社会の変化と高度化により、大学はもちろん社会に出てからも学び続けることの重要性が高まっている。
そして大学や社会での学びの土台となるのが、中学・高校での学びである。
そこで各界にリーダーを送り出している名門中高一貫校では今、どのような授業をおこなっているのか。
西大和学園中学校・高等学校の教育現場を取材した。
西大和学園中学校・高等学校
髙﨑道裕教諭
本校は進学校なので、難関大学の合格を勝ち取るため、テストで良い点をとるための指導にはもちろん力を入れています。でもそれを一番の目的にしているわけではありません。本校が目指しているのは、世界で活躍できるグローバル人材の育成です。そのため英語を道具として自由自在に使いこなせる力、また国際感覚を養うことを重視しています。
本校の教員は学年持ち上がり制なので、その学年のクラスの生徒の状況にあわせ、カリキュラムや教え方を柔軟にきめ細かく調整しています。授業のスタイルも教員によって異なります。中学では大きく読解(英語A)と文法(英語B)にわけて指導し、中2までに中学の義務教育課程の文法は終了します。さらに現在は週1コマずつ「オンライン英会話」と「多読」の授業を行っています。英語習得に欠かせない多読多聴は、生徒らが24時間いつでも自由に膨大な洋書にアクセスできる環境をオンラインで用意しています。「仮定法」や「関係代名詞」など、生徒が苦手だと感じ、補強したいと思うテーマを学べる学年を超えた補習授業も行なっています。
変に真面目すぎたり、理屈っぽかったりする生徒は成長が遅い傾向があります。言葉というものは、必ずしも理屈で説明できない部分が多々あります。そんなところに妙にこだわり、学習スピードが滞る生徒がたまにいるんです。逆に「なぜそう言うのか」などと考えず、「アメリカやイギリスではそう言うのか」と考え、覚えてしまう。間違いを恐れず、どんどん使う。そのような生徒のほうが英語は速く上達します。

その一貫で今年から、グローバル教育プログラムを提供するISAと連携したGCP(グローバルコンピテンスプログラム)を実施しています。英語を使って異文化を理解し、グローバル時代に必要なコミュニケーションスキルや思考力などを養うプログラムです。例えば「エンパシー(共感)」をテーマに4,5人のグループでディスカッションし、英語で発表します。先生の指示や生徒のアウトプットは英語ですが、グループ内でのディスカッションは日本語を使っても許されます。
中3の10月に全生徒が12日間、アメリカの西海岸とユタ州に語学研修に行きます。この研修を体験した生徒は、英語をもっと学びたいとモチベーションが大きく高まります。さらに希望者は中3の終わりに、カナダやアメリカへ短期留学するプログラムもあります。高校ではアジアで文化遺産に触れ、現地の生徒と交流したり、世界各地の優秀な若者と交流したりするプログラムも用意しています。
英語が話せなくても、日本で生きている限り、生活に苦労することはないかもしれません。でも世界は広く、英語ができないと見えない世界があり、つながれない相手がたくさんいます。英語ができることで、その人の可能性が大きく広がることは間違いありません。英語を学ぶことは、未知なるものへの探究心や、新しい世界へ挑戦しようとのマインドにもつながります。本校で英語を一生懸命学んだ生徒の多くが今、海外で起業したり、社会課題解決のために新たな取り組みに挑戦したりしています。ぜひ本校で、英語という武器をしっかり磨き、世界を舞台に活躍してほしいですね。

「エッセイって何ですか? 随筆のことです。随筆とは個人のエピソードを書き、そこから教訓や提言を伝えることですね」。そう語り、『徒然草』の例を挙げながら、エッセイとは何なのかを説明する髙﨑先生。読解を主とする中3の「英語A」の授業は、そんなシーンから始まった。
「僕にはこの文章はこう見えています」。映し出した英文には、ところどころ黄色や青のマーカーが塗られ、紫や赤のペンで丸がされている。「こんな風に視覚的にとらえられれば、どこを読めば良いかわかる。随筆で大事なところは、一般化されている箇所です。それは現代文も古文も同じです。」
エッセイを読むうえでの大事なポイントを確認した後、改めて本日学ぶテキストが映し出される。単語の一部が青字や赤字になっており、下線が引かれている部分も。さらに髙﨑先生は、単語をマーカーで囲ったり、書き込みをしたりしながら、「過去形で書かれているところはエビデンス。著者が本当に言いたいことはここにはないよね」などと解説する。文法的な事項や単語については板書での解説も併用する。
この授業では、テキストの音読をみんなで行うが、英文を逐一、和訳することはしない。英文の構造や論理、単語の役割を理解することを重視している。それこそが、英語を英語のまま使う力につながるからだ。
「このWhereってどういう意味? ○○くん、どう?」と個人を当てたかと思えば、「なんでここに下線部が引かれていると思う? 話しあってみて」とディスカッションをうながす。テンポの良さ、緊張と弛緩のバランスが絶妙だ。
今回のエッセイは、インドネシアの女の子が学校に行けず、弟の学費のために働いているといった内容。ジェンダーや貧困といったSDGsにもつながる社会課題をテーマにしたものだ。生徒らは事前にこのテキストに基づく問題集を解き、答えを確認したうえで授業に臨んでいる。双方向型で反転学習のような、とても先進的な授業だった。
