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JSEC2021 オンライン研究発表会JSEC2021 オンライン研究発表会

純粋な探求心と挑戦が、
よりよい未来を切り開く

花王は、“よきモノづくり”の基盤は科学技術から生まれる革新的なイノベーションであると考え、よりよい未来を担う子どもたちの次世代育成を応援している。
2005年から「JSEC(高校生・高専生科学技術チャレンジ)」に協賛し、優れた研究に「花王賞」と「花王特別奨励賞」を贈ってきた。
8月8日には、受賞校の研究発表とともに花王エコラボミュージアムの見学や花王社員との交流を図る機会としてオンラインで「研究発表会」が開催された。

情熱を注いだ世界レベルの研究発表

 オンライン研究発表会では、JSEC2021審査会での発表の興奮が再びよみがえるかのような、熱量あふれる研究発表が再現され、花王社員と活発なやり取りが行われた。

 花王賞受賞の松井さんは、梅から抽出されるポリフェノールとその酸化反応、氷砂糖が加水分解されて生じるフルクトースという物質の変化によって、段階的に梅酒の色が濃くなっていく仕組みを突き止めた。この研究を他の果実飲料や和食文化の研究にも応用し、将来は世界にも発信していきたいと意気込む。花王社員は発表に対し、花王のポリフェノール研究にも通じるところがあるとコメントし、味と色についての関係性などもさらに深く質問した。

 花王特別奨励賞受賞の木村さん、木原さん、鍵山さんは、どこにでも貼ることができ、起電力も大きくした太陽電池を考案した。自然科学部での研究において改良を続けるなか、新たな素材として電解液に「ローダミンB」という赤紫色の染料を使うと効率が良いことを発見し、電池化するうえで効率的な形状などを工夫した。ゆくゆくは災害時の携帯電話やパソコンの充電などにも使えるとのことだ。

 同じく花王特別奨励賞受賞の猪股さんと黒木さんは、自作のプログラムでハクセンシオマネキのオスの求愛ダンスについて解析した。メスから一定の距離を保ち、1回あたり約4.2秒の一定のリズムで、休憩することなく求愛するオスがモテることが判明。花王社員からは、メス側の行動観察も行ってみてはどうかというアドバイスがあった。2人は、ビデオ動画を用いた解析技術は、他の野生動物でも応用できるため、様々な動物の行動解析も試みたいと話した。

花王賞

熟成梅酒が琥珀色になる理由

松井了子さん

 梅の実は緑色であるが、なぜ梅酒の色が琥珀色になるのか疑問に思い研究を始動。その結果、梅酒は3段階の反応によって段々と色が濃くなっていくことがわかった。「ISEF(国際学生科学技術フェア)2022」出場。

松井了子さん
(玉川学園高等部/東京都)

初日(梅酒の変色)

初日(梅酒の変色)

11カ月後

11カ月後

4年後

4年後

花王特別奨励賞

どこにでも貼ることのできる
1.7V超分子色素太陽電池

写真左から木村香佑さん、鍵山創直さん、木原萌伽さん

 太陽電池の形状を特殊な両面テープで貼り合わせた「密閉型」にすることで、発電時間を1時間から1カ月に。樹脂フィルムを用いて、曲面への貼り付けも可能になった。

写真左から木村香佑さん、鍵山創直さん、木原萌伽さん
(島根県立浜田高等学校)

ヘルメットに取り付けた小型の密閉型太陽電池

ヘルメットに取り付けた
小型の密閉型太陽電池

貼り合わせ型太陽電池

貼り合わせ型太陽電池

密閉型太陽電池

密閉型太陽電池

花王特別奨励賞

STFTによるハクセンシオマネキ(Uca lactea)の理想的な求愛ダンスの解析〜求愛に成功するオスは、休まずに一定の速さで大きなハサミを振る〜

黒木美花さん、猪股聡太さん

 ハクセンシオマネキは絶滅危惧種で甲羅の幅が1~2センチの小型のカニ。オスは甲羅より大きなハサミを持ち、それを振り求愛する。メスが好むハサミの振り方の法則を解析。
※短時間フーリエ変換

黒木美花さん、猪股聡太さん
(宮崎県立宮崎北高等学校)

大きなハサミを振るオス

大きなハサミを振るオス

オスよりやや小さいメス

オスよりやや小さいメス

宇宙飛行士を目指す
先輩受賞者からの力強いエール

 今回のオンライン研究発表会では、JSEC2016で花王賞を受賞した田渕宏太朗さんも登壇。宇宙飛行士をめざし、現在は、筑波大学大学院で航空宇宙工学と流体工学を学び、小型液体燃料ロケットの開発と実用化に向け、日々研究に取り組んでいる。

