高度約1万8千メートルまでの飛行禁止などがある。撮影に適した光学ガラスが入っている窓は左側のみなので、左側の窓の真正面にロケットが見えるようタイミングを合わせる必要がある。
 こうした制約を踏まえ、空撮経験が多いパイロットの住友健吾次長(54)は、発射地点の北西、西、南西の三つのコースをカメラマンに提案する。コースは直線1分、旋回1分を組み合わせた1周4分で設定。打ち上げの瞬間にベストの位置に来るよう計算しながら周回を重ねる。西コースはロケットが正面から撮れ、南コースだと美しい砂浜や海に向けて流れる白煙を撮れる。

6人、時計を合わせて現場へ

 午前11時半ごろ、「あすか」が福岡空港を離陸した。乗り込んだのは機長や副操縦士、カメラマン、記者など6人。発射の瞬間を見逃さないように事前に時計の針をあわせた。現地の天候を確認すると、種子島空港の上空約500メートルにはまばらな雲が広がっているが、撮影に問題はなさそうだ。種子島上空に到着すれば、いよいよ空撮するためのコースの選定だ。

【動画】「はやぶさ2」打ち上げ空撮、機内はこんな様子

「はやぶさ2」を載せて上昇するH2Aロケット26号機=3日午後1時22分、鹿児島・種子島宇宙センター、池田良撮影 「はやぶさ2」を載せて上昇するH2Aロケット26号機=3日午後1時22分、鹿児島・種子島宇宙センター、池田良撮影

記者、度重なる旋回でダウン

 出発してから約50分後に到着。現場に着くと上空約1000~2000メートルに厚い雲が垂れ込めていた。雲の上からは発射台付近がよく見えない状況だったが、地上では多くの記者が打ち上げの瞬間をカメラで狙っているため、上田幸一カメラマン(42)は高度4500メートルから撮影することに決めた。また、東の空に向かって飛ぶロケットを南から狙うために、発射台の南西を旋回するコースを選んだ。
 いよいよ打ち上げ10分前。旋回して撮影地点に向かうと、パイロットが「発射台が見えます」。偶然にも雲はまばらとなり発射台が目視できた。機体左下に位置する発射台に向けてカメラマンが一眼レフカメラを構えた。動画撮影するためのビデオカメラの準備も整った。
  「発射10秒前!」副操縦士の声に機内は緊張感が張り詰めた。午後1時22分04秒、オレンジ色の光でロケットが照らされた。煙を出しながらぐんぐん高度を上げ、まっすぐ駆け上がってくる。機内にはシャッター音だけが響き渡る。約35秒後に「あすか」と同じ高度に達すると、白煙を残したまま青空のかなたに飛び去り消えた。初めて搭乗した記者(28)は度重なる旋回に吐き気と頭痛に襲われ、時折目を閉じて着陸まで耐えた。

実用静止通信衛星CS-2aを積んで打ち上げられたN-2型ロケット=種子島宇宙センター上空1000メートル、朝日新聞社機「はやて」から 実用静止通信衛星CS-2aを積んで打ち上げられたN-2型ロケット=種子島宇宙センター上空1000メートル、朝日新聞社機「はやて」から

31年前のN-2ロケットから

  

朝日新聞社のロケット空撮は31年前にさかのぼる。1983年2月4日、N-2型ロケット3号機が実用静止通信衛星CS-2aを積んで種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 当時の取材用ジェット機は、上空からの撮影に適した特殊なガラスが装備されていなかったため窓を開ける必要があった。だが、高度3000メートル以上で窓を開けるのは危険なため、現在の6000メートルといった高い場所から撮影することはできなかった。
 N-2型ロケット3号機の後もH2Aや兄弟機のH2B、昨年9月の新型ロケット「イプシロン」などの打ち上げをほぼ毎回空から撮影している。

高速と低速を使い分け

【動画】ロケット空撮、高速と低速を使い分け

 「あすか」は米セスナ社製の最大11人乗り小型ジェット機。朝日新聞社のヘリ「ゆめどり」や「あさどり」の最高高度が約6000メートルに対し約1万3700メートルの高さを飛行できる。厚い雲の上からの撮影が可能だ。スピードは時速800キロ近く出せる一方、250キロの低速で旋回しながら取材することができる。
 「あすか」は普段、羽田空港の西の外れにある格納庫に待機している。出動するときは他の旅客機と同じように4本の滑走路を風向きなどによって使い分ける。近い滑走路までは5分、遠いところでは20分かかるという。ロケット空撮の際は前日までに福岡空港に入り、当日に同空港から種子島に向かうことが多い。

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