齋藤薫の美しい歳の重ね方
老けない=太らない、たった1つの食の鍵!?
(イラスト:ソリマチアキラ)
人間は、食べたモノでできている……年齢とともにますます強く、そう思う。なぜなら私自身、"体を老化させない食"を始めたとたん、心も体も軽くなり、気がつけば痩(や)せてもいたから。正直、痩せたいとダイエットしていた時はなかなか痩せなかったのに、心と体の健康を意識しただけで、いつの間にかするすると。
具体的に何をしたのか? ズバリ砂糖を減らしただけ。食べる量は全く減らしていない。ただ一品、多分取りすぎていた砂糖を控えただけである。これが不思議に、いわゆる糖質ダイエットをしていた時は、体に良い変化は特に起きず、だから単に甘いものをやめるだけで痩せるとは思っていなかった。若いうちならまだしも、更年期を超えるとその程度では体は変わらないと。しかし、砂糖をなるべく控えることを習慣にしたとたん、何よりもまず健康になる実感があった。砂糖と老化の関係は様々に語られてきたが、ともかく何だか元気。朝の目覚めもすこぶるいい。体が軽くなり、動くことが苦じゃなくなった。しかも心が軽いから、いろいろなことに前向きになれることも大きかった。ましてや我慢するダイエットとは全く意味が違う。砂糖の代わりに、蜂蜜やメイプルシロップ、新鮮な果物などで甘いモノをとれば良いのだから。
そもそも砂糖を控えようと思うに至ったのは、ある女優さんの体験談で精神的に健康になったという一文に心惹かれて。様々な説があるものの、この人は明らかにイライラやウツウツがなくなったと言うのである。心と体がともに健康になる老化防止の食習慣なんて理想も理想。ぜひやってみたいと考えた。それにしても砂糖1つで、そこまで変わるとしたら、やっぱり食べ物が人間の有り様も心も変えるのだという動かぬ証。老けない=太らないと言うのも、何か人間の大切なツボを突いてる気がしてならなかったから。
砂糖を控えることは、たぶん1つの浄化につながるのだろう。なぜなら人類が加工された甘いモノを口にするようになったのは、言わばごく最近のこと。だから本来体に合わないのだという説も……。
もちろん、甘いモノは魔物。それを抑えるなど本当にできるの? と思うはず。しかしこれが不思議なことに、苦しいのはわずか3日間だけ。すぐに慣れて1週間後には逆に甘いモノをあまり欲しなくなるくらい、食習慣は簡単に変えられるのだ。結局のところ人類は、歴史的にそれほど甘いモノに浸ってこなかったから切り離すことも意外に簡単なのかもしれない。難しいと思い込んでいるだけで。
それも含めて嬉しい誤算であり、あまりにも説得力ある食の真実。心と体に良いことを続けていれば、歳を取らないし、痩せられる、そういう素晴らしい方程式があることは確かなのである。
かくして、心も体も食べたモノでできているという考え方、逆にそういう意識を持たないと、これから嫌でもやって来る100年寿命をイキイキ生きていけないと肝に銘じるべき。でも食べないほうがいいものだけ、たった1品抜くだけで、身も心も浄化され、ネガティブ要素がなくなっていくなんて、何とも賢い、素敵な習慣だと思わないか?
齋藤 薫
さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)ほか著書多数。