 ロケットサイエンスの研究は、幅広い学問が絡んでいるため、研究を通して分野を横断する多くの知識や体験を積み重ねることができる。みなさんも自分の「夢」「やりたいこと」を糧に、それをかなえるための道を見つけてほしいと語った。高校生からの、「志を共にする仲間のつくり方」についての質問には、「自分の思いを周囲に伝えることで自然と輪が広がり、仲間が増えた」と答えた。さらに、田渕さんの海外でも活動したいという話に刺激を受け、高校生も海外への夢や希望を語った。

花王賞受賞が転機となり活躍する先輩受賞者

 JSEC2016「ファンプロペラの効率アップ〜風を変えるシンプルな表面加工〜」で花王賞を受賞し、そこでチャンスを得て出場したISEF(国際学生科学技術フェア)2017では、機械工学部門2等を受賞。

 現在は「自分たちが作ったロケットを飛ばしたい」という強い思いを持ちながら宇宙飛行士をめざし、宇宙へのアクセスを簡単にする小型ロケットの実用化に向けて、日々研究に取り組む。

田渕宏太朗さん 田渕宏太朗さん

田渕宏太朗さん
(筑波大学大学院博士前期課程1年 学生団体「Project Lazarus」共同代表)

小型液体燃料ロケットエンジンの実証実験

よきモノづくりに挑む
花王の研究者からのメッセージ

 若手研究者との交流のパートには、生物科学研究所の藤田拡樹さんと寺井三佳さんが参加。現在花王の研究者として働く2人が、高校生の時の進路選択や大学での研究内容、花王への入社理由などを語り、高校生たちは熱心に聞き入っていた。質疑応答の場面では、「現在仕事でどんな研究を行っているのか」「いつ頃大学院に進もうと決めたのか」など本音の質問が飛び交い、若手社員たちは、その一つひとつにていねいにアドバイスした。

 研究発表会後、高校生たちからは、「幅広い分野で活躍する社員の方々が関心を持って聞いてくれてうれしかった」「企業では一つのものをみんなで作り上げていくという話が印象的だった」などの感想も述べられた。研究者という意味において同じ立場の社員と高校生たちは、互いに大きな刺激を受けたことだろう。

オンラインによる研究発表会

オンラインによる研究発表会

分野を超えた交流が未来を切り開く

久保英明さん

 高校生・高専生の研究には、企業の研究者にはない柔軟な発想があふれており、今年も「なぜ?」と興味をそそられる点が多くありました。彼らの本質にせまるひたむきな探究心と挑戦は、花王の研究者と共通するものです。花王は17年にわたりJSECに協賛しており、この交流の場は他では得られない刺激を得る場となっています。

 花王は、洗浄剤、化粧品、コンクリートなど幅広い分野の研究を進める中で、社員が組織や専門分野の壁を超えて意見交換することでサステナブルな未来を切り開く新しいモノづくりに挑戦しています。環境問題、パンデミック、高齢化、多様性の影響などの課題に対し、若きサイエンティストを応援し、共に未来を切り開いていきたいと思っています。

久保英明さん
(花王株式会社 常務執行役員 研究開発部門統括)

花王エコラボミュージアム

製品ライフサイクルすべてにおける
エコへの取り組み

 研究発表会の冒頭では、花王エコラボミュージアムのオンライン見学が開催され、花王の環境に配慮したモノづくりと先端のエコ技術が紹介された。花王の製品は、その多くが私たちの毎日の暮らしの中で使うもの。そのため、環境に配慮したモノづくりを目指し、原材料選びからごみに出すまでのすべての過程においてエコロジー視点で「モノづくり」に取り組んでいる。

 ライフサイクルのどの段階でCO2が多く排出されているかが可視化され、各コーナーでは、植物由来の原材料選び、自家発電や再生可能エネルギーでの工場の稼動、すすぎが1度でいい洗浄剤の開発などを紹介。また、プラスチックごみ削減のためのつめかえ用容器の研究・開発、自治体との協力によるRecyCreation(リサイクリエーション)などの考え方を伝えた。

 参加者からは、「生物多様性に対する取り組みについて知りたい」「包装材料を削減するアイデアはどのように生まれたのか」などの質問が投げかけられた。ミュージアムの担当者たちは、生物多様性を考えた森林をできる限り壊さない原料の選び方、トラックへの積載効率、輸送時まで考えた包装材料の設計などそれぞれの視点からていねいに応え、活発な意見交換がなされた。

研究の森をイメージした空間(上)で、暮らしの中のエコを考える、花王エコラボミュージアム。天然油脂を主原料とした界面活性剤についての説明(左下)や、エコ技術によるごみ削減の取り組み(右下)など視覚に訴える方法で、わかりやすく展示している。
花王エコラボミュージアムWebサイト

花王から高校生へのメッセージ動画
「洗剤研究から宇宙へ」