「みなさんの学校のすぐ隣にある豊四季台団地の土地には、もともと何があったか知っていますか?」
先生の問いかけに、柏市立柏第六小学校の子どもたちは、「知ってる!」「競馬場だよ!」と、うれしそうに声を上げる。テレビCMでもおなじみの「UR」が、自分たちの住む地域と60年以上も前から関わっていることに親近感を抱いたようだ。
壇上のスライドには、URによる豊四季台団地の再生の様子が映し出され、大きな木を、根のまわりの土ごと機械で持ち上げている写真に子どもたちの注目が集まる。「古くなった団地を壊して、新しくもっと住みやすい団地に建て替える時、もともと生えている木を大切に生かします。別の場所に移したり、どうしても切らなくてはならない木は、木製ベンチとして生まれ変わらせたり、再利用をしています」。グリーンバンクシステムと呼ばれるその取り組みから、建物を壊すには、環境への気づかいが必要だという理解が自然に広がっていく。
「古い団地をひとつ壊したら、どれくらいの量の〝資源〟が生まれると思いますか?」
クイズの答えは「体積でいうと、60教室分以上です」。「そんなに?」と顔を見合わせる子どもたち。量の多さとともに「資源」という意外な言葉にも驚いた様子だ。外壁を壊したときのコンクリートの塊、曲がった鉄骨や大きなパイプ類などが「ごみ」ではなく「資源」と呼ばれている。工事現場で目にする〝がれき〟への印象が変わっていく。
「油圧ショベルで壊したコンクリートの塊は、工場で細かくして分別され、道路の材料にリサイクルされます」。先生は、「資源」に生まれ変わったコンクリート塊が道路のどこに使われているか図を示して解説した。「みなさんが歩く道路の下にも、古い団地で使われていたものが眠っているかもしれません」
次に、家の中にあるもののリサイクルも考えてみる。「柱や壁、窓ガラス、蛍光灯、畳、家具……。この部屋の中にあるもの、どれがリサイクルできると思いますか?」スライドに映った部屋の絵を見つめながら、子どもたちは首をひねる。普段、空き缶や空き瓶、ペットボトルや紙類のリサイクルなら心がけているが、板や照明がどうなるかは想像がつかないようだ。
「実はほとんど全部がリサイクルできるんです」。例えば、柱などの木材は、細かくして押し固めると、もう一度木材として机や本棚になる。ガラスは細かくして断熱材に利用される。畳のいぐさは、肥料や燃料、動物のベッドに。さらに、壁や天井の石こうボードは、石こうと紙に分けられ、紙はダンボールに、石こうは校庭に白い線を引く「ライン引き」などに使われるという。
「では実際に団地の解体で出た資材を見てみましょう」。一斉に立ち上がった子どもたちは、透明ケースに入った展示物のもとへ。
「重いね」「古い木のにおいがする!」。ゴツゴツとしたコンクリートの塊を持ってみたり、木材が細かく切り刻まれたチップを触ったりして、リサイクルされる前の状態を体感した。
また、リサイクル資材から作られた道路の模型もあり、透水性アスファルトを敷くと、水たまりができずに歩きやすい道になるという説明に納得の表情。古いものが「次のいいもの」に生まれ変わったことを実感できた。
リサイクルの可能性と、壊すことへの責任。団地の建て直しを通して、理解と気づきが得られる授業になった。
ちょうど社会科でごみの処理と利用について学んでいますが、自分の身の回りにリサイクルされたものがあることを知らない子も多いようです。今回、具体的なリサイクル事例を知り、現物も見て、理解が深まったと思います。社会や職業への関心が高まることも期待しています。
団地を壊しても約98%はリサイクルしているというUR都市機構。部屋の床も一枚一枚丁寧に剝がして、ストラップやスマートフォンケースなどに再利用している。



松尾知香さん