国際社会にも日本にも課題が山積し、先の見えない現代社会。子どもの将来のために、どんな力をつけさせるべきなのか。名門中高一貫校ではどのような教育を行っているのか。関西有数の名門校の校長先生に聞きました。
四天王寺高等学校 四天王寺中学校
中川章治校長
本校は聖徳太子が建立した四天王寺の境内にあり、100年以上の歴史と伝統を持ちます。仏教に基づく「和のこころを育む教育」と一人ひとりの個性を尊重した「女子教育」を根幹に、「気づく感性」「創造力」「やり抜く力」を育むことを目指しています。とりわけ変化の激しい今の時代、決めた目標にむけて粘り強く努力を重ね、やり抜く力がますます大事だと考えています。
小学校時代にきちんと勉強する習慣をつけ、志望校合格という目標に向かって努力を重ねて本校に入学してきた。そんな成功体験があるからだと思います。本校の生徒はこちらが感心するくらい、みんなコツコツと勉強します。試験の時以外にも、自習室は机に向かう生徒でいっぱいです。周囲がそのような生徒ばかりだと、自然と「努力すること」「やり抜くこと」が当たり前になるのだと思います。
多様性が求められるこれからの時代のリーダーには、多様な人々に寄り添いながら、みんなの意見をまとめる力が必要です。そういった意味でも「和のこころ」の重要性はますます高まっています。仏教が大切にしている「利他の精神」や「感謝の気持ち」は、グローバル社会で自分の力を発揮して活躍する上でも重要だと考えています。
本校では成長期の女子に配慮した教育を行っています。例えば、特に中学生の女子は、一つひとつ納得し、段階を追って学びを深めていく傾向があります。そこで復習や反復学習を重視し、質問にも丁寧に対応するなど、きめ細かな教育を行っています。本校の先生は「教えること」が大好きな方ばかりで、生徒からの質問はいつでも大歓迎です。放課後、先生に気軽に質問できる「学習プラザ」もあり、質問をする生徒の行列ができている風景をよく見かけます。異性の目を気にせず、自分がやりたいことに思いきり挑戦できるところも、女子校の良さだと感じています。

本校は英数コース、英数Sコース、医志コース、文化・スポーツコースの4つのコースからなります。英数コースと英数Sコースは文系理系を問わず最難関国公立大学を目指しますが、学習のスピードが異なります。英数コースは弱点を補強しながらやり直しノートで復習する、本校の伝統的な学びを重視したコースです。英数Sコースはそれより学習進度が速く、演劇教育や英語劇など独自の取り組みがあります。医志コースでは、仏教教育を基盤とした高い倫理観を備えた医師となるための講座も用意しています。文化・スポーツコースからは、みなさんもよくご存じの有名アスリートが多数、誕生しています。
国際感覚を磨くグローバル教育と探究的な学びです。英語はネイティブ教員による英会話授業や少人数の校内語学研修などで実践力を鍛えます。イギリスの名門パブリック・スクールや名門女子校で授業を受け、課外活動で英国文化に触れたり、オーストラリア・ブリスベンでホームステイをしながら英語力を磨いたりする海外研修プログラムも用意しています。「総合的な学習の時間」の探究プログラムはコースによって異なりますが、英数Sコースでは海外で盛んな演劇教育も採り入れています。プロの劇団員の指導のもと、生徒が協力して舞台作品をつくりあげることで、コミュニケーション能力や表現力、協調性などを磨いています。
自分らしさや個性は、様々な経験を通じて培われていきます。中学高校時代に色々なことを経験してほしいとの思いから、体育祭、文化祭、合唱合奏コンクール、創作ダンス発表会、英語暗唱大会など毎月のように行事があります。卒業生は「中学高校時代は忙しかったけど、最高に楽しかった」とよく言います。そんな濃密な6年間があったからこそ、本校の生徒は卒業後、様々な分野でエネルギッシュに活躍しているのだと思います。

医学部に進む生徒が多く、全体の7割が理系に進んでいます。ただ本校の生徒には文理を問わず、幅広い分野で活躍してほしいと願っています。医師や研究者になる方、枠にはまらず新しいことに挑戦する卒業生が多いです。「女子大学生には“共学出身”“女子校出身”“四天王寺出身”の3タイプがいる」と言われるほど、意欲的な卒業生が多いようです。
本校の卒業生はみな母校愛が強く、卒業後もよく遊びに来てくれます。学習サポーターとして、生徒の勉強や進路に関する相談や質問に対応してくれる卒業生もいます。キャリア教育にも協力的で、各界で活躍している卒業生が喜んで講演をしてくれます。身近なロールモデルの話から生徒は大きな刺激を受け、進路の選択や学習意欲の向上につながっています。本校が大好きだからと、教員として赴任してくれる方も多く、女性教員の半分が卒業生です。
国語の読解問題はとても文章量が多いのが特徴です。算数は論理的な思考力や考察力を問うものが多く、一見難問に思えますが、手順を追って考えれば解ける問題です。理科や社会は非常に広範囲から問題が出題されます。本校は難関校といわれますが、難問奇問を出しているわけではありません。基本的な知識をしっかり身につけた上で、正確な読解力と、複雑なものを粘り強く考え、答えを導き出す力を見ています。
女子は小学校の後半から中学にかけて、学力も心身も大きく成長します。この時期に学習習慣をつけ、知力を鍛えておくことはとても大事です。受験勉強は大変かもしれませんが、最後まで諦めずに頑張っていただきたいですね。学力というものは最後の最後まで、勉強しただけ着実に伸びます。そして結果はどうあれ、最後まで頑張り抜いた経験は生涯の財産となります。保護者のみなさんには、そんなお子さんの頑張りを、ぜひ温かく見守ってあげていただきたいと思います。
