広告特集 企画・制作
 朝日新聞社メディアビジネス局

特別対談

目の前の人を助けたい、
一歩踏み出す勇気はどうすれば? 

AED講習者30万人へと挑む
キヤノンマーケティング
ジャパングループ

突然の心停止から命を救うためのAED(自動体外式除細動器)は、町中でも見かけるようになったが、実際に使われる場面はまだまだ少ない。一人でも多くの命を救う社会を目指して、AEDを使った心肺蘇生講習を積極的に進め、延べ20万人の受講者数を達成したのが、キヤノンマーケティングジャパングループだ。講習の中核を担うキヤノンシステムアンドサポートの平賀剛社長と、日本AED財団の常務理事である武田聡氏(東京慈恵会医科大学救急医学講座主任教授)が、AEDに関する取り組みの意義や、安心・安全な社会環境などをテーマに語り合った。

「5.1%」とあまりにも低い
AED使用率

武田聡(東京慈恵会医科大学救急医学講座主任教授) 日本には推定60~70万台のAEDがあり、世界的に見てもAED先進国だと言えます。一方で消防庁によると、心臓発作などで心肺機能が停止する「心原性心肺機能停止」を一般市民が目撃したケースは約2万5000人ありますが、その目撃したケースに限定しても、市民による救命処置でAEDによる除細動が行われたのは約5.1%に過ぎません。あまりにも残念な数字で、もっともっと増やすことが可能だと思います。

武田聡(東京慈恵会医科大学救急医学講座主任教授)

平賀剛(キヤノンシステムアンドサポート社長) 当社の話になりますが、私が2018年に社長に就任して、全国の拠点を回って気づいたのは、AEDを配備している拠点と配備していない拠点があり、「社員の安全」の視点で地域格差があったことです。そこでまず、約170の拠点(当時)すべてにAEDを導入しました。ただ、AEDの地域格差があるのは当社だけの問題だけでなく、全国でアンバランスな状態だという認識もあり、一部の拠点では地域住民の方が使えるように屋外に設置したり、社有車にも搭載したりしました。

武田 AEDの適正配置と同様に大切なのが、AEDを使える人を増やすためのトレーニングです。心停止となってから電気ショックが1分遅れるごとに、救命率が7~10%下がることが知られています。救急隊員が全部やってくれると思われるかもしれませんが、119番通報してから救急車が来るまでに8~9分もかかります。 救急隊を待っている時点で8割以上の命が失われてしまうことになります。逆に、誰かが勇気を持って声を掛けて、2分後にAEDで電気ショックを与えることができれば、8割の人を救命できることになります。

平賀 そうですね。大切なのは「一歩を踏み出す勇気」。目の前で倒れた人を助けようと思っても、何をすればいいのかわからないと、その一歩がなかなか踏み出せなくなります。でも、講習を受けてAEDを使える人がその場に何人かいれば、119番通報する人、心臓マッサージをする人、AEDを探す人と役割分担ができて、命を救える可能性が高くなります。「助けたい」という思いを自分一人だけではなく、周りの人たちと共有することで、一歩を踏み出すためのハードルが下がるのだと思いました。

武田 命を救うためにみんなで協力しあうことができれば、安心・安全で温かい社会が実現すると思います。その意味でも、一人でも多くの方が心肺蘇生をできるようになることが大切です。

全国均一のAED講習で
20万人受講を達成

平賀 キヤノンマーケティングジャパングループでは2009年からAEDの取り扱いを始めました。最初の頃は講習をするのにも苦労したと聞いていますが、講習マニュアルを整備して、全国で均一の内容での講習が行えるようになりました。現在は社内に資格を持つ認定インストラクターが500人おり、スキルアップ研修は武田先生にもご協力をいただいています。

平賀剛(キヤノンシステムアンドサポート社長)

武田 このような講習は、ビジネスには直接結びつかないのかもしれません。でも、命に直結するものです。AEDを使っていただくことで、導入した企業や地域が元気になり、命を救うことができます。企業や地域をどう変えられるかまで考えて、キヤノンシステムアンドサポートさんが行動されているのは素晴らしく、それによって救われた命もあると思います。カスタマーサポートを超えた社会貢献活動なのではないでしょうか。

平賀 ご評価いただきありがとうございます。講習会に来てもらうのではなく、こちらからインストラクターを派遣して、現場の方々に直接伝えるということが大事です。そうやって説明すると「ありがとう」「すごく参考になった」といったお言葉をいただき、インストラクターの使命感にもつながっています。受講者数は今年8月に20万人を達成しましたが、より高い目標として30万人をいち早くめざし、安心・安全な暮らしに貢献していきたいと考えています。

