新たな学習指導要領のもと、小学校中学年から外国語活動が導入されるなど、英語教育に注目が集まっている。
今後ますます進展するグローバル社会。関西の名門中高一貫校では世界で活躍するリーダーを輩出すべく、
英語教育でも特色ある授業・プログラムを導入している。
西大和学園が目指すもの、養っている力を探った。
西大和学園中学校・高等学校
井上大輝 教諭 外部教育機関担当部主任=写真右
北畑徳太 教諭 英語科=同左
北畑 アウトプットの機会が増えることを重視し、多読をはじめ、オンライン英会話・国際理解・他の教科を英語で学ぶイマージョン教育などに取り組んでいます。多読の授業は英語の本を読むだけではなく、英語で歌うなど、自分で英語を発して吸収する時間にしています。
井上 イマージョン教育は、体育と音楽で実施しています。授業中は英語しか使いません。生徒は最初不安になりますが、それこそが狙いです。私たちは「うまくできない」という感覚、いわば失敗を体験させたいのです。勉強はつまずきながら解決していくプロセスの上にあるものです。中学生から繰り返し失敗を経験することは、大学受験やその先の未来にもつながる力になると考えています。
北畑 中3では全員がアメリカでの12日間の語学研修旅行を経験します。
井上 生徒たちはそこで自分の英語力の足りなさを痛感します。これも失敗体験の一つです。帰ってきた生徒たちの雰囲気はガラッと変わりますね。
北畑 多読の授業で集中して本を読めなかった生徒が「もっと吸収したい」とかぶりつくようになる、ということも珍しくありません。
井上 語学研修旅行以外にも、長期の留学プログラムがあります。語学研修旅行で学びたいという気持ちを醸成していくので、非常に意識を高くもって取り組む生徒が多いです。

井上 教科を問わず、生徒の情報を、その生徒に関わる教員全員で共有しています。
北畑 英語科だから英語だけを考えるのではなく、全体のバランスを常に見ています。英語を頑張っているけれど、理科はさらに頑張らなくてはならないとなれば、英語を少しセーブして理科に重点を置かせます。
井上 教員と生徒が連携を取って足並みをそろえてやってきたので、生徒から直接相談を受けて、他の教員に共有することも頻繁にあります。
北畑 東大・京大だけではなく、昨年度ではアメリカのカリフォルニア大学、カナダのトロント大学に合格した生徒もいました。
井上 英語に限った話ではありませんが、学年ごとに内容を変えながら、オーダーメイドの授業を進めています。年度ごとではなく、月ごと、もっといえば週単位、そして生徒単位で学習進度を変えます。生徒たちにとって今何がベストなのかを常に意識し、生徒に寄り添った学習指導を進めることが大切だと考えています。

中2の多読の授業は、授業開始と共に生徒たちが本棚から本を選び、自席に戻って読み進めていく。生徒の中には途中で本を変え、選び直す姿も見られた。読み始めて15分、担当教員が数人の生徒を指名。生徒は本に書かれていた内容を英語で発表していく。さらに2〜3人のグループをつくり、互いの本の感想を発表して、質問をぶつけ合う。後半はまた別の本を選び、同様の発表と会話を繰り返した。
中2から開始する多読は、最初の時点ではスタートラインを合わせ、教員側が読む本を指定する。しかしすぐに何を読むかは生徒の自主性に任せるのだという。同校が多読を通じて狙うのは、とにかく英語にふれる機会を増やすことだ。そのため本を読むだけではなく、リスニング教材を使ったり、発表や歌を歌ったりと様々なアクティビティーも行っている。
また多読の授業では長時間英語に集中できる力を養うことも目的に掲げているという。大学受験では長文を読んで理解することが求められるため、中学時代から徐々に英語の文章に向き合う時間を増やし、多くの単語を浴びる。「とにかく自分から英語で発信し、英語を吸収してもらいたい」。教員の思いに呼応するように生徒たちが活発に英語でやりとりする姿が見られた。
