LANGUAGE

広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

LANGUAGE

SHARE

介護職が末長く働ける職場をつくる

社会福祉法人 合掌苑 マネージャー

森田健一さん

離職率を下げるきっかけは、社員一人ひとりとの面談

東京・町田市を中心に特別養護老人ホーム等を運営する合掌苑は、介護職がいきいきと末長く働くための環境づくりをすすめる業界の急先鋒(きゅうせんぽう)だ。合掌苑の働き方改革にも携わる森田健一さんに話を聞いた。

「私がちょうど入社した頃の25年前は、弊社も新卒で10人入っても1年後に残るのは2人というありさまでした。新卒離職率80%ですよね。地域で“合掌苑には勤めない方がいい”といった悪口まで流れていました」

新卒だけではなく、全体の離職率も30%と多かった。キャリアのある職員も辞めてしまう事態は深刻だったが、当初は解決策が分からなかったという。同時期に行った第三者評価では「お客様満足度調査」は良かったが、「組織風土調査」では1〜4の段階評価で、一番低い1点が多かった。社員に自由にコメントを書いてもらうと、会社へ不満をA4用紙で3、4枚書く人もいた。

「ちょうどその頃は事業規模が数倍規模で拡大しているときで、マネジメントが追いついていなかったのです。そのため職員の疲弊に気がつけなかった。たまたまその頃、中間管理職は力を上げるためにコーチングを学んでいたので、それを生かそうと、職員の面談を始めることにしました」

すべては手探りだったが、森田さんは月に1回のペースで職員一人ひとりと面談をしてみることにした。すると、「話すことなんて別にない」といっていたベテランの方が、面談をしてみると3時間、4時間も話す。

「こちらもまずは聞こうという姿勢でした。そして面談を定期的に続けていこうと。すると、1回、2回と回を重ねてくるうちに、最初は感情的な不満や他責にしていたことが、具体的な仕事の話に変わり、解決策の提案をするなど意見も前向きになっていったのです。さらに面談して良かったことは、われわれのような職種は夜勤もあるため、全員そろってのミーティングが難しく、運営側の方針が伝わりにくかったのですが、説明できる機会が得られました」

面談を始めると離職率も下がり始めた。森田さんは、「結果的に運営側が決めたことを丁寧に話し、職員と“合意形成”できたことが離職率低下には有効でした」と話す。

女性やベテランのキャリアが、途切れない働き方に改革

合掌苑の働き方改革で特徴的なのは、制度に独自のやり方を織り交ぜているところだ。サービス残業の禁止、日勤と夜勤の完全分離などから、今年は年に2回の長期休暇を7日間から10日間に増やし、職員全員100%取得する予定だという。さらに産前産後休暇では、独自に産前休暇に2週間を上乗せして8週間にした。この2週間は、つわりのひどい妊娠初期など、期間を固定せず自分の体調に合わせて取れる。子育て中は、正規職員でも1日6時間の時短勤務を認めた。時短勤務にすると月給制では、給与額を算出するのが難しい。そのため合掌苑では管理職を除き、職員の給与を時間給制度に変えた。どうしてここまでするのだろうか。

「介護職は女性が多い職場です。しかし、結婚や出産で退職したり、正規職員から非常勤になったりして、せっかく積み上げてきたキャリアが途切れてしまう。これはもったいないと、女性が仕事を続けやすいように制度から見直していくことにしました」

制度をつくっても周りの協力がないと機能しない。合掌苑では面接などを通じて、制度の必要性を職員に理解してもらい、しっかりメンバーシップの取れる風土づくりも進めた。

ベテランの職員にも長く働いてもらえるように、3年前から定年も廃止。70歳までは60歳時の賃金で働けるようにした。フレキシブルに就労形態の変更にも応じるので、自分の体力や余暇の使い方に合わせて働く時間や日数も決めやすい。合掌苑で働く最高齢は84歳というから驚きだ。

こうした結果が実を結び、現在、離職率は10%を切り、女性の復職率は、夫の転勤などのやむを得ない理由を除き100%になった。

「私もやってみて分かったのですが、働き方改革には、仕組みづくりと風土づくりの両方が伴わないと、うまくいかないのです」

介護職は景気の影響を受けにくく、改革できる余地がある

よく介護職は3K(きつい、汚い、危険)といわれることもあるが、森田さんはどう思っているのだろうか。

「介護職はサービス業の中でも人と接する時間が長く、親密度も高い職業です。そのため、利用者からは“ありがとう”などの素直な言葉をもらえます。介護福祉施設の事件や事故などがニュースになり、そればかりがクローズアップされてしまい、公平に介護職の仕事のすばらしさが伝わりきっていないと思います」

