学びの選択 2025
大阪星光学院中学校・高等学校
田沢 幸夫校長
各界で活躍する卒業生を送り出している中高一貫名門校では、どのような教育を行っているのか。生徒たちはどのような学校生活を過ごしているのか。 関西を代表する名門男子校、大阪星光学院中学校・高等学校の田沢幸夫校長に聞きました。
最近は少しおとなしくなりましたが、大阪らしい活発で個性的な生徒が多いですね。独自の世界をもっていたり、自分なりの興味分野があったりする生徒も多いです。本校はキリスト教の精神に基づき、どんな生徒もかけがえのない存在だと考えています。一人ひとりのありのままの自分らしさを大切にするので、安心して自分がやりたいこと、好きなことができます。とくに男子校ということもあり、周囲の目を気にせず、自分が好きなことをとことん追求できるところが本校の良さだと思います。
本校は聖ヨハネ•ボスコが創立したカトリック・サレジオ修道会が、1950年に創設した学校です。聖書の言葉に由来する「世の光であれ」を校訓とし、自分の個性を磨き、周囲を明るく照らせるような人間を育てることをミッションとしています。自分の出世やお金儲けを目的にするのではなく、社会や人のために自分の可能性を伸ばし、貢献できる人間を育てたいと考えています。
教育理念は「ともにいること」を意味するイタリア語の「ASSISTENZA(アシステンツァ)」です。この理念に則り、教員と生徒が共に多くの時間を過ごし、必要なときに成長を手厚く支援しています。生徒同士も支えあい、みんなで成長することを大切にしています。そんな本校では教員と生徒の関係もとてもフランクで、私自身もよく生徒と将棋やオセロで遊んだりしています。
本校は和歌山県みなべ町の南部学舎と、長野県信濃町にある黒姫星光山荘という二つの合宿所をもっています。南部学舎では磯の生物調査や星空観察、浜辺での詩作やスケッチ、塔の高さを計算で導き出す計測、熊野古道散策、調理実習などを行います。黒姫星光山荘では登山やスキー、キャンプファイヤー、農村生活体験などを行います。みんなでゲームをしたり、球技をしたりして楽しむ時間も用意しています。1年に1回は月曜から金曜までの全員参加の合宿を行い、希望者や部活での合宿もあります。生徒は6年間で約60日の合宿を体験します。この合宿を通して生徒の絆が深まり、一生涯の友人がつくれます。合宿が生涯忘れられない最高の思い出だと語る卒業生も多く、この合宿を目的に本校への入学を希望する生徒もいます。
中学の校舎に隣接して「聖トマス小崎研修館」があります。ここで中1の4〜6月にかけて、生徒が30名ほどのグループに分かれて2泊3日の共同生活をします。そこで学習習慣を身につけてもらい、感謝と祈りの時間などを通し、キリスト教的な価値観に親しんでもらいます。さらに月曜から土曜までの毎日の朝の放送で、神父や教師が生徒の心の成長につながるような話をします。
カリキュラムは中高一貫校のメリットを活かし、大きく三つに分けています。第1期(中1・中2)では基礎学力を培い、第2期(中3・高1)では教科の枠を超えて知識を関連づけたり、体系化したりする力を養い、将来についても考えはじめます。第3期(高2・高3)では理系・文系に分かれ、各自の進路目標に向けた学力をつけ、社会で自分は何をすべきかといったキャリアプランについての考えも深めていきます。
進路指導や面談のための教室や、生徒の質問に先生が対応するスペースなどを設け、細やかな学習指導を行なっています。本校の教育の目的は、決して生徒を難関大学に入れることではありません。しかし生徒が将来の夢ややりたいことのために行きたい大学があれば、その大学に合格できるためのサポートはしっかり行なっています。
聖ヨハネ・ボスコの言葉に「生徒には、跳び回ったり走ったりして発散する機会を大いに与えよう。スポーツ、音楽、発表会、演劇、遠足等は、規律や道徳、健康のために非常に効果的な手段です」というものがあります。その言葉の通り、本校では生徒が学校生活を楽しみ、様々な体験ができる場をたくさん用意しています。部活にはフィールドホッケー、けんだま同好会、ライフル射撃同好会などユニークなものもあります。スクールフェアと名付けた文化祭も毎年、大変盛り上がります。去年は生徒が大教室に木を組み立ててつくった手動のジェットコースターが大好評でした。コンテスト等への参加も積極的で、国際物理オリンピックでは毎年、好成績をあげています。
中3と高1で希望者が参加するオーストラリアでのホームステイには、学年20名が参加します。ボストンに1週間滞在し、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の特別講義を受ける研修など、レベルの高い海外研修も行なっています。学校にハーバード大学生を招き、英語で交流するプログラムも好評です。
中2から高2の希望者が参加できるサイエンスツアーでは、スーパーカミオカンデやJAXA筑波宇宙センターなどを見学します。様々な分野で活躍しているOBによる特別授業「ほしゼミ」も好評です。さらにキャンパスでOBの話を聞く京大キャンパスツアー、東大キャンパスツアーも実施しています。
ちなみに今年の高校2年の修学旅行はフィリピンへ行き、姉妹校の生徒と交流します。サレジオ修道会は世界中にあり、そのネットワークは卒業後も様々なかたちで役立ちます。
様々な行事や部活で時間を共有した生徒同士の絆は深く、本校の生徒はとても母校愛が強いんです。社会人になってからの結束も強く、教員として本校に戻ってきてくれるOBも多くいます。そのような教員が、本校の伝統や良さをわかったうえで生徒に接してくれることは、とてもありがたいことだと思っています。
本校は4クラスのうち3クラスが理系です。よって理系に進む生徒が多いです。医学部進学者も毎年、一定数います。でも卒業生が活躍している分野はとても幅広いです。なかにはアイドルや芸人になる人もいます。みんな自分らしく活躍していることは、一人ひとりの個性を大切にする本校で、6年間自分らしく個性を磨いた結果だと、嬉しく思っています。
小学校時代は色んな体験をし、何にでも一生懸命取り組んでほしいですね。とくに友達は大切にしてほしいと思います。本校は自分とは異なる考えの人を尊重し、人との関わりを大切にすることを、何より重視する学校です。保護者のみなさんに対しては、お子さんを信頼し、あまり細かなことにまで口出しせず、何ごとも温かく見守っていただければと思います。