花王は“豊かな共生世界の実現”には、
科学技術から生まれる革新的なイノベーションが必要であると考え、科学技術人財の育成を応援している。
2005年から「JSEC(高校生・高専生科学技術チャレンジ)」に協賛し、優れた研究に「花王賞」と「花王奨励賞」を贈っている。
3月30、31日の2日間にわたり、受賞者と担当教員を花王に招き、最先端の研究の見学や社員との交流を図る機会として
「スタディツアー」が開催された。当日の生徒たちの研究発表は、全国の花王グループ社員にオンラインで配信された。
JSEC花王賞と花王奨励賞受賞校の研究とその熱意をたたえ、副賞として開催されているスタディツアー。2023年は4年ぶりのリアル開催となり、「JSEC2022」で花王賞を受賞した島根県立浜田高等学校と、花王奨励賞の金沢大学附属高等学校、東京都立小石川中等教育学校の生徒5人と教員2人が東京のすみだ事業場に招かれた。
1日目は、花王ミュージアムと研究施設の見学、若手研究者との交流が行われた。ミュージアムでは、花王グループの歴史、清浄文化の移り変わりなどを学んだ。研究者のプレゼンテーションでは、生物科学研究所の平田智也さんとスキンケア研究所の福井志穂さんの2人が高校生の時に考えていたことや大学での学び、現在の研究などを紹介した。その後、感覚科学研究所では、香りの仕組みや素材となる植物について研究者が説明。香りの調合をするラボを訪れ、精製法や原料の産地によって香りが異なることを、試験紙につけた香りを嗅ぎながら体験。この日、最後に訪れたのはヘアケア研究所。「巻いた髪をキープしたいけれど固めたくない」という声に応えて開発されたヘアスプレーと比較製品で、左右半分ずつをセットしたマネキンの髪を触り、質感の違いを確かめた。
ツアー後、生徒からは「生活者の悩みやニーズを大切にしているからこそ、社会に役立つ製品ができるのだと思った」「製品は、サステナビリティや社会にどう貢献するかなど多様な観点から考えられていることがわかった」などの感想が述べられた。企業でどのような研究がされているか、商品開発にはどんな発想や技術が必要なのかを目の当たりにすることで、高校生たちの科学研究への興味はさらに深まったはずだ。








2日目は受賞研究の発表が行われた。3校それぞれの研究に対し、研究対象の条件設定や研究をしようと考えたきっかけなど次々と質問が投げかけられ、活発な質疑が繰り広げられた。
貴重な意見交換の機会から、高校生たちは、それぞれに課題を持ち帰り、研究を深めて新たな挑戦を続けていくのだろう。
新型コロナの影響もあり、4年ぶりのリアル開催となった今回のスタディツアー。生徒たちからは「スタディツアーを通して、自分が何を研究していきたいのかより明確になった」「研究者の話を聞いて、卒業後の研究のイメージができた」「自分も社会に出たら、豊かな生活に貢献できるような仕事に関わりたい」などの声が上がった。参加した高校生にとっても花王社員にとっても互いに知恵や発想力を刺激し合い、充実した2日間となった。






畑でキャベツに虫がついているのはよく見ますが、レタスには虫がついているのを見たことがありません。2つの野菜の違いは乳液の存在ですが、この植物乳液を扱った研究は少なく、その成分についても詳細にはわかっていないなか、乳液に含まれる成分は昆虫に対して追い払う効果、近づけなくする効果があると考え、研究をはじめました。
島根県立浜田高等学校
坂手 遥さん、横山麗乃さん、渉 結名さん
小学1年からアカハライモリの飼育~生態研究に没頭するなか、イモリはある周波数の音が好きであることを明らかにしました。また、ともするとアナログ的な手法になりがちだった研究解析の方法について、イモリを傷つけずに定量的なデジタルデータの取得・調査方法を開発しました。
金沢大学附属高等学校
部家 匠さん
「青いフラスコの実験」とは、振ると青色=酸化型メチレンブルーの色に、静かにすると無色=還元型メチレンブルーの色になる、見せるための有名な実験の1つです。フラスコ内の溶液が青色に反応変化する時間を制御したうえで、より観客が楽しみやすい実験を行いたいと考え、研究を始めました。
東京都立小石川中等教育学校
三田倫太朗さん
研究発表会には、JSEC2017で花王賞を受賞、2018年ISEF※に参加し、物理天文学部門の優秀賞4等を受賞した成松紀佳さんもオンラインで参加。成松さんは、熊本県立宇土高等学校から米ミネルバ大学に進学し、コンピューターサイエンスを学んでいる。
自らの経験を通して、高校生たちに「何を学ぶかよりも誰とどう学ぶかが大切。今いる環境から少し違う場所へ行くことで、価値観が変化する。そんな少しのストレスと上手に付き合ってほしい」とエールを送った。さらに、ISEFに参加する浜田高等学校のメンバーに、英語での発表のコツや通訳との入念な打ち合わせが重要など、経験者ならではのアドバイスを伝えた。
※ISEF(アイセフ)=International Science and Engineering Fairは、世界80以上の国や地域から約1,800人の高校生(9~12grade)が集まり、科学の自由研究を競うコンテスト。
成松紀佳さん(ミネルバ大学)
※ISEF(アイセフ)=International Science and Engineering Fairは、世界80以上の国や地域から約1,800人の高校生(9~12grade)が集まり、科学の自由研究を競うコンテスト。

いずれの研究も柔軟な発想に満ちあふれており、他では得られない刺激を受けました。花王は、組織や専門分野の垣根を越えて交流することで、サステナブルな未来を切り開く新しいモノづくりに挑戦しています。日本最高峰の本コンテストを通じて、世界にはばたく若きサイエンティストを応援し、共に未来を切り開いていきたいと思っています。
久保英明さん
(花王株式会社常務執行役員 研究開発部門統括)