武田 率直に言って、20万人というのは驚くべき数です。それも、単に講習を受けただけではなく、実際の職場などのよりリアリティーのある状況で質の高いトレーニングを受けた20万人だと思います。蘇生の領域でも「文脈学習」は重要な考え方で、いざという時に動けるように、起こりえる状況を想定した実地訓練をすることが非常に大切です。

身近な場所のAEDを
意識するための取り組み

平賀 社内ブランディングの意味では、キヤノンシステムアンドサポート全拠点へのAEDの設置のほか、約5000人の社員に心肺蘇生講習を実施しました。全社員がAEDを使えるというのは私たちの強みであり、講習者20万人を目指すバッジを作成して、社内が一丸となりAEDの啓蒙(けいもう)活動を行ってきました。日本AED財団のプロジェクトである「AED N@VI」にも、当社の社員や家族が非常にたくさん参加しています。

武田 「AED N@VI」は、AEDの設置情報を地図上に登録するプラットフォームですが、登録だけでなく、その後も設置されていることを確認する更新の機能も付いています。普段からどこにAEDがあるかを意識することで、いざ人が倒れたという時に行動できて、緊急対応計画も立てやすくなります。皆さんの身近にあるAEDを少しずつでもカバーしていただけるとありがたいですね。

キヤノンマーケティングジャパングループ本社の受付に設置されたAED。2分以内にAEDを届けられるよう、本社ビルには14台が適正配置されている

平賀 私も懸命に登録していますよ。一時期は登録数が全国100位ぐらいになりました(笑)。自宅や職場の近くのAEDは把握していますが、旅行に行くとAEDがどこにあるかが気になるようになりました。宿泊先などを選ぶ基準のひとつとしてAEDを重視する人も、今後は増えていくのではないかと思っています。

キヤノンマーケティングジャパングループ本社内のエレベーターホールに設置されているAED

武田 当財団では他にも、小中学校での心肺蘇生教育について文部科学省に働きかけています。子どもの時から学校でAEDに触れて、社会に出てからも運転免許を取得する際の講習やキヤノンシステムアンドサポートさんの講習などで、誰もが継続的にAEDの使い方を学べるような社会ができればいいなと考えています。

AEDの普及を通じて
めざす「共生」の理念

平賀 当社のAEDに関する活動は、SDGs(持続可能な開発目標)では「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「住み続けられるまちづくりを」という3つの目標に該当します。命を救うための講習を全国で展開し、AEDの適正配置を推進していることの意義は、 SDGsにひもづけて考えれば子どもたちも理解しやすいと思います。

武田 AEDはもちろん私たちの健康に直結しています。サステナビリティーという観点でも、AEDを設置した企業にとって、社員の命を救って事業を継続できるかどうかは非常に大切です。企業や地域社会のレジリエンス(困難からの回復力)に、AEDは大きな役割を果たすことができます。グローバル企業であるキヤノングループのキヤノンシステムアンドサポートさんが今回のような活動をすることによって、それがモデルケースとなってAEDを世界中で活用してもらえるのではないかと期待しています。

平賀 キヤノングループの企業理念である「共生」は、何十年も前からSDGsの考え方を体現してきた言葉です。文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざして、私たちは活動してきました。早い時期からグローバルに展開してきたからこそ、「共生」への意識が高まったと言えます。その中でも今回のAED講習は、私たちの考える「共生」をより身近に知って共感してもらえる取り組みだと感じています。

武田 目の前で人が倒れたら声を掛けるのも、AEDを持ってくるのも、何かがあった時のために普段から考えておくのも、共生や共助につながります。倒れたその人は、誰かの大切な人です。それをひとごとではなく、自分事として考えると、誰もが勇気を持って「大丈夫ですか」と声を掛けられるはずです。企業理念の話を聞いて、共生が実現していくような社会をつくることが大切なのだなと思いました。

平賀 他の病気であれば、入院して検査をしてどんな治療をするかというふうに、時間的な制約をそこまで意識する必要はありませんが、心臓は違います。とにかく時間が勝負の臓器ですから、病院に運び込まれた時には、どんな名医でも救えないことも多くあります。間に合わなかったという無念な思いを少しでもなくすために、私たちはAEDの普及に向けてできることをしたいと考えています。

武田 さらに多くの命を救うということは、現実的に可能で、夢物語というわけではありません。現に2007年に始まった東京マラソンでは、14年間で11人の方が心停止になりましたが、AEDなどによりその11人全員の命を救うことができました。一歩一歩の地道な活動が大切です。

平賀 当社の取り組みも、一つ一つは小さなものかもしれません。しかし、その積み重ねによって、救命に関する知識を持つ人が増えたり、地域住民の皆さんが使えるAEDが増えたりして、多くの命を助けることができます。私たちと共に、一人でも多くの方が勇気を持って、その一歩を踏み出してほしいと思います。

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