「生活の中においしい料理があれば、笑顔が増えます」
栗原はるみさん(料理家)
(撮影:伊藤徹也/文:宮本恵理子)
お気にいりのセーターとジーンズで撮影に臨まれた栗原はるみさん。ファインダーをのぞくカメラマンさんに、「ありのままの今の私を撮ってくださいね」とリクエスト。ステキな一言に、スタッフ一同、心の中で拍手を送っておりました。
Q1 日本の家庭料理シーンをリードしてきた栗原さん。
エネルギーの源は?
「おいしいものを、きちんと伝えたい」という気持ちだと思います。生活の中においしい料理があれば、笑顔が増えるでしょう? 私が「おいしい!」と思った料理を一人でも多くの人に届けるには、レシピの数字に厳しくこだわりたい。だから、人一倍、試作には時間をかけてきました。
Q2 栗原さんにとって「料理」とは?
私の人生そのもの。料理がなければ、これほどの人のつながりには恵まれなかったと思います。
この道に進むきっかけをつくってくれたのは、料理上手だった夫です。21歳で出会い、何も考えずに専業主婦の暮らしを選んだ私に「君も好きなことを見つけたほうがいい」と繰り返し伝えてくれました。
夫が先に旅立った後、部屋を片付けていたら新婚時代に私が夫に宛てた手紙が出てきて、そこには「私もこれからの自分の人生をきちんと考えます」と書き残していました。50年の時を経て、今の私につながる約束との再会に胸がいっぱいになりました。
夫が亡くなる直前まで日本酒を注いでいたトルコブルーの盃は、宝物の一つです。
Q3 自分の性格を一言で表すと?
継続する人。やると決めたことはコツコツ続ける性格です。自分の名前で出した雑誌『haru_mi』は25年間で100冊に。そして、昨年春には新たなパーソナルマガジン『栗原はるみ』を創刊しました。「仕事以外に自由に表現できる場を持つといいよ」と友人から勧められて4年半前に始めたインスタグラムでの発信も、気づけば毎日続いています。写真を撮るために庭に出て小さな花に気づいたり、暮らしをより丁寧に楽しめるようになったりした気がします。フォロワーの方々との交流も私の生きる力になっています。
Q4 健やかな心身を保つ生活習慣は?
料理は立ち仕事で手指もよく使うので、自然と筋力がつくみたい。姿勢がいいと言われますし、メイクはせずに素肌です。なぜか仕事が一段落する19時頃の肌が一番若く見えるそうです(笑)。
それから「好きなことを楽しむ」ための生活リズムも大事にしています。毎朝5時に起きて、スタッフが来る9時までの時間に、趣味を楽しんでいます。英語・ハングルに、1年前から習い始めたギターの練習。いくつになっても、学ぶのは面白いですね。
Q5 これから挑戦したいことは?
私ももう76歳。家族と仕事に恵まれて、後悔は何一つない幸せな人生を過ごしています。
料理に対する思いは30年前に『ごちそうさまが、ききたくて。』を出版したときから何も変わりません。ただ、私自身が一人暮らしになったことで「残り物で済ませるだけじゃない、元気になれる"ひとりご飯"を紹介していきたい」という思いが湧いてきました。
それと、地域との関わりも増やしていきたいです。今、月に1回のペースで福島に通っているんです。食を通じて深まる人々との交流もうれしくて。
Q6 未来の世代に向けてメッセージを。
食が楽しいと、人生は楽しい。家族と一緒に、食を楽しむ時間をできるだけつくってほしいと思います。私は孫たちが泊まりに来ると一緒に料理をしています。少しくらい失敗したって、いいんです。おいしいものを作る喜びは、人生の宝物になります。
栗原 はるみ さん
料理家

くりはら・はるみ 1947年静岡県生まれ。1973年にテレビキャスターの栗原玲児氏と結婚。著書は、92年に出版し、ベストセラーとなった『ごちそうさまが、ききたくて。』(文化出版局)をはじめ、累計発行部数は3,200万部を超える。ライフスタイルを提案する生活雑貨ショップ 「share with Kurihara harumi」などの店舗、2022年春からスタートしたパーソナルマガジン、『栗原はるみ』(講談社)も幅広い年代から人気を集める。レギュラーTV番組「はまなかあいづTODAY」(NHK福島放送局)に出演中。