学びの選択 2024
SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表
代々木ゼミナール副理事長
髙宮 敏郎氏
難関大学への進学者が多く、人気の高い名門中高一貫校ではどのような教育を行っているのか。名門校の魅力はどんなところにあるのか。SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表の髙宮敏郎氏に聞きました。
人生においてもっとも多感で、飛躍的に成長する中学高校の6年間、どのような環境、人間関係で学ぶかはとても重要です。そういった意味でも、歴史ある名門中高一貫校の最大の強みはコミュニティーではないかと思います。
良い学校の構成要素は三つあります。教育理念を含めた教育コンテンツ、教員、そしてそこに集まる生徒です。このどれが欠けても学校は成り立ちません。そしてこの三つを根底で支えるものこそが、その学校の文化や価値観です。名門校は建学の精神にのっとり、長い歴史のなかで培ってきた独自の文化や価値観をもっています。それは決して偏差値などで数値化できるものではありません。また名門校といってもその文化や価値観は多様です。それがお子さんに合うものかどうかを見極めることが大切です。
そのような名門校の文化や価値観に共鳴し、難しい試験を突破して入学してきた生徒、保護者、OB・OGの絆はとても強いものがあります。そこで6年間ともに学び、部活や学校行事に汗を流した学友の存在は生涯の宝です。さらにさまざまな分野で活躍されているOB・OGやそのご家族を含めたコミュニティーとしての価値は、卒業後にさらに増すでしょう。
名門校はどこも部活や生徒会、学校行事が活発です。これらの企画運営はたいてい生徒に任せられており、生徒が主体的に取り組んでいます。これらの活動は、社会に出る前の疑似体験の場であり、そこでの経験が社会に出てから大いに役立ちます。名門校は授業だけでなく、部活や生徒会、学校行事の内容や運営においても、長い歴史のなかで蓄積されてきたものがあります。「昨年よりさらに良いものを」と長年、試行錯誤を重ねてきたノウハウ、生徒をより成長させるためのしかけがあるのです。
名門校の授業では、基礎知識やベーシックな学びも決しておろそかにはしていません。そのうえで昔から、自分の知的好奇心のもと、自ら探求を深めていくような学びを大切にしています。教員には博士号をもった方や、独自のスタイルで授業をされる名物先生が多くいます。授業の中身はたいてい一人ひとりの先生に任されています。生徒の知的好奇心をくすぐり、自ら学ぶ意欲を高めるにはどうすればよいのか。先生方は常に研究され、授業に独自の工夫をしています。
名門校は毎年、難関大学の合格者を数多く出しています。でも実は多くの学校では、難関大学に合格するためのノウハウや知識の伝授にことさら力を入れているわけでもありません。それより「よく遊び、よく学べ」の精神の学校が多いのです。名門校は6年間の学校生活を、大学受験のための手段にはしていません。どんなに時代が変化しても、長い人生を自ら切り開いていくための力を育むことを、何より重視しているのです。
受験生や保護者のみなさんには、志望校は偏差値だけでなく、自分はこれからどのようなコミュニティーに属したいのか、そこでどんな力をつけていきたいのかといった観点で、ぜひ学校を選んでほしいと思います。そのためにはその学校の校風や文化、雰囲気を知ることが大事です。今はネットやさまざまなメディアにより、その学校の文化や価値観、卒業生の活躍ぶりを簡単に知ることができます。また一度は、学校見学会や文化祭などを訪れ、その学校の雰囲気を体感することをおすすめします。