予備校リレーコラム

「入試だけ変えればよし」は不十分

2019.05.14

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代々木ゼミナール
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  • 大学入試改革は「高大接続改革」の一部。入試を変えて終わりではない
  • 改革のポイントは、高校と大学の教育でも、改革によってお互いにいい影響を与え合うというもの
  • 個人や学校での活動を十分に評価できるよう、調査書の内容を一部変更

大学入試改革の「真の狙い」とは

ようやくスタートラインにたった「2020大学入試改革」。これは、「高大接続改革」の一部として位置づけられています。高大接続とは「高校と大学の接続」という意味です。

聞き慣れないかも知れませんが、正式には「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」というもので、中央教育審議会の答申(201412月)でうたわれています。

改革は「生きる力」の基盤となる「学力の3要素」(知識・技能/思考力・判断力・表現力/主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)について、これまで以上に意識した入試を実現することを目的に進められているのです。

簡単に説明しますと

(1)「一般入試・AO入試・推薦入試」から「一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜」に区分を変える

(2)センター試験に代わって、大学入学共通テストを導入

(3)英語は民間試験の結果が使える「英語成績提供システム」を導入――というものです。

2020年度からの入試改革区分
©代々木ゼミナール

高校と大学教育の“相互影響”が狙い

入試が変わることが注目されがちですが、この答申は文字通り「高校と大学の教育と、入学者の選び方(入試)を一体的に改革しよう!」という試みなので、「入試だけ変えればよし」とはいきません。高校と大学の教育でも、改革によってお互いにいい影響を与え合うことを狙っています。

例えば、共通テストについて文部科学省はもともと20年度から、総合的な教科目の力を測れるような出題をしようと検討していました。でも、学校の授業にかかわる「学習指導要領改訂」も同時に進んでいました。

そこで、20~23年度は今の指導要領から、24年度からは新しい指導要領から出題することにしました。高校の教育改革と足並みをそろえたわけです。そして、改革では「学力の3要素」について、しっかり評価するように促しています。一般選抜・総合型選抜(現・AO入試)・学校推薦型選抜(現・推薦入試)のいずれでもこの3要素をバランスよく評価することを目指すとしています。

大学入試改革の目的
©代々木ゼミナール

調査書の一部変更も

例えば、一般入試は学科試験がメインで、学校での活動や志願理由などはほとんど評価対象ではありませんでした。でも、新しい入試制度では、個人や学校での活動を十分に評価できるよう、調査書の内容が一部変更されます。

学力以外の資質等で評価する「AO入試」の名称が「総合型」に変更されたのも象徴的です。新制度では学力試験等を必須とすることが求められています。このように、大学が高校までの活動歴を十分に評価できるようにした点でも、高校・大学・入試の一体改革が意識されていると言えそうです。さらに20年度からは小学校を皮切りに学習指導要領が全面実施され、高校では新しい教科目が設置されます。

2024年度以降は新しい課程を踏まえた新しい入試が行われることが予定されています。「高大接続答申」における大学入試改革は、まだまだ道半ばと言えそうです。

(佐藤雄太郎・教育総合研究所所長)

*参考 代ゼミwebサイト
「大学入試改革の基礎知識」
大学入試改革による現行制度との主な変更点や、大学入学共通テストの概要を掲載。

「大学入試改革とは?」
試行調査の分析を掲載。出題の特徴や対策を紹介しています。

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