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中学受験 SAPIX 小学部

INTERVIEW 学びの選択 2024

どんな社会でも活躍できる
価値観と人間性を養う

神戸女学院中学部・高等学部
森谷 典史部長

難関大学への進学者が多い中高一貫の伝統校では、どのような教育を行っているのか。生徒たちはどのような学校生活を過ごしているのか。 関西を代表する名門女子校、神戸女学院中学部・高等学部の森谷典史部長に話を聞きました。

「他者のために」生きる人材を育てる、キリスト教に基づく人間教育

――先生から見た貴校の生徒の印象や特徴を教えてください。

よく卒業生が「うちの出身者は大学や会社で出会ってもなんとなくわかる」と言います。今、世の中全般に自分ファーストの傾向が強まるなか、本校の卒業生は他者に寄り添い、他者のために自分は何ができるかを常に考える傾向があります。それは本校が、キリスト教による人格形成を何より重視しているからです。

――貴校の卒業生は、社会の幅広い分野で活躍されていますね。

本校では毎朝、8時30分に全校生徒、全教員が講堂に集まって礼拝を行います。そこでは教師や牧師、生徒がさまざまな話をします。その話を通して、生徒は「自分は何者か」「自分は何のために生きているのか」「どう生きるべきか」「社会や他者のために何ができるか」といったことを自らに問いかけます。学校生活を通じて、その答えを自ら見出していきます。

そうやって自分のミッションが明確になれば、勉強にも全力で取り組むし、社会に出てからも困難を乗り越えられます。それが本校の卒業生が、幅広い分野で活躍している一番の要因だと思います。枠にとらわれない挑戦をする卒業生が多いのも、自分のこだわりより「他者のため」を優先する価値観をもっているからだと思います。

――貴校は制服や規則がない、自由な校風でも知られています。

確かに本校はとても自由な校風です。ただ誤解していただきたくないのは、自由だからといって何をしてもいいというわけではないことです。自由には責任がともないます。自由だからこそ、生徒は自分の服装や行動が周囲に迷惑をかけないか、不快な思いをさせないかなどを考え、自分の振る舞いを律していかなくてはなりません。それは先生に決められたルールを何も考えずに守ることより、ある意味で厳しい面もあります。でも社会が大きく変化し、従来の常識や慣習、法制度がどんどん変化していくこれからの時代、そうやって何事も自分で考え、判断していく力は、ますます大事になってくると思います。

身近なロールモデルに触発され、6年間で大きく成長する

――緑豊かな環境、文化遺産にも指定されている美しい校舎も魅力です。

本校のキャンパスは「真に芸術的な建築、学習空間は優れた人格を形成する」との理念のもと、ウィリアム・メレル・ヴォーリズによってつくられたものです。訪れた方はよく「ここだけゆっくりした時間が流れている」と言われます。でも実は勉強の速度や行事の進行はとても早いんです。例えば数学は高1で高校の全カリキュラムを終えます。その速度に早く慣れてもらうために、中学では丁寧にフォローしています。入学前のデイキャンプでは、同級生や先輩と仲良くなれる企画を用意し、困ったら先輩に相談できる環境を整えています。

――クルー・メソッドという独自の英語教育にも定評があります。

本校では赤ちゃんが母語を覚える過程を再現するように英語を学びます。まず発音を徹底的に身につけ、中学の授業はオールイングリッシュで行います。日本語を介さず英語で考え、コミュニケーションできる力を育みます。高校卒業時には、英語で議論できるレベルを目指しています。そうやって英語を道具として使いこなす力を身につけた本校の生徒は、海外に出ることに躊躇がありません。多くの卒業生が世界中で活躍しているのも、そのためだと思います。最近は海外の大学に直接進学したり、日本の大学に進学したうえで交換留学制度を使って海外の大学で学んだりする卒業生も増えています。

――部活や行事もとても活発ですね。

体育祭や文化祭などの行事は、企画から運営まですべて生徒たちが主体となって行います。1年ほど前から話しあいを始め、プログラムやルールなどを決めています。普通の進学校は行事のリーダーは高2が担いますが、本校では高3がリーダーを務めます。はるかに年の離れた大人ともいえるリーダーと活動するなかで、中学生も大きく成長していきます。本校では先輩という身近なロールモデルの存在が、生徒の大きな成長につながっています。

また実は本校でリーダーを務める生徒は、小学校時代は引っ込み思案だった子どもが少なくありません。部活動や行事で頑張っている先輩に触発され、勇気を出して役割を引き受けた結果、人間的に大きく成長し、リーダーシップを発揮するようになった生徒が多いのです。

――同級生や先輩後輩、卒業生との絆も強そうですね。

本校は一学年140名ほど。高校からの募集はないので、140人が6年間をともに過ごし、卒業する頃にはほとんどの生徒と信頼できる友達になっています。数学オリンピックなどで活躍する生徒、部活や行事でリーダーシップをとる先輩などに刺激を受け、生徒は大きく成長していきます。卒業生が大学生活や仕事の話をしてくれる場も多く、ロールモデルを通じて生徒たちは自分の将来の目標をもちます。OGは将来や就職に関する在校生からの相談に、親身になって応じてくれています。卒業後もOGはさまざまなかたちで応援、支援してくれています。本校は歴史もあるだけに、どんな国にいっても、どんな分野で仕事をしても、たいてい先輩がいることは、大きな支えとなっています。

「難関校、医学部進学率が高いから」との理由で選んでほしくない

――入試問題は文章量が多く、難しい問題もよく出ますね。

やさしいほうが多くの方に受験いただいて良いのですが、やさしい問題で合格できるとなると、そこで成長が止まってしまいます。中学入試で難しい問題を経験した子どもは、より高度な問題へも果敢に挑戦していきます。だからあえて、本校では難しい問題をいれています。記述式が多いのは、単なる知識の詰め込みではなく、自分の頭で考える力を見極めたいからです。

――入試科目に体育があるのもユニークです。

困っている人がいたとき、躊躇せず一歩踏み出せる。苦手なことでも、目標達成のためには頑張って挑戦しようと思える。そのようなお子さんにこそ、本校に来ていただきたいと思っています。そこであえて、受験科目に体育を入れています。体育の試験はなわ飛びやマット運動、ハンドボール投げ、バスケットボールのシュートなどですが、みなさんしっかり練習を重ねていて上手です。

――貴校を目指すお子さんや保護者へのメッセージをお願いします。

本校は自分がやりたいことを、なんでも主体的にやれる場です。6年間、さまざまなことを経験し、自分が人生をかけてやりたいことを見つけてほしいですね。大学受験のため、医学部進学率が高いからとの理由で本校を選ぶことはやめていただいたほうが良いと思います。実際に「受験を控えた大事な時期に行事などさせず、もっと受験勉強をさせほしい」と保護者から言われることもあります。

でも大学は、人生における一通過点に過ぎません。中学高校時代は、人生100年時代と言われる長い人生を充実して生きるための基礎的な力と人間性を磨くことが何より大事です。生徒は6年間の学校生活を通じてそのことをよく理解し、「この学校で自分は大きく成長できた」と喜んでくれています。保護者のみなさんにも、ぜひ6年間でのお子さんの人間的成長を味わっていただきたいと思います。まずは学校見学会や文化祭で本校の雰囲気を感じていただければと思います。

神戸女学院中学部・高等学部
森谷 典史部長

もりたに・のりひさ/大阪教育大学大学院卒業後、1990年から神戸女学院中学部・高等学部の数学教員に。2020年から現職。
※掲載内容は取材・作成当時のものです。
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