仙台
定期的に眼科で検診を受け
ぜひ早期発見・早期治療を
「四角いものがゆがんで見える」「視界の真ん中が暗く見える」─そんな目の症状が出たら要注意。中高年で発症し、失明原因の上位を占める、加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の可能性があります。目の生活習慣病ともいえるこの病気を予防し、早期発見するにはどうすればいいのか。専門家とともに考えるオンラインセミナーが11月1日、仙台会場と東京会場から配信されました。
オープニング
- 予防と早期発見を
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岡部 仁先生(宮城県眼科医会 会長、平成眼科病院 院長)

加齢とともに、全身のさまざまな部位で機能の低下が見られるようになります。代表的なものは、「感覚機能」「認知機能」「運動機能」の低下です。
これらの機能は個別ではなく、それぞれが密接に関わり合っていることがわかっています。例えば、感覚器である視機能の低下は、認知機能の衰えを招きやすくなります。一方、視機能が改善して生活の質が上がると、認知機能にも改善が見られるようになります。ある機能の低下が他の機能の低下を引き起こす、あるいはその逆も起こりうるのです。
日本における視覚障害者の割合を見てみると、60代以上が75%近くとなっており、特に80代の方が約30%を占めています。高齢者の視覚障害が見過ごせない問題になっていることがわかります。
疾患ごとにみてみると、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などが多くなっています。今では研究が進み、新しい薬や治療方法も出てきました。生活習慣病を予防する食生活やライフスタイルが予防に役立つこともわかっています。これは認知症の予防にも役立つことなので、日頃から健康管理と早期発見を心がけてください。
緑内障
- 90%の人が気付けない! コワイ目の病気~40代からの緑内障対策
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【講演】中澤 徹先生(東北大学 医学部 眼科学教室 主任教授)

徐々に視野が狭くなる
緑内障は失明原因の第1位で、40歳以上の約20人に1人、70歳以上になると約9人に1人が罹患(りかん)しているといわれています。加齢によって増加しやすい病気で、患者数は年々増加傾向にあります。
緑内障は「視野」が狭くなる病気で、「視力」が下がる病気とは少し異なります。視界にかすみのようなものが見え始め、徐々に拡大していくため、日常生活に支障をきたすようになります。
ところが、緑内障の疑いをもって受診する人は多くありません。ほとんどの人は「単なる視力の低下」「目の疲れ」「年齢のせい」としか思っておらず、緑内障と診断されてはじめて病気だったことに気づくのです。そのくらい症状が自覚しにくいやっかいな病気といえます。早期発見で治療を
なぜ視覚異常に気づかないのでしょうか。理由は主に二つあります。一つは、脳の働きです。普段私たちは左右二つの目でものを見ているため、左目では見えなくても右目で見えていれば「見える」と認識されます。脳は優秀ですから、両方の目の情報をうまく合わせることで視野を補正しようとします。その結果、異常に気づきにくくなるのです。もう一つは、長い時間をかけてゆっくり進行するため、変化に気づきにくい点です。
緑内障は神経が傷むことで引き起こされる病気です。神経は、一度悪くなると元には戻せません。早い段階で発見し、適切に治療をすることが重要です。
緑内障は、眼圧が高い人、近視が強い人、身内に緑内障の方がいる人、交感神経の調整が苦手な人などがなりやすいといわれています。今では治療法が確立し、早い段階で見つかれば失明を避けることができます。生活習慣を見直しつつ、少しでも心あたりがあれば受診して、早期発見を心がけてください。
加齢黄斑変性
- 見たいところが見えない! 加齢黄斑変性ってどんな病気?
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【講演】岡田 アナベル あやめ先生(杏林大学 医学部 眼科学 教授)

