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朝日新聞社メディアビジネス局
海外の消費者に直接ネットで販売を行う「越境EC」が活況を呈している。新型コロナウイルス感染拡大を経て市場は世界的に拡大し、地方に拠点を置く中小の事業者にもビジネスチャンスとなり得る。越境ECによる海外への商品発送は、購入者の利便性・満足度を高めることと、事業者の効率的な発送業務の両立が重要となる。世界最大規模の航空貨物輸送会社であるフェデックス エクスプレス(フェデックス)は、越境EC事業者向けの輸送サービスやサポートを強化している。
マネージングディレクター清澤正弘氏
デジタルと物流という2つのネットワークが発展し、人々が海外から商品を買う世界の越境EC市場は急激に拡大している。市場規模は2019年の7800億米ドルから年間約30%の成長を続け、26年には4兆8200億米ドルに達すると予測されている(※1)。感染拡大の影響もあり、購買手段としてオンラインの割合が高くなった。インバウンド(訪日外国人客)が大幅に減少し、越境ECの活用が注目されている。
地方の事業者やブランドにとって越境ECは、立地での格差も少なく、海外の消費者に直接商品を売ることができる。フェデックスでも北陸・新潟地方の伝統産業や地方産業の越境ECによる商品輸送の実績がある。例えば、新潟県の燕三条地方の金属加工業者とその技術を活用したキッチン、レジャー用品メーカー、石川県の山中漆器、福井県の越前打刃物といった伝統工芸品を扱う事業者などだ。
「メーカーやブランドによっては、伝統技術を基に新しいデザインや機能の商品を開発し、多言語のウェブサイトやオンラインショップで販売している例があります。日本への旅行に制限がある今、オンラインでの販売に力を入れてサイトをリニューアルしたブランドもあると聞きます」と同社のマネージングディレクター、清澤正弘氏は語る。
オンラインによる購入や決済が行われる越境ECだが、最終的には、物理的な配送で商品が届くことで完結する。昨今のオンライン購入者は、商品配送や受取を含む購入時の体験全体でEC事業者やブランドを評価する傾向もあり、自社および購入者のニーズに合った配送サービスの選択が重要になる。
越境ECの成長と多様化する商品輸送のニーズに対し、フェデックスは新たな輸送サービス「FedEx インターナショナル・コネクト・プラス」(以下、FICP)の提供を開始した。特長は配送にかかる時間と価格のバランス。特にBtoCの越境ECを行う事業者が使いやすいよう設計されている。海外のリサーチによると、EC購入者の約4割が購入を断念する理由として高額な送料を挙げていることもあり、より費用対効果の高い輸送ソリューションを求める声に応えた。(※2)
FICPは、主にアジアのサービス対象地域に通常1〜5営業日以内で商品を配送できる。指定日配送ができる点も、越境EC事業者と商品を受け取る購入者双方にとって、物流を管理できるメリットになる。越境ECで販売されることが多い比較的小型の商品の出荷(10キログラム未満)に最適だ。
もちろんフェデックスの他のサービス同様、輸送中の貨物の情報が分かるトラッキングや、通関手続きもサービスに含まれている。SMSやEメールで荷物の到着予定を通知する「FedEx Delivery Manager」 というツールを併用すれば、購入者自身で都合に合わせて商品の受け取り方法や日時を指定できる仕組みだ。
マネージングディレクター清澤正弘氏
輸送サービスに加え、商品発送の準備をサポートする「輸送準備サポートサービス」というオプションも開始した。越境ECの商品発送業務を効率化するもので、特にスタートアップのEC事業者の利用が有効になる。具体的には、航空貨物運送状やコマーシャルインボイスなどの貿易に必要な書類をフェデックスが代行して作成したり、海外輸送向けに適切な梱包を行ったりする。このオプションは発送時の状況に応じて活用できるのがポイントで、例えば越境ECの繁忙期や販売数が急速に伸びた場合など、新たな人員の確保やその他のリソースに追加で投資をしなくても、ビジネスが継続できるようなサポートとして活用できる。
越境ECの業務では、様々な支援システムを活用して効率を上げたいと考える事業者が多いため、フェデックスでは外部のシステムとの連携を進めている。清澤氏は「越境EC向けの出荷管理システムとフェデックスのシステムを連携させて、より簡便に我々のサービスを利用いただけるよう取り組んでいます。このようなシステム連携は今後進めて行きたい取り組みの一つです」と話す。
越境ECは、企業の拠点が大都市にある必要がなく、魅力的な製品があればどこでもビジネスができる。
「先に述べた、地方の特産品や伝統技術を活用した製品で積極的に海外販売を行う地方の企業に加え、地方に拠点を置くEC専門事業者が、アニメやゲーム関連商品、釣り具やキャンプ用品、楽器等といった趣味関連の商品など、最近越境ECで人気が高いとされる商品を販売して成功しています」と清澤氏は述べ、同社の地方での取り組みについても語った。
「我々は地方の越境EC事業者に、よりニーズに合ったソリューションを提案したいと考えています。具体的には、三大都市に加えて各地域に営業担当チームを配置して、その地域のビジネスや地方産業について良く理解した担当者が物流をサポートしています。もちろん北陸・新潟地方の担当者もいます。
料金面でも、特に地方に拠点を置く事業者により使いやすい価格帯になるような取り組みを進めているところです」
新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の航空貨物輸送に影響を及ぼした。過去には一部の国際輸送サービスが一時的に取り扱いを中止し、越境ECを行う事業者にも波及した。最近ではロシア・ウクライナ情勢の影響も加わり、現在でも変わりゆく状況に注意を払う必要がある。
その中でもフェデックスは輸送業務を続け、サービスを提供し続けてきた。フェデックスの強みは、220以上の国と地域に広がる自社の物流ネットワークを構築している事が大きい。フェデックスは物流会社であると同時に、自社の貨物機を運航する航空会社でもあり、輸送業務で使用する物流施設やトラック、配送車両等も合わせて活用し、日本での集荷から海外に荷物を届けるまでの輸送業務を1社で行うことができる。その物流ネットワークを調整し、昨年はアジア太平洋地域を出発地とするフライトや、日本とフランスを結ぶ直行便を追加。世界的な航空貨物輸送の需要が再び伸びる中で、国際物流への様々な影響を軽減できるよう取り組んでいる。
フェデックスが継続的に行っているのは、特に変化の速い越境EC市場やお客様の輸送ニーズに対応するサービスの提供と、次世代の物流ネットワークの構築だ。フェデックスはこれからも変化を見極め、対応して一歩先を行く企業であり続け、より身近にお客様のビジネスの拡大をサポートしていく。
※1 出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」2021年7月報告書より、Facts & Factors.発表データをもとに作成
※2 出典:海外のリサーチ結果(英文資料)
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/us/Documents/technology/us-deloitte-digital-commerce-transformation.pdf