地球では、環境問題が深刻さを増している。授業の冒頭で先生から出された、「2011~2020年の世界の平均気温は、約100年前と比べて何℃上がったでしょう?」というクイズには、子どもたちのさまざまな予想が飛び交った。正解は約1℃。わずかな上昇のように見えるが、その影響として海面の水位が約100年で20センチ上昇していると聞くと、子どもたちは驚いた様子だった。北極圏の氷が解けていることなどが海面上昇の原因だという。これにより北極圏の生態系への影響だけでなく、低いところにある土地が水没するリスクが高まっていることも示された。
続いて、海に流れ着くごみの多くがプラスチックであることや、細かく砕かれたマイクロプラスチックが残り続け、えさと間違えて食べてしまう海洋生物に影響を与えている現状も解説された。環境問題は遠い国の話ではなく、自分たちの暮らしと地続きであることを、子どもたちはクイズやデータを通して理解していった。
地球温暖化を食い止めるにはどうすればよいのか。原因となるCO2排出量を減らすため、先生からは三つの「R(アール)」が示された。資源として再利用する「リサイクル」、一度使ったものを繰り返し使う「リユース」、ごみをできるだけ出さない「リデュース」の英語の頭文字だ。続けて「小学校が位置する兵庫県のごみのリサイクル率は15%。これは全国で何位でしょう」というクイズが出された。正解は47都道府県中35位。順位を知った子どもたちは複雑な表情を浮かべていた。
団地の管理や建て替えなどを手がけるUR都市機構が、環境への配慮として力を注ぐのが、団地を建て替える際の建設資材のリサイクルだ。授業の後半では、団地の解体で発生したコンクリートが細かく砕かれ、道路の基礎などに再利用される工程が動画で紹介された。続けてコンクリートやアスファルト、雨水を流すパイプといった再生材に触れる時間も設けられた。興味深そうに実物を手にする子どもたち。また、団地1棟の建て替え時に出る畳は約2千枚で、これは積み上げると110メートルにもなるという。先生から「神戸のハーバーランドにある観覧車二つ分よりも高いです」と説明された子どもたちは、「そんなになるんや!」と具体的なイメージに目を丸くしていた。
UR都市機構では、こうした団地の建て替え時に発生する資材の約98.9%をリサイクルしているという。子どもたちからは「すごい」と感嘆の声が漏れた。建設資材の実物を見て学ぶことで、リサイクルが現実的な取り組みであるとより伝わった。
授業の締めくくりでは、先生が「地球環境を守るには、私たち企業の取り組みと、皆さん一人ひとりの行動の両方が必要です」と呼びかけた。電気のこまめな消灯やごみの分別、水を出しっぱなしにしないといった日々の行動の一つひとつが、環境を守る力になるという。
子どもたちはリサイクル資材を目の当たりにして、「きちんと分別をしないと、せっかくの資源が使えなくなる」と実感した様子だった。授業後には「ごみの分別など、自分にできることをやろうと思った」「今日の学びを家族に伝えたい」といった発言が次々に飛び出した。
環境問題は一朝一夕に解決できるものではない。一人ひとりの行動の積み重ねが、未来の地球を支えていくのだ。今回の授業は、子どもたちが身近なデータや実物を通じて環境問題を知ることで、自分にできることを考え、行動するきっかけとなった。
神戸市の小学校には「環境体験」という学習があります。今回の授業で子どもたちは、普段から取り組んでいる、「ごみの分別」「節電」「水を大切に使うこと」の背景を、具体的なデータとともに理解できたと感じます。外部の有識者からの学びは大きいですね。
URでは団地を取り壊す時に出た床材を使って、オリジナルのストラップを作っている。これも無駄なく再利用するための工夫の一つ。かんきょう1日学校に参加した子どもたち全員に配られた。



松尾知香さん