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オンラインセミナー 
眼科市民公開講座

加齢黄斑変性を知っていますか

[主催]朝日新聞社 
[共催]ノバルティス ファーマ 株式会社

福岡

定期的に眼科で検診を受け
ぜひ早期発見・早期治療を

「四角いものがゆがんで見える」「視界の真ん中が暗く見える」─そんな目の症状が出たら要注意。中高年で発症し、失明原因の上位を占める、加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の可能性があります。目の生活習慣病ともいえるこの病気を予防し、早期発見するにはどうすればいいのか。専門家とともに考えるオンラインセミナーが11月23日、福岡会場と鹿児島会場から配信されました。

オープニング

目の病気も予防も日頃の健康管理で
石橋達朗先生(九州大学 総長)

昨今のコロナ禍において、自宅での読書やテレビ、ウェブの使用時間が増え、高齢の方でも、よい視力を長く保つことの重要性が以前よりも高まっていると感じております。また、人生100年時代といわれており、高齢者の視覚障害は見過ごせない問題です。

わが国の視覚障害者の年代別の割合は、60代以上が75%近くと多く、そのうちの約30%は、80代以上の方々が占めています。疾患ごとでは、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性が多くなっています。「まっすぐの線がゆがんで見える」、「視界の真ん中が暗く見える」、そんな症状が出たら要注意です。中高年で発症しやすく、失明原因の上位を占める加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の可能性があります。

これらの病気は、まず生活習慣病を予防する食生活やライフスタイルが役立つことが分かっています。これは、糖尿病や高血圧のような全身疾患の改善にも役立ちますから、日頃から健康管理と早期発見を心がけてください。また、今日では研究が進み、新しい治療薬や治療方法も出てまいりました。

本日の内容が、皆様の視力を適切に守るためのヒントとなれば幸いです。

白内障・緑内障

人生100年時代の視覚の意義
【講演】園田康平先生(九州大学大学院 医学研究院 眼科学分野 教授)

目からは感動を得られる

私たちは視覚で生きています。人間は視覚情報が80%といわれており、見えているからこそ、美味(おい)しさや美しさなどの感動を得ることができます。日本における失明原因としては、1992年までは糖尿病網膜症や白内障が1、2位を占めていたのですが、白内障の方がぐんと減り、2005年のデータでは緑内障や糖尿病網膜症、加齢黄斑変性が上位となりました。

白内障は近年、手術で本当によく治るようになりました。白内障はいわば、レンズが濁る病気です。現代の医療では、濁ってしまった水晶体をきれいな人工レンズに置き換えることで、元のようにものが見えるようになります。見えにくくなっても放置せず、手術を受けることが大切です。

40歳を過ぎたら定期検診を

現在の日本における失明原因で第1位となっている緑内障は、網膜の神経線維がゆっくり傷つく病気です。生理現象のひとつで、眼圧によってカメラでいうとフィルムの役割をしている網膜の線維が薄くなっていきますが、正常な眼圧であっても長く生きていれば緑内障になり得ます。人生100年時代において、忘れてはいけない病気のひとつです。

緑内障になると、少しずつ視野が抜けて、欠けている箇所が出てきます。左右の目で補い合ってしまうことから自覚症状に乏しく、未受診率は80~90%に上り、進行してから受診する方が多いです。最近では緑内障を調べるために、光干渉断層計(OCT)検査という網膜の厚さを細かく測る機械が出て、クリニックで用いられています。このOCT検査の次に視野検査、眼底検査に進んでいきます。

白内障も緑内障も、誰でもなり得る病気です。40歳を過ぎたら眼科の定期検診を受けてください。一日一回、片目をつぶってモノを見るテストをする習慣をつけるのもおすすめです。

加齢黄斑変性

ゆがんで見える加齢黄斑変性とは?
【講演】園田祥三先生(医療法人明星会 鹿児島園田眼科・形成外科 院長、鹿児島大学 眼科 客員教授)

最高視力に関係する「黄斑」

私たちの網膜のほぼ中心には、物体の細かい部分や色を見分ける働きを持つ視細胞が集中している「黄斑」があり、そこを用いてものを鮮明に認識しています。黄斑は最高視力に関係しており、黄斑以外は視力0.1くらいしかありません。

先進国の50歳以上の成人の失明原因の第1位に、加齢黄斑変性(AMD)があります。黄斑に異常があると、読書や運転など日常生活が不自由になるほか、顔の認識が難しいなどの支障が出ますが、一番の問題は治療しないと病気が確実に進行することです。結果的に視力がさらに低下し、失明に至ることもあります。

ストレスや喫煙も原因

高齢化が進んで寿命が延びたことに加え、生活様式が欧米化したこともあり、日本人のAMD有病率は確実に増加しています。加齢や酸化ストレス、喫煙、動物性脂肪が多い食事、高血圧や遺伝的な背景によって、網膜の環境をよい状態に維持するために必要な「網膜色素上皮細胞」が障害を受けると、修復しようと異常な新生血管が作られます。その結果「視細胞」が障害され、AMDの症状が引き起こされます。

AMDの診断には、血管の状態を調べることが大切です。血管の状態は蛍光眼底造影、OCTによって検査することができ、OCTは患者さんに苦痛なく、短時間で検査することができます。また、レーザーを用いた治療(PDT)や、異常な新生血管の元となる血管内皮増殖因子(VEGF)の分泌を抑える眼内注射などもあります。

予防には、前述したAMDになる原因を除去することが必要です。サングラスの着用で紫外線をブロックすることや、禁煙、血圧や体重の維持、緑黄色野菜や魚などに含まれる良質な脂質の摂取比率を上げましょう。また、早期発見・早期治療を行うことで、視力の維持が期待できますので、眼科専門医に相談してください。

糖尿病網膜症

糖尿病と眼の病気
【講演】久冨智朗先生(福岡大学筑紫病院 眼科 診療部長・准教授)

約123万人に可能性が

糖尿病の方のなかには「今は見え方に問題はないし、血糖コントロールができているから大丈夫」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、糖尿病が進行することで発症する3大合併症のひとつである糖尿病網膜症は、患者数が多く自分では分かりにくい病気です。網膜に障害が起こり、視力低下のほか、失明の恐れもあります。

糖尿病網膜症は、網膜に血管の病気が起こることで生じます。研究結果から試算したところ、日本人の40~79歳の人口およそ6500万人のうち、約18~19%に糖尿病があると考えられ、そのうち10.5%である約123万人が糖尿病網膜症の可能性があるという計算になります。

糖尿病網膜症は「単純網膜症」「前増殖網膜症」「増殖網膜症」に分けられ、その順に進行していきます。「単純網膜症」では点状の出血や、しみ状の出血、白い斑点、網膜のむくみが起こり、毛細血管のこぶが目立ってきます。「前増殖網膜症」に進むと、広範な網膜の血管閉塞(へいそく)が起こり、血が流れていない状態になるため、積極的な治療が必要になります。「増殖網膜症」までいくと網膜剥離(はくり)や、さらに進むと緑内障が出てきて、急いで治療する必要があります。

検査には眼底検査やOCT検査などを行います。治療法としては、血糖コントロールやレーザー治療、抗VEGF硝子体注射、硝子体手術などがあります。糖尿病網膜症の病期に応じて治療を行います。

黄斑部分がむくむことも

また、糖尿病の方は、糖尿病黄班浮腫になることもあります。これは黄斑部分がむくむことで、見たい部分がかすんだり、ゆがんだり、見えにくくなったりする病気です。注射による治療が主となります。

患者さんや医師の努力によって、診断・治療法も進歩しています。早期発見と治療が大変重要になりますので、ためらわずに内科や眼科を受診してください。

トークセッション

【登壇者】 石橋達朗先生、園田康平先生、園田祥三先生、久冨智朗先生
【司会】 草野 仁さん

草野 目のために、日常生活で気をつけるべきことは。

石橋 特に目に悪い生活習慣が喫煙です。また、パソコンやスマートフォンの長時間の使用は、目にとってもよくありません。

草野 高血圧などの生活習慣病は、目の病気の進行と関係がありますか。

久冨 加齢黄斑変性だけでなく糖尿病においても、高血圧症や高脂血症の既往歴は必ずお聞きします。

園田(康) 目は体の一部です。体の病気は必ず目にも影響が出てきます。

草野 自分で目の状態をチェックする方法はありますか。

園田(祥) アムスラーチャート(下図参照)を使う方法があります。または、カレンダーや障子の“さん”など、格子状のものを片目ずつ見るのも手です。

草野 加齢に伴う目の病気には、どのようなものがありますか。

園田(康) 人生100年時代となると、白内障や緑内障には必ず皆さんがかかると思っていた方がよいでしょう。自覚症状が出てからでは遅いです。自覚症状が出ていないうちに検査に行きましょう。

草野 OCT検査を行う場合、どこに行けば受けられるのでしょうか。

久冨 開業医の先生のところも含め、今は多くの施設に機械が入っています。患者さん自身も検査結果を確認しやすいので、医師に頼んで見せてもらうとよいでしょう。

園田(祥) 糖尿病と診断されましたら、ぜひ一度眼科を受診ください。行っていただいただけの非常に有益な情報が得られます。

草野 最後に一言お願いします。

石橋 内科ではかかりつけ医をお持ちのように、眼科においてもぜひ、かかりつけ医を持っていただくとよいと思います。

草野 仁さん
必ず片目ずつチェックしてください。
❶約30㎝離れます(眼鏡はかけたまま)
❷片目を閉じて中央の黒い点を見つめます
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