新型コロナウイルスの感染拡大が、学びの現場にも多大な影響をもたらした2020年。
関西屈指の名門中高一貫校、高槻中学校・高等学校は、この危機にどのように向き合ったのか。
生徒はどう反応し、どう動いたか。先の見えない状況で発揮された名門校の真価に迫る。
高槻中学校・高等学校
工藤 剛 先生
[校 長]
4月7日の緊急事態宣言から約1週間後には、双方向型のオンライン授業を一斉にスタートしました。ライブ配信にこだわったのは、生徒に規則正しい生活を維持してもらうには「時間割」が効果的だと考えたからです。どんな状況にあっても学ぶ機会を保証すること、高槻の学びを止めないことを何より大切にしました。
こんなに早く対応してくれてありがたい、という声が大半でした。ただ学校としても初の試みですから、日々のオンライン授業の要望や不具合を自由に書き込めるフォームをウェブ上に作りました。「先生が教室の端に行くと画面内に映らない」「文字が小さい」「角度が見づらかった」などの細かなリクエストを吸い上げ、即応できる仕組みを作ったのです。
6月の学校再開後、全校生徒1600人にとったアンケートでは、「休校期間中に規則正しい生活が送れた」という生徒が6割以上、「オンライン授業に満足できた」生徒は7割以上でした。
平常通りの学校生活に戻ったいまも本校では、不測の事態が起こったらすぐにオンライン授業に切り替えられる体制を整えています。

ややこしい事態が発生しても、へこたれずにやっていける力、とでもいいましょうか。
一例を挙げると、本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されているため、「課題研究」の授業があります。これは、大学の論文の入り口のような学びで、個人やグループでテーマを決め、文献を調べ、実験やフィールドワークを重ねて課題解決を目指すというもの。その過程では、実験やインタビューがうまくいかなかったり、友人と意見が合わなかったりと様々な壁にぶつかるでしょう。でもそれをどうにか乗り越えていく体験が、予測困難な事態にも対応できる力とマインドを鍛える一助になると思っています。
今年の創立80周年にむけて、5年かけて新校舎の整備を進めてきました。最先端の設備を備えたサイエンス教室は七つ。その廊下壁面は全面ホワイトボードになっており、研究成果の発表の場にもなっています。キャンパス中央には重厚な図書館、プレゼンテーションやスピーチの場となる講堂、さらに、グローバル人材として日本文化の素養を身につけるための和室なども設けています。
また、全教室に整備した電子黒板やWi-Fi環境は、休校時のオンライン授業の際にも大いに役立ちました。
ヨーロッパ有数の伝統を誇るオックスフォード大学の図書館をイメージしています。森をさまようように知的な旅をしてほしいと、「学びの森(アカデミック・フォレスト)」と名付けました。
生徒にはこの場所で、最先端のICTを使いこなすと同時に、紙の本を通して先人の英知を存分に吸収してもらいたい。さらに、館内にある円形のアクティブラーニングコモンズでは、生徒同士、ひざを突き合わせて意見をぶつけ合う時間も大切にしてほしいと思っています。
大阪医科大学・大阪薬科大学と法人合併した本学では、高1の時点で医学部の学びを概観する講座を受けられるなど、医学を志す人には大変恵まれた環境が整っています。
ほかに、関西圏の大学から様々な分野の研究者を講演に招いたり、スタンフォード大学と本校が単独で提携してオンライン講座を開催したりと、旺盛な学習意欲に応えるプログラムが豊富です。政治や法、金融など、文系分野での活躍を目指す皆さんの挑戦もお待ちしています。
