社会の変化や複雑化にともない、中学・高校での学びのスタイルも多様化しています。
名門中高一貫校では建学の理念を大切にしながら、時代に即した学びも柔軟に取り入れています。
ここでは名門中高一貫校が6年の学びでどんなことを重視しているのか、3校の校長に聞きました。
渋谷教育学園渋谷中学高等学校
高際伊都子さん
[校長]
本校は教育目標として「自調自考の力を伸ばす」「国際人としての資質を養う」「高い倫理感を育てる」の三つを掲げています。「自調自考」とは何ごとにも好奇心をもち、「自ら調べ、自らの頭で考えて行動する」こと。先行きが見えず、正解のない時代に最も必要な力です。
「自調自考」にはもう一つ、「自分を調べ、自分を考える」という意味もあります。中学高校時代は自分のアイデンティティー、軸を確立する大事な年代です。自分は何が得意で、どんなことにやりがいを感じるのか。将来、自分は社会でどのような役割を果たすべきか。授業や学校行事、クラブ活動、課外活動を通して自分の可能性を広げ、考えていただきたいと思っています。
本校は生徒の1割以上が海外生活経験のある帰国生で、留学生も受け入れています。多様性のある環境で、自分とは異なる価値観に触れることで、国際人としての資質が養われます。生徒の1割ほどが海外大学に進学するのも大きな特色です。
本校は自由な校風で、生徒の自主性を重んじています。でもそれは、何をしても許されるということではありません。むしろ社会の構成員としての責任を果たし、他者に配慮し、自ら自分の行動を律することが求められ、必要なルールは自分たちでつくっていく、そんなグローバル社会で求められる高い倫理感を育むことを目指しています。
本校の授業はインプットとアウトプットのバランスを大切にしています。英語の授業では、役を決めて演じるスキット(寸劇)コンテスト、スピーチコンテストなど、日頃の学習成果を披露する場を用意しています。教科を問わず、探究型学習、グループワークやプレゼンテーション、フィールドワークが多いのも特色です。
そんな本校の学びの集大成となるのが「自調自考論文」です。高校1年から2年をかけて、1万字程度の論文を書きあげます。論文執筆においては、「問いを立てる」ところを大切にし、丁寧に時間をかけています。自分の興味関心がどこに向いているのか、課題をどのように捉えているのかを深く考える機会になります。そのうえで教員との面接、ゼミでの中間発表などを経て論文を完成させます。「帰国生の日本語オノマトペに対する印象は生活環境によってどう変わるのか」「プロ野球を18球団にする場合、どこをホームにすべきか」などといったユニークな研究も多く、私も毎年、読むのを楽しみにしています。
本校では課外授業として希望者がヴァイオリンやビオラ、チェロ、コントラバスなどを学べる「弦楽器講座」、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などを学べる「第二外国語講座」も用意しており、多くの生徒が受講しています。
クラブ活動も活発で、多くの生徒が兼部しています。自分たちで同好会をつくることもできます。地球規模の課題に関心をもつ生徒も多く、模擬国連部の部員が世界大会で最優秀賞を受賞したり、国際高校生会議に参加したりするなど活躍しています。
現在の中学生、高校生が大人になって活躍するのは変化が激しく複雑で、国籍を越えた多様な価値観をもつ人が協力して生きる世界です。そこで自分は何をすべきなのか。どう世界の課題と向き合うのか。そのための軸を、ぜひ本校で見つけてほしいと願っています。
本校の試験は問題文が長く、記述解答が多いのが特徴です。それは本校の授業が、書くことを重視しているからでもあります。好奇心旺盛で、自分の頭で考えることが好きで、いろんなことに挑戦したい。そのような環境で学校生活を送りたいと思う皆さんとワクワクするような学校生活を一緒に過ごしていきたいと思っています。