Life Style
2023.10.24

時間と質……あなたの「眠り」足りていますか?
質のよい眠りに誘(いざな)う"寝入りばな"3つの新習慣

ちゃんと休むことはちゃんと眠ること。だから明日もがんばれる──。今回、お話をうかがった睡眠コンサルタントの友野なおさんの言葉です。気候も安定するこれからの季節。改めて、眠りの時間と質について考えてみませんか? まずは、"寝入りばな"の見直しを。おすすめの3つの新習慣をご紹介!

(イラスト︰いわがみ綾子/取材・文:酒井亜希子、赤木さと子〈スタッフ・オン〉/構成︰ボンマルシェ編集部)

教えてくださったのは……

友野 なお さん
睡眠コンサルタント

ともの・なお 自身が睡眠を改善したことにより15kgのダイエットや、パニック障害、アトピーなどの改善に成功した経験から、千葉大学や順天堂大学の大学院で睡眠を専門的に研究。修士号を取得。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会正会員。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、企業の商品開発やコンサルテーション、執筆活動などを行う。

私が「睡眠は大切だ」と痛感したきっかけは、今から十数年前。パニック障害やアトピー性皮膚炎に悩み、仕事にも就けず悶々(もんもん)としていたときに、母から「一回、ちゃんと寝なさい」と諭されたことでした。

当時は良質な睡眠に関する情報も少なく試行錯誤でしたが、毎日ちゃんと睡眠をとったことで、その日の疲れはその日のうちに回復して、次の日はまた"がんばれる"手ごたえを得られるようになったんです。頭の中もリセットできて、気持ちも前向きになりました。睡眠時間が感情や思考を整えることは、今では、科学的にも証明されています。

日本人は睡眠時間が世界でいちばん短いとも言われていますが、良質な睡眠を決めるのは"量"だけでなく"質"も大切。まず、"量"は、できれば毎日7時間以上を目標に、最低でも5時間は確保できたらいいですね。睡眠の"質"を上げることで、"量"を多少カバーすることもできます。

"質"のいい睡眠に必要な条件は、就寝中の前半で深い"ノンレム睡眠"に入ること。"寝つき"がスムーズにできれば、睡眠の質の大きな底上げになります。"寝入りばな"にリラックスして、副交感神経を優位にすることが大切です。

そのために、ベッドの中でだれもが気軽に取り組める簡単な方法をご紹介します。毎日の新習慣にしてみませんか?

ひとつだけ、気をつけていただきたいのは、スマートフォン。睡眠の質には寝具のほか、日中の生活習慣や食生活など多くの要素が影響していますが、スマートフォンのブルーライトは脳を覚醒させ、眠りの質を下げてしまいます。SNSやメッセージのやりとりも心を乱します。就寝30分~1時間前には手放して、寝具の近くに置かないことをおすすめします。

"寝入りばな"に、今夜から!ベッドにあおむけでトライ!

全部行っても、できることを1つだけでもOK。毎晩続けることで「コレをしたら眠くなる」という、"入眠儀式"ともいえるパターンが、脳と体に刷り込まれます!

新習慣1
心と体の緊張を解きほぐす筋弛緩(きんしかん)

手のひらを上に向けて軽く目を閉じておく。顔から足の先まで全身に力を入れて5秒キープした後、一気に脱力してダラーンと5秒リラックス。3~5回繰り返す。

ここがポイント!

力を入れる時は、手はグーに握り、足首はギュッと曲げてつま先を天井に向け、顔は梅干しのような顔に。脱力するのと同じタイミングで、口から息をフーッと吐くと、さらに緊張がゆるむ。血流もよくなるので、手足が冷えて寝つきにくくなる、これからの季節にはぜひ!

友野さんのなるほどtip

「もともと心療内科で取り入れられているアメリカ発祥のリラックスエクササイズです。日中、スマートフォンの操作やパソコン作業で、自分では意識していなくても体の一部が強く緊張していることがあるので、しっかり弛緩させましょう」

新習慣2
自律神経のバランスを整える!4-6呼吸法

4つ数えながら鼻から息を吸い、6つ数えながら口からフーッと息を吐く。これを、数回繰り返す。

ここがポイント!

深い呼吸を繰り返し行うことで、"休息モード"にしてくれる副交感神経が優位になり、"幸せホルモン"と呼ばれるセロトニンが活性化してメンタルも安定。しっかり"吐き切る"ことを意識すると、自然と深く吸えるので、吸う時間より吐く時間を長く。できれば腹式呼吸で。

友野さんのなるほどtip

「長く続いたコロナ禍のマスク生活や、パソコンに長時間向かう生活で、呼吸が浅くなっている人がとても増えています。仕事に集中している最中は、無意識に呼吸を止めてしまっている人も。寝る前の数十秒、自分の呼吸に意識を向けましょう」

新習慣3
ハッピーな気持ちで穏やかな眠りに"今日あったいいこと"を思い出す

ぼんやりと一日を振り返りながら、その日に起きた"よかったこと"を10個程度数える。

ここがポイント!

夜は大脳が疲れていて、だれしも感情がネガティブになりがち。「寝入りばなにイヤなことを思い出す→脳が覚醒してしまう→睡眠不足になる→さらにネガティブな気持ちになりやすい」という悪循環は、意識的に"いいこと"を思い出すことで断ち切れる。

友野さんのなるほどtip

「『いいお天気だった』『コーヒーがおいしかった』など、どんなに些細(ささい)なことでもかまいません。最初は2~3個しか思い出せないかもしれませんが、小さな幸せに気づくよう心がけましょう。私は毎日40個くらい思い浮かべますよ(笑)。幸せのハードルが下がって毎日が彩り豊かになります」

これも教えて、友野さん!

Q そもそも、十分な睡眠がとれているかどうか、見極めポイントは?

A 「ベッドに入って3分もしないうちに眠りに落ち『私は寝つきがいい』と思っている人は、実は睡眠不足の可能性大! 個人差はありますが、一般的には10~15分程度、ベッドでまどろんでから寝入るのが健康的です。また、午前中の通勤電車や会議中などに眠気を感じる場合も、睡眠の質や量が不十分な証拠。ちなみに、昼食後の14~15時くらいに眠くなるのは、正常なメカニズムなので心配無用です」

Q 夜中に目が覚めて眠れない。こんなとき、どうしたらいいの?

A 「トイレなどに起きた後、30分、1時間眠れないようなときは、焦らないで。いったん寝室から出て、やや暗めの暖色の明かりの中で、単調な作業をするのがオススメ。洗濯物を畳んだり、編み物をしたり、靴を磨いたり、塗り絵をしたりしているうちに、脳が休まります。ちょっとでも『眠気がやってきたな』と感じたらベッドへ」