世界に大きな混乱を招いた「新型コロナウイルス」の感染拡大は、いまだ収束を見せない。
教育においても休校・リモート授業など影響があったが、
今年は、様々な学校で今ある状況でできる最大限の「学びの場」を提供しようと動き出している。
コロナ禍での学校・教育とは何か?
リアルな体験や対面授業を重視するのはなぜか?名門3校の校長・部長先生に聞いた。
筑波大学附属中学校
佐野 淳 さん
[校 長]
本校は筑波大学との連携の下、教育研究を行う責務を持っています。生徒たちの知的・身体的・人間的成長を応援しながら充実した3年間を過ごせるようサポートするのは当然ですが、先導的教育・教師教育・国際教育の「三つの拠点構想」に基づき、日本の教育全体に貢献するという使命を負っている学校でもあります。
本校の教育をひと言で表すなら「自治」です。毎日の朝の会や終礼から伝統ある学校行事まで、主役は常に生徒たちで、生徒会や部・研究会なども自治の理念で進められています。
入学したての1年生を指導するのは上級生の役割。そして下級生も、入学して1年半もすれば自分が後輩を指導する立場になります。1学年200人の学校ですので、すべての生徒にリーダーとなる場面が用意されています。もちろん最初から上手にやれる生徒ばかりではありませんが、先輩や仲間が支えてくれるから不安だけどやってみよう、と思える。そんな「仕組み」のある学校です。運動会などをご覧になった外部の方が「先生たちは何もしないんですね」とおっしゃることがありますが、これは日ごろから生徒たちの自主性や協調性をしっかりと育て、事前に丁寧な準備を行っているからです。
高校内容までどんどん先取りするようなことはしないものの、中学校の学習を深く掘り下げた本質的な学び・発展的な学びに特色があります。中学校では本年度から新しい学習指導要領が実施されていますが、本校では以前から思考力・判断力・表現力を育ててきました。もともと実験学校でもあるので、他校に先駆けたユニークな学びは多く、生徒も戸惑いはなく意欲的に新しい課程に取り組めていると思います。学習だけでなくその他の活動においても、「ふりかえり」の時間を大切にしていることも特徴です。現在の自分の状況を知り、成長のためには何が必要かを考え、どうすればそれを実現できるか考える「自己調整力」を育てるうえで、「ふりかえり」はとても大切な作業だと考えています。
先日、ある生徒が「この学校は、全員の答えが同じになるような宿題を出さないんですね」と言っていました。たしかに、ある文章を読んで自分の考えを述べたり、調べた内容を自由な形式でまとめたりといった活動が学びの中心です。本校の学びの本質を、うまく言い表してくれた言葉だと思います。
最初にお話ししたように、本校では何事も生徒の自主性に任せる場面が多いですが、それは「しなければいけない」のではなく「できることが多い」学校と捉えてください。この学校には支えてくれる仲間と先生と「仕組み」がありますから、安心してチャレンジしてください。
昨年は新型コロナの影響で5月末まで休校を余儀なくされましたが、GW明けからオンライン学習に取り組み、ノウハウを蓄積することができました。万一の時にはすぐにオンラインに切り替えられる環境も整えました。一方、その経験を通して、同じ場所に集まり一緒に学ぶ、一緒に体験するという学校の役割の大きさを、生徒たちも私達も実感しました。どれほどICTが発達しても、このような学校の役割がなくなることは決してないでしょう。共に過ごし、互いの違いや良さを見いだし、尊重し合うことを大切にしていく学校です。
本校は、文京区の真ん中にあるとは思えないほど広い校庭など、恵まれた学習環境が整っています。来春またたくさんの新たな個性と出会えることを楽しみにしています。