Beauty
2026.07.30

齋藤薫の美しい歳の重ね方
全く見えないから怖い、衰え要因
「ゴースト毛細血管」こそケアすべき!

ボンボンのイラスト

(イラスト:ソリマチアキラ)

目に見える衰えと、目に見えない衰え。どちらが怖いかといえば、もう圧倒的に後者。目に見えないからこそ、人生にも深く関わってくる。中でも1番厄介なのが、血管の衰え、いわゆる「ゴースト毛細血管」だろう。言うまでもなく、人間のライフラインそのものだから。全身に約1000億本あるといわれる血管の99%が毛細血管、それが加齢とともにどんどん劣化して、形はあるのに血管として使われていない、まるで街がゴースト化するように消えてしまうからこその「ゴースト毛細血管」。これは30代後半、40代くらいから始まって、60代になると、末端まで届く毛細血管の数は20代と比べて4割も減っているともいわれるほど、知れば知るほど深刻なのだ。

ただそうとわかっていても、自分の毛細血管が衰えているという自覚症状がもてないからこそ、なおさら怖い。いや、自覚症状がないのではなく、血管老化が原因となる症状があまりにも多くて追い切れないというのが現実なのだ。だから何らか、「あれ?」と思うことがあったら、まずは「ゴースト毛細血管」を疑ってみることなのである。

例えば私がそれを疑ったのは、夏でも足がむくみ、ストッキングを履かなければならなかったから。病院にも相談したが"体質"としか言われずモヤモヤ悩んでいたが、「ゴースト毛細血管」という言葉を初めて聞いた時にピンときた。私はきっとこれなのだと。

すると思い当たることが次々に浮かんでくる。じつは早すぎるたるみも、シミもシワもくすみも、また髪のボリュームが減ったのも、そのせい?と。そして何より疲れやすかったり元気が出なかったりすることも⁇そもそも「衰えは血管から始まる」ともいわれるだけに、そうか私の衰え悩みの多くはそこから来ていたのだと、ほぼ全てに納得がいったのだ。

この気づきは良かったが、血管の強化は簡単なことではない。まず食べ物で取るのは非常に難しいことも知った。辛みのあるスパイスに高い効果があることがわかったものの、毎日少量しか取れないことから、そのスパイスを凝縮したサプリに頼ってみたところ、これが見事に効果があり、不思議なくらい、むくみが減ったのだ。手足も暖かくなり平熱まで上がった。サプリも使いよう、どうしても食事で取れないものだけに頼ると、確かに効果が出るものという気づきもあった。

そしてもう一つはサウナ。ウォーキングのようなきつすぎない有酸素運動やスクワット的な筋トレも効果的ではあるけれど、血管のトレーニングという意味ではやはりサウナ効果が早いという。コロナ禍以降、一気にサウナブームとなり今は少し落ち着いているものの、女性のサウナー人口が驚くほど増えたのは、美容も含めた老化予防に効果があることが研究で明らかになっているから。

一気に体を温め血管を拡張させてから、次に水風呂(冷水シャワーでも)に入ることで今度は一気に血管を収縮、これを2セットか3セット、拡張と収縮を交互に促すことで血管が柔軟かつ強くなることが知られている。もちろん自宅のお風呂でもこれを再現することはできるわけで、バスタブでゆっくり体を温めてから冷水シャワーを1〜2分、これを2、3セット繰り返すだけでほぼ同じ効果が得られるというのだ。

いずれにせよ、血管のトレーニングなど今まで考えたこともなかった。多くの人がそうなんだろう。しかし、それこそが全身の老化の元栓を閉めるような非常に重要なケアであることは間違いない。全く見えないからこそ、知らないうちに全身で進んでしまう衰えにブレーキをかける筋トレならぬ「血トレ」、これはすべての人に習慣化してほしいのである。

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる  多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)ほか著書多数。