頭上のスピーカーからメロディーが流れる=JR東京駅の東海道新幹線のホーム
駆け込み乗車をなくそうと、JR東海は、東京駅の東海道新幹線の全3ホームで、発車ベルの代わりにオルゴール調のメロディーを流し始めた。穏やかな音で乗客の焦りを減らし、事故防止につなげる狙いだ。9月から実験的に行ったところ、駆け込みが約3割減ったことを受けた。
JR東海によると、実験は9月18日から全3ホームのうち、14、15番線があるひとつで始まった。従来の「ピピピピ」という電子音に代え、始発駅の発車後や終着駅の到着前に「のぞみ」の車内チャイムとして使っていたオルゴール調の電子音を約9秒間流し、新幹線の発車を知らせるようにしたという。
東京駅が10月1日から1カ月半の結果をまとめたところ、駆け込んだ乗客が新幹線のドアに挟まったのは、昨年は約40件だったが、今年は約30件に減った。駅員から「焦って乗車する人が減った」という声も出ているという。
東海道新幹線では95年12月、男子高校生(当時17)が静岡県の三島駅で「こだま」に駆け込み乗車をしようとしてドアに手を挟まれ、引きずられて死亡した事故が起きている。事故後、同社は車両のドアを改造したり、駆け込みの防止を構内放送で乗客に訴えたりと対策を取ったが、抜本的な解決に至っていない。
駅メロは来年3月まで続け、効果が確認されれば継続する。一方、佐藤隆夫・東大大学院教授(知覚心理学)は「新しいメロディーがまだ発車音として認知されていないので、駆け込みが減っている可能性もある」と指摘する。(峯俊一平)