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[主催]公益社団法人 日本医師会 [後援]朝日新聞社

日本医師会シンポジウム いま語り合う「人生100年時代」

人生100年時代
12月1日(日)、東京ミッドタウン・ホールA(東京都港区)で、日本医師会シンポジウム「いま語り合う『人生100年時代』」が開催されました。日本医師会会長として、かかりつけ医を中心とした医療提供体制の構築に取り組む横倉義武、環境大臣として環境と健康の問題に取り組む小泉進次郎氏の講演に続いて、女優の檀ふみ氏の司会により、お二人も参加したパネルディスカッションが行われました。三人のユーモアあふれたやりとりに、会場からの笑い声が響き、笑顔があふれた楽しい会になりました。そのWeb採録をお届けします。
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Program
基調講演

人生100年時代に必要なこと ー地域を支えるこれからの医療ー

公益社団法人 日本医師会 会長 横倉義武
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2018年の平均寿命は、男性が約81歳、女性が約87歳です。一方、誰の助けも借りずに生活できる期間である健康寿命(16年)は男性約72歳、女性約75歳で、平均寿命とは男性で約9年、女性で約12年の差があります。この差を短くすれば、人生100年時代をもっと明るいものにすることができるはずです。

いままで医師は診断と治療が一番重要な仕事でした。これからは予防や健康教育、そして再発防止や重症化予防にまで携わっていく必要があると考えています。

日本人の平均寿命(2018年)と
健康寿命(2016年)
※厚生労働省のホームページから作成

日本医師会では皆さんにかかりつけ医をもつことを推奨しています。かかりつけ医がいればちょっとした体調の変化にも気づいてくれますし、必要なら専門医療機関を紹介してくれます。日本医師会は、そうしたかかりつけ医を中心とした連携の仕組みを日本中につくることを目指しています。

それと同時にかかりつけ医としての能力を維持・向上させるため、2016年からは応用研修会をスタートさせ、今では年に一万人の医師が受講しています。

かかりつけ医がいる人は、いない人に比べて、受けた医療に対する満足度が高く、がん検診の受診率も高いことがわかっています(※)し、一人でも多くの方にかかりつけ医をもって欲しいと思います。

※第4回日本の医療に関する意識調査(日医総研WP No.260)

特別講演

人生100年時代は、環境新時代。

環境大臣 兼 原子力防災担当大臣 衆議院議員 小泉進次郎
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日本は「地球温暖化」という言葉をよく使います。国際社会ではもうほとんど使われず、むしろ「気候変動」から「気候危機」という言葉に変わりました。それほど危機感を持って、地球をどうにかしないといけないと考えているのです。

その象徴となっているのが、スウェーデンの16歳の活動家グレタ・トゥンベリさんです。このままだと、私たちの未来は、地球はどうなるのか。危機感を覚えたグレタさんは学校を休んで、たった1人でストライキをして、その動きが世界中に広がっています。

「パリ協定」は、2015年のCOP21(第21回気候変動枠組条約締結会議)で決まった国際的な目標で、産業革命前と比べて、2100年までに平均気温上昇を2度未満に抑える。できれば1.5度未満を目指すということです。地球はすでに1度上がっており、この目標を達成するためには、できることを全部やらなくてはいけない状況です。

環境問題では、海洋プラスチックごみも最大の課題の一つです。「ストローが鼻に刺さった亀」の動画は、私がこのままではいけないと強く思ったきっかけになりました。このまま海に流れるプラスチックごみを抑制できないと、50年には魚の量よりプラスチックごみのほうが多い海になります。

「ストローが鼻に刺さった亀」
映像提供: 日経ナショナル ジオグラフィック社

気候変動や海洋プラスチックごみの問題は、私たちがこれから生きる地球の環境と密接につながり、さらに私たちの「人生100年時代」の健康とも密接につながっています。

パネルディスカッション

人生100年時代に必要なこと ー気候変動と健康と暮らしを考えようー

女優 檀 ふみ環境大臣 兼 原子力防災担当大臣 衆議院議員 小泉進次郎公益社団法人 日本医師会 会長 横倉義武
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人生100年時代の言葉に込められた意味は?

 第1部でご講演いただいたお二人と共に、パネルディスカッションを進めていきたいと思います。このシンポジウムでもテーマになっている「人生100年時代」という言葉は、小泉大臣が使い始めたそうですね。

小泉 私はずっと社会保障の問題に取り組んできました。それまで「人生80年」でいろいろ考えていましたが、もう世の中の形と合わなくなってきた。すでに女性の平均寿命は87歳を超えましたし、100歳以上の人口も約7万人に達し、すでに私の地元の選挙区の三浦市の人口を超えました。国として考えるべきは、人生80年型を維持することではなく、100年生きても大丈夫という政策ではないかと。人生100年時代という言葉を思いついたきっかけの一つは、テレビCMです。100人乗っても大丈夫、100年生きても大丈夫、これだと(笑)。

 確かに100歳以上の人は増えていますね。人間の寿命はどこまで延びるのでしょう。

横倉 生物学的には115~120歳と言われています。平均寿命の延びには医学・医療の進歩が大きく貢献しています。しかし、いくら長生きしても元気でいなければ充実した人生を過ごすことはできません。平均寿命と健康寿命の差をどう縮めていくかが大きな課題です。

