旭化成ホームズ株式会社が2025年9月から販売する戸建住宅「earth-tect(アーステクト)」が
第34回地球環境大賞で国土交通大臣賞を受賞した。自社製品由来の再エネ電力と
環境価値(非化石証書)を活用し、住宅の生涯CO2排出量実質ゼロ(図❶※2)を目指す。
環境に配慮した、住む人にうれしい「earth-tect」開発の背景や特徴、LONGLIFEを追求する
同社の取り組みについて大和久裕二代表取締役社長に元アナウンサーでフローリストの
前田有紀さんが聞いた。
地球環境大賞とは
「産業の発展と地球環境との共生」を目指して1992年に創設された企業・行政・市民が一体となった顕彰制度(主催:フジサンケイグループ)。温暖化の防止や循環型社会の実現に寄与する技術や製品の開発、環境保全活動・事業の促進、持続可能な社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の向上を目的としており、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の理念とも一致した取り組み。


国内ハウスメーカー初(※1)の
「RE100」達成から「earth-tect」へ
前田 2025年9月から販売されている戸建住宅「earth-tect」が地球環境大賞で国土交通大臣賞を受賞しました。お気持ちと、どんな点が評価されたとお考えか聞かせてください。
大和久 このような賞をいただき、大変光栄に思っております。今回の受賞は、当社の良いものを長く使うというLONGLIFEの思想、豊かな暮らしを次世代へつなぎたいという思いが地球環境の観点から社会に必要とされており、その点を評価していただいたと考えています。これを励みに、環境への取り組みをさらに加速させていければと思います。
前田 「earth-tect」は、住宅の生涯CO2排出量を60年で収支ゼロにすることを目指す住宅ですが、2023年度には、加盟する国内ハウスメーカーとして初めて「RE100」を達成されています。「RE100」とはどのようなものですか。
大和久 「RE100」はカーボンニュートラル実現を目的に、企業が事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な取り組みです。グローバル企業が多く加盟しており、日本でも業界を代表する企業が名を連ねています。当社は加盟当初、2038年の達成を目標としていたので、それよりもかなり早く達成できました。
前田 目標より早く達成できた理由はどんなところにあったのですか。
大和久 お客様の屋根に設置していただいた太陽光パネルでつくられた電力を自社インフラの「ヘーベル電気」を通じて買い取り、事業活動で使うという方法で取り組みました。私たちはお客様に長く快適に暮らしていただくため、建物の引き渡し後も60年無料点検システムといって、1年目、2年目、5年目、それ以降は5年おきに住まいの点検を行っており、メンテナンスを通じてお付き合いがずっと続きます。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の期間終了後は、お客様は売電先を自由に選べますが、私たちの想像よりも多くのお客様が、ヘーベル電気を選んでくれました。お客様の環境意識の高さと当社へ寄せてくださっている信頼の結果であり「お客様とともに達成できた」と考えています。
前田 お客様とともにエネルギーをつくり、使う循環のモデルになっているのですね。


生涯CO2排出量実質ゼロを
60年で目指す環境先進住宅
前田 同じく脱炭素志向型住宅として「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」や「GX志向型住宅」がありますが、「earth-tect」との違いはなんでしょうか。
大和久 カーボンニュートラルの実現に向けて政府は住宅の省エネ化を推進しています。「ZEH」も「GX志向型住宅」も断熱・省エネ性能が高く、エネルギーを賢く使える住宅で、どちらも居住期間中のエネルギー収支がゼロとなります。「earth-tect」の場合は、居住期間に加えて住宅の建設時、リフォームや改修時、住み終えた後の解体・廃棄に至るまでの住まいの生涯CO2排出量実質ゼロを目指しています。
❶「earth-tect」と「ZEH」「GX志向型住宅」の違い
前田 「earth-tect」の特長についても教えてください。
大和久 一つ目は高い建物性能です。外壁材と断熱材の二重の断熱構造と高性能サッシなどにより高い断熱性能を長期間維持します。これによって日々のエネルギーを節約でき、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、消費電力も抑えます。二つ目は再生可能エネルギーを循環させるという仕組み。ヘーベル電気を通じて買い取った電力を「earth-tect」を建てていただくお客様に通常の電力価格(※5)で20年間供給します。将来的には再エネ電力を供給する側となり、お客様とともに環境貢献を進めていくモデルとなっています。三つ目が長く安心して住み続けられるレジリエンス性と経済性です。耐震性と耐久性、耐火性に優れており、お客様の日常を守り続けます。さらに、停電時でも在宅避難が可能な電力を確保します。いざという時の安心に加え、日常の光熱費も賢く抑えられるため、地球環境に配慮した上に経済的です。
前田 強く、省エネで快適に安心して長く住み続けられる家——。「earth-tect」には、LONGLIFEの理念が詰まっているのですね。
❷「earth-tect」のCO2排出量実質ゼロのイメージ
人にも環境にも配慮した
さらなるLONGLIFEの実現
前田 創業から受け継がれ常にアップデートされてきたLONGLIFEの考え方。改めてどのような思いが込められているのでしょうか。
大和久 当時の「家は建て替えるもの」という常識に対し、私たちは60年以上住み続けられる住まいをお約束してきました。これからはLONGLIFEの考え方に循環と再生の視点もプラスして、サーキュラーエコノミーへの移行にも取り組んでいきます。
前田 長く快適に安心して住み続けることができるのは、定期的な点検やきめ細かなメンテナンスがあってこそだと思います。お客様との信頼関係や絆を大切にしながら、LONGLIFEの考え方をさらに発展させていく、ということなんですね。
大和久 当社は戸建住宅や集合住宅の新築・リフォームに加えてマンションや不動産開発などの広い範囲で事業を行っています。そういった様々な事業において、LONGLIFEの考え方を活かしてどのようなことをお客様や社会に提供できるか、社員全員でしっかりと考えて取り組んでいきたいと思っています。当社のビジョン「未来を託せる人と会社へ」の実現に向けて、これからも成長していきます。
※5 供給開始日から20年間、需給契約が継続している期間に限り、「非化石証書調達単価」が0.0円/kWh。




