
加齢に伴う発症が増加 心不全や不整脈に注意を
久保 亨 先生
くぼ・とおる/高知大学医学部老年病・循環器内科病院准教授。聖路加国際病院、London大学St. George’s Hospital Medical Schoolなどを経て現職。
アミロイドの蓄積で、
心不全や不整脈に
アミロイドという異常タンパクが様々な臓器に蓄積し、機能低下を起こす病気「アミロイドーシス」。なかでも、アミロイドが心臓に沈着し、心臓の肥大(心肥大)や不整脈、心不全を引き起こす病態を「心(しん)アミロイドーシス」といいます。
心アミロイドーシスは主に、「ALアミロイドーシス」と「ATTR(トランスサイレチン)アミロイドーシス」という2種類の病型に分けられます。
「ALアミロイドーシス」は、血液の悪性腫瘍といわれ非常に予後が悪い病気ですが、最近は効果の高い治療法も出てきています。
「ATTRアミロイドーシス」は、さらに「野生型」と「変異型(遺伝性)」に分かれます。このうち「遺伝性ATTRアミロイドーシス」は、主に手足のしびれや自律神経、消化管、腎臓、眼などに症状が現れるほか、心臓の症状だけが見られる場合もあります。また、家族の心臓病の既往歴は、遺伝性ATTRアミロイドーシスを診断する際の助けになります。

60歳以上の患者増
特に注意すべき人は
近年、患者数が特に増えているのが、「野生型ATTRアミロイドーシス」です。加齢に伴い発症するもので、特に60歳以上の男性患者さんが多いです。
患者数が増加した背景には、高齢化があげられます。加えて、外来でも実施可能な検査ができたことによって、より簡便に診断できるようになったことも影響しています。
また、新たな研究では、これまで「肥大型心筋症」や「高血圧性心臓病」などと診断していた疾患のなかに、心アミロイドーシスが含まれている可能性も示されています(※)。このようなケースも含めると、心アミロイドーシスの実際の患者数はさらに多いと見られます。
特に注意が必要なのは、手指のしびれや痛みが起こる「手根管(しゅこんかん)症候群」や、下半身に痛み・しびれが生じる「腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」にかかったことのある方です。これらの症状は、野生型ATTRアミロイドーシスの心臓の症状に先立って現れることがあるため、早期診断の重要なサインになります。
(※)日本循環器学会 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf 2024年2月閲覧
ATTR心アミロイドーシスの
治療法とは
ATTR心アミロイドーシスの治療には、すでに溜まってしまったアミロイドによる症状(むくみや不整脈など)を和らげる対症療法に加えて、現在では複数の治療法があります。
早く病気を発見して治療を開始するためにも、心不全の症状を見過ごさないよう注意するとともに、心配なことがあれば医師に相談するようにしましょう。