どんな死に方をしたいか日頃から考えておこう

 人生100年時代ということでは、どう自分の人生の終焉(しゅうえん)を迎えるかという課題もありますね。お父様の純一郎さんはお元気ですか。

小泉 元気すぎて困るぐらいです(笑)。私が父に感謝していることの一つは、どう死にたいかを子どものときから常に話してくれたことです。私と兄の孝太郎に「自分の口で食べられなくなったときは終わりだと思っているので延命はするな」と常々言っています。実際、親父(おやじ)は尊厳死協会に入っています。自分の親がどういう死に方を望んでいるかを、私も兄もわかっているので、それはすごくありがたいです。

横倉 ただ、親がちゃんと伝えても、子どもは迷うのですよ。

 私も、誤嚥(ごえん)性肺炎に腸閉塞(へいそく)を起こして、入院先で体中チューブだらけになった母を見て悩みました。母は「家に帰して」と懇願するけど、お医者様は「いまは家に帰すときではない」とおっしゃる。どちらを優先していいのか本当に辛かった。結局、兄妹と相談して家で看取りましたけど。

横倉 どんなに長生きしたとしても、いずれ私たちは死にます。そこで、国では終末期医療のあり方としてアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を推奨しています(下記解説欄参照)。

医師は命を助けることが一番の使命ですから、なにも意思表示していないと全力を尽くします。自分の終末期は鼻からチューブを入れてほしくない、胃に穴を空けてまで栄養を補給するのは嫌だということを書いておけば、医師はそれを尊重します。尊厳ある死を迎えるためにも家族やかかりつけ医等も交えてぜひ話し合いをし、その結果を何らかの形で残しておいてもらいたいと思います。

ACP(人生会議)とは

ACP(Advance Care Planning)とは、将来の意思決定能力の低下に備えて、患者、家族、医療・ケア提供者等とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うプロセスのことをいいます。厚生労働省はその愛称を「人生会議」と定めました。

がんの終末期のように命が差し迫った状態になると、多くの場合、こう死にたい、こうした治療・ケアを受けたいなどといった自身の希望を人に伝えることが難しくなります。人生の最終段階まで自らが望む医療・ケアを受けるためには、前もって家族や医療・ケア提供者などと話し合い、その考えを共有しておくことが大切です。ぜひ、元気なうちに「人生会議」を開いて、自身の生き方や終末期の迎え方などを話し合っておくとよいでしょう。

終末期医療 ACPから考える
  • ●患者さんの意思を尊重した医療及びケアを提供し、尊厳ある生き方を実現することがACPの目的です。
  • ●医療及びケアの提供は、患者さんの意思が一番大事です。それを確認するために、ACPの実践が必要です。
  • ●患者さんが意思を明らかにできるときから繰り返し話し合いを行い、その意思を共有することが重要です。
  • ●患者さんの意思が確認できなくなったときにも、それまでのACPをもとに患者さんの意思を推測することができます。
  • かかりつけ医を中心に多職種が協働し、地域で支えるという視点が重要です。
※横倉会長スライドより

人生100年時代を元気に過ごすためには

 人生100年時代は、健康寿命が短ければデメリットも出てきますね。

横倉 やはり健康で100歳が理想です。女性は膝(ひざ)を痛めたりして歩きにくくなる。すると歩かなくなり、徐々に体力が落ちてきて健康寿命が短くなります。ですから、できるだけ筋力を強めるような運動を毎日続けることが大事です。ラジオ体操や散歩がお勧めです。

 小泉大臣の健康法は?

小泉 健康の秘訣(ひけつ)の一つは、ストレスをどう管理するかにあると思っています。政治の世界にいること自体がストレスのようなものですからね。大事なのは、自分がこの世界を選んだという自己決定です。人が一番ストレスを感じるのは、自分がやりたくないことをやっているときではないでしょうか。あとは、ストレスを感じるようにと意識しています。感じないのが一番怖いですから。

そして、ストレスを感じたら「今日はたまっている仕事を全部やめて寝よう」と。仕事の準備は切りがないですよね。いくら準備を重ねても、睡眠不足で翌日のパフォーマンスがよくいかなければ意味がない。そこは結構割り切るタイプです。

 個人的には、ぼけないようにもしたいです。

横倉 認知症の原因の一つは孤立です。1日誰とも話さないという日はないですか? そういう日をできるだけ少なくすることも必要なことだと思います。

小泉 認知症になることを完全に防ぐことはできないと思います。大事なことは、認知症になっても生きやすい社会環境をどうやったらつくれるか。いま東京の町田市が頑張っていて、視察に行きました。認知症でも働き場所があったり、誰でも参加できる認知症カフェのような場所があったりする。そこでは、認知症の人だけでなく、面倒を見ている家族も悩みを打ち明けられる。そういった環境を、各地でもっと広げていきたいと思っています。

 どんなに年を取っても、世の中に関わっていきたい、役に立ちたいという気持ちがあって、それが人を輝かせる気がします。私の母も晩年の10年近く認知症でしたが、裁縫が得意だったので「刺し子でふきんをつくりたい」と、最後まで指を動かしたがっていました。何かの役に立つ場をつくる、その場でみんなとコミュニケーションがとれるというのは、すごくよいことかもしれませんね。本日はどうもありがとうございました。

日本医師会
日医くん
日本医師会キャラクター「日医君」
日本医師会は、全国約17万人の医師が加入する団体です。会員は、地域で開業している医師だけでなく、大学病院などに勤務している医師が、半々の割合で所属しています。

1916年に設立され、「国民と共に歩む医療の専門家集団」として、国にさまざまな提言を行っているほか、皆さんがかかっている医師が生涯にわたって学習できるよう、研修の機会や学習素材などを提供しています。また、災害時には全国の医師の協力の下、被災地にJMAT(日本医師会災害医療チーム)を派遣し、被災地支援を行っています。
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