介護職は景気にも左右されにくいのも魅力だという。資格も充実しており、キャリアアップも目指しやすい。

「よくニュースで何かが問題が起きると、関係している業界はたちまち何十パーセントも売り上げが落ちるという話を聞きます。しかし私たちは公定価格である介護報酬でまかなっているので、景気の影響は受けにくく安定しています。金額も合掌苑の一般介護職で年収約390万円ですが、そんなに安く感じないのではないでしょうか。キャリアアップにしても、介護職の入り口は低く仕事を始めやすいですが、きちんと資格を取らなくてはならない業務も多いので、仕事に携わっていれば自然と意欲的にステップアップができる仕組みができていると感じます」

これで働き方改革も進めば、福祉・介護の仕事も今後は注目してくる人も多そうだ。

「この業界は、まだまだ未整備なところがあって、いろいろ試しながら変えているただ中にいると思います。合掌苑の創業者も“自分たちの職場は、自分たちで良くしていかなければならない”といっていましたが、自分たちで挑戦して変えていける余地がある業界です。私はいま、そこにやりがいを感じています」

介護を含めた福祉は、「地域全体で取り組まないと底上げができません」と森田さんはいう。そのため、合掌苑の働き方改革のノウハウは、求められれば近隣の介護福祉施設にも公開していきたいと考えている。

PROFILE
もりた・けんいち/特別養護老人ホームで宿直のアルバイトをしているときに、利用者やスタッフの実情をみて、介護業界を変えてみたいと現在の道へ。その思いもあり、合掌苑の働き方改革にも熱心だ。休みの日には肩こり解消にもなる趣味のドラムをたたく。

STAFF VOICE

仕事に集中でき、
休みはしっかり取れる環境がある

社会福祉法人 合掌苑
町田市南第2高齢者支援センター
社会福祉士

星 さとみさん

特別養護老人ホームで4年間働いた後、去年高齢者支援センターに異動になりました。介護の仕事を始めるきっかけは、高校生のときに祖母が入院したとき、病院の相談員さんがとても親身になってくれたことです。病院の帰り道に、この道に行こうと思い立ちました。それから福祉系の大学に進み、北海道から東京の合掌苑に入職しました。

介護の仕事は、私が話好きということもあって、利用者の方と交流しながらその人の人生に携われることに楽しさがあります。社会福祉士を目指してきたからこそ、自分ができる利用者の方との関わり方があると思うので、そこを発揮できたらいいですね。

合掌苑は、職場の雰囲気も良いので仕事にも打ち込めます。しかも連休なども定期的にしっかり取れるのがいいですね。子供が生まれても働いている先輩もたくさんいて、時間にも融通が利くという印象があります。

STAFF VOICE

社会福祉法人 合掌苑
町田市南第2高齢者支援センター
センター長

菅 朋宏さん

実は私は一度合掌苑を辞めて、ほかの施設を経験した後、また合掌苑に戻ってきた経緯があります。大学を出てすぐに合掌苑に入職したのですが、14年勤めたとき、「新しい介護施設を立ち上げるからこないか」と声をかけていただいて、一度ほかの施設も見てみたいと移りました。そこで合掌苑で行っていた職員面談を取り入れたりしてみました。ほかの施設に行ってわかったのですが、やはり合掌苑はいろいろ進んでいるなというのが正直な感想です。

そこに4年間勤めましたが、通勤事情などもあって、合掌苑に戻ってきました。今はセンター長なので、面談する側ですね(笑)。仕事は、スタッフの管理業務から地域づくりなど幅広く任されています。自分が取り組んだことが、いろいろな形で返ってくるのが実感できて、やりがいを感じています。よく介護の仕事は給与が安いといますが、大学の同期などの話を聞いても合掌苑は、給与も世間で思われているほど悪くないと思います。フレックスタイム制である程度は時間も調整できる。いろいろな家庭環境の人が活躍しやすいので、恵まれている職場だと思います。

「合掌苑」

要介護者や障がい者やへの総合的な相談を受け付け在宅系サービスから入居系サービスまで、一人ひとりのニーズに合わせてコーディネートやサービスの提供を行っている。

住所:東京都町田市金森東3-18-16
お問い合わせ先:042-799-2144

HOME