直線がゆがんで見える
加齢黄斑変性は、高齢者にみられる重篤な視力障害を引き起こす疾患の一つです。「黄斑」とは、光を信号に変えて脳に送る「網膜」の中心にあり、細かいものや色を見分けるために重要な役割を果たしています。黄斑に問題が生じると、視界の中心がかすんだり、真っ直ぐな線がゆがんで見えてしまったりと、さまざまな障害がでます。信号の色を見分けるのが難しくなることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。
加齢黄斑変性の最大の要因は加齢、次に喫煙です。日本では女性より男性の発症率の方が高い点も、男性の喫煙率の高さに関係していると考えられています。
加齢黄斑変性には、進行が早い「滲出(しんしゅつ)型」と遅い「萎縮型」があります。滲出型には治療法があるので進行を止めることができますが、萎縮型は治療法が確立されていません。そこで大切なのが検診です。
検査方法は主に三つあります。一つは「視力検査」です。緑内障と同じで、片目ずつ測定することが大切です。二つ目は、網膜に出血やむくみなどがないか確認する「眼底検査」。三つ目は「光干渉断層計(OCT)」と呼ばれるもので、網膜の断面を詳しく調べます。場合によっては造影剤を使って眼底の異常を検査することもあります。片目ずつチェックを
加齢黄斑変性の治療では、血管内皮増殖因子を抑制する「抗VEGF薬」を眼内注射します。継続した治療により、視力の維持や改善が期待できます。レーザー治療を行うこともあります。
早期発見には、自己チェックができる「アムスラーチャート」(下図)が有効です。片目ずつチェックしてみてください。格子状の線がゆがんで見えたら要注意です。視力障害は日常生活や心身に影響を与えますが、「ロービジョンケア※」と呼ばれる支援もあります。病院でも紹介しているので、ぜひご相談ください。
※視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している人に対する支援の総称
認知症
- 生活習慣から認知症を防ぐ、治す
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【講演】羽生 春夫先生(東京医科大学 高齢総合医学分野 特任教授)

ゆっくり進行する認知障害
認知症の高齢者は現在約600万人、2025年には約700万人に増えると推定されています。これは65歳以上の5人に1人に相当し、軽度認知障害も含めると3人に1人が認知症またはその前段階にあるといえます。
最も多いのはアルツハイマー型認知症で、病気の進行について近年多くのことがわかってきました。例えば75歳でアルツハイマー型認知症を発症した場合、その5年ほど前から軽度認知障害がみられます。これは、物忘れはあるけれど日常生活は送れる状態ですが、実は脳のなかではなんと20年ほど前から病気が始まっているといわれます。
こうした脳の変化は、PETという検査で見つけられます。そして、認知症と診断されると、進行を抑える薬で治療をします。新薬の開発も進んでいますから、将来的には早期治療で認知症の進行を抑え、長く生活の質を保つことが期待されています。予防には適度な運動を
ただし、必ずしも軽度認知障害の人が認知症になるわけではありません。アルツハイマー型認知症には、「促進因子」と「防御因子」があり、適切な対応で症状を軽くすることができます。促進因子としては、遺伝、加齢、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)があります。アルツハイマー型認知症を発症した人について、生活習慣病を治療した人は進行が緩やかであったのに対し、治療しなかった人は急速に進行したという報告もあります。週3回、30〜50分程度の散歩が予防や進行抑制に効果的といわれています。日中の活動量が脳の神経回路を密にし、症状を軽くするのです。昨日の夕食を覚えているかどうかはセルフチェックになります。認知機能の低下と視力や視野の低下は、深く関わってきています。予防のためにもまずは生活習慣から見直してみてください。
トークセッション

木佐 コロナ禍で来院回数を減らすと不都合なことはありますか。
岡部 疾患によって異なりますが、加齢黄斑変性、緑内障、認知症はどれも治療を中断しない方がいいので、気になる方は主治医に相談するといいと思います。
岡田 加齢黄斑変性は特に治療継続が視力の維持や改善に大事なので、ぜひ続けてください。
木佐 目に良い食べ物は。
中澤 十分な研究結果があるわけではないものの、一般的にはがん予防にいい食事が目にも良いといわれています。青魚やアボカドといった良質な油、抗炎症作用があるキノコや納豆、血流改善になるショウガなどです。
木佐 自分で目の状態をチェックするには。
岡田 片目で本や雑誌を読む方法があります。「アムスラーチャート」もそうですが、片目ずつ見え方を確認することが大切です。
中澤 アムスラーチャートを拡大すれば視野も確認できます。ただ自覚症状がない緑内障は眼科受診をお勧めします。
木佐 認知症患者さんの白内障手術のメリットは。
羽生 認知症予防という点からも有用だと思います。視力低下は日中の活動量を減少させるため、認知機能の低下を引き起こしかねません。また認知症のなかには幻視や幻覚がみられる方もいますが、白内障手術により視力が改善すると減少することもあります。
木佐 視力低下による日常生活での不自由軽減には。
岡田 ルーペ、拡大読書器などがあります。ロービジョンケアを行っている施設は眼科医会のウェブサイトで紹介しています。
木佐 人生100年時代、いつまでも元気でいたいですね。ありがとうございました。
❶約30㎝離れます(眼鏡はかけたまま)
❷片目を閉じて中央の黒い点を見